矢作川研究所日記

2017/01/27

「宮口上緑を守る会」研修会で講演しました(矢作川学校)

 1月27日、市内宮口上地域における農地の維持・質的向上を目的として活動する「宮口上緑を守る会」にお招きいただき、講演を行いました。
 昆虫生態学を専門とする濱崎健児研究員が「田んぼが育む生き物たちのにぎわい ~米づくりと生物多様性~」と題して、水田は米を造る場所としてだけでなく、さまざまな生き物が生息する場所としても重要であることを、水田に生息する生き物を紹介しながらお話しました。
 その後、人文社会学の吉橋久美子研究員が進行役となり、子ども時代の水辺遊びについてうかがうフリートークの時間を持ちました。小学校の休み時間に川に仕掛けをしに行ったこと、大きなミミズを餌にウナギをたくさん捕って嬉しかったこと、「釣りばっかしとるんじゃないぞ」と大人に叱られた話など、懐かしい思い出を語っていただきました(吉橋久美子)。




2017/01/23

2017 河合ホタルサミットに参加してきました(矢作川学校)


乙川の上流域にある岡崎市の河合中学校で開かれたホタルサミットに参加してきました。
中学校の前はちょうど矢作川の支流乙川に男川が合流する場所で、近くの川岸には「天然記念物 岡崎ゲンジボタル発生地」と書かれた碑が建っていました。昭和10年(1935)に指定され、古くからゲンジボタルの多産地として親しまれてきた場所だそうです。しかし、高度経済成長期、河川環境の悪化により減少してしまい、昭和40年代から地域の方々や小中学校によるゲンジボタルの保護活動が始まりました。

ホタルサミットでは河合中学校に加え、3つの小学校の児童による環境保護活動の発表がありました。ゲンジボタルの保護活動に端を発し、生息場となる川岸の竹林伐採や水源林となる山の手入れなど活動がどんどん拡がっている様子が紹介されました。



サミットの後半では3つの提言が発表され、今後も活動を続けていくことが約束されました。
最後に研究所からは人の手を借りなくてもたくさんのホタルが舞う河川環境をこの乙川流域で作って下さいとお願いしました。

これからのみなさんの活動に期待しています!




2017/01/13

セミナーを開催しました(秋山 弘之 氏)

阿摺ダム下流のアユ友釣り漁場(通称ソジバ)は付着藻類ではなく、コケ植物(蘚類)が繁茂しています。この瀬をアユの餌場となるよう再生するために、コケ植物について知りたいと思いました。今回は、兵庫県立人と自然の博物館の秋山弘之先生をお招きし、「コケ植物の多様性、その生き方」と題してお話をしていただきました。
コケ植物は、乾燥環境下だと自身も乾燥し、湿潤になると湿るという変水性が強みで、他の植物が生きられない厳しい環境下でも順応できるそうです。動物たちとの関わりでは、ゲンジボタルの産卵場やオオルリの巣材などとして利用されています。しかし、ほとんど食料とならないのは、あまりにもまずくて食べられる代物ではない(秋山先生の食味による)からでしょう? 矢作川のアユも嫌うのかもしれません。
ゼミ前日には、先生に矢作川のコケ植物繁茂地を視察していただきました。水位が変動しても常に水中の石面にはニブハタケナガゴケ、水位によって干上がることのある岩上や岸辺の石にはアオハイゴケなどが生えていました。アユの餌場の再生には、付着藻類と競合しているニブハタケナガゴケに撤退してもらう作戦が必要です。
今回のゼミでは、コケ植物の概要を学ぶとともにその強かさも垣間みることができました。




2017/01/10

「阿摺ダム下流(ソジバ)を語る」座談会を開催しました


研究所では阿摺ダム下流(ソジバ)で、アユの生息環境を改善するための実験を計画しています。
阿摺ダム下流は昔、ソジバと呼ばれており、ソジとはヨシなどを束ねたアユを捕るための仕掛けのことで、以前はアユがよく捕れた場所でした。近年、全く釣れなくってしまったため、ソジバにおけるアユの釣果や河川環境の変化をお聞きする座談会を開催しました。

座談会には阿摺ダム下流の様子に詳しい矢作川漁業協同組合や地元自治区の方々にお集まり頂きました。1980年代、アユ釣りの解禁日には1日100尾程の釣果があったそうです。しかし1990年(平成元年)頃から砂利や石が流れず河床が動かなくなり、糸状緑藻カワシオグサが川底を覆ってしまい、2000年代にはアユが釣れなくなったとのことでした。阿摺ダム下流では多くの異変が平成に入った頃から起こり始めたと、みなさん口を揃えて仰っていました。

ソジバに1980年代の活気が戻ってくるように、地元の方々や漁業関係者、河川管理者と協力して、河床の環境を改善していきたいと思います。



2016/11/15

セミナーを開催しました(中村太士氏)

「札内川ダムフラッシュ放流−その目的、効果、課題」北海道大学大学院農学研究院教授 中村太士氏(2016/11/15)

 北海道札内川ダムでは、フラッシュ放流による礫河原の再生が行われています。今回のセミナーでは、札内川技術検討会の委員長を務められている中村先生に、その取組についてご紹介頂きました。
 石礫河川における礫河原の減少と樹林化は全国的な問題になっています。札内川では北海道の準絶滅危惧種ケショウヤナギの幼木が育たない、チドリ類やカワラバッタ等昆虫類のすみかが奪われるなどの現象が見られ、フラッシュ放流による環境改善が提案されました。ヤナギ類の種子散布の時期に合わせたフラッシュ放流は、10年越しで提案し続けてようやく実現したそうです。また放流パターンは、きめ細かいシミュレーションを繰り返し実施して決められました。2012年に放流実験が開始され、現在はケショウヤナギの幼木が定着するようになりました。
 目標設定と実施手法の双方の緻密さが、札内川のフラッシュ放流を成功させたと言えるでしょう。セミナーには20名を超える参加者があり、講演後は活発な質疑が行われました。