矢作川研究所日記

2017/07/29

西広瀬小学校「矢作川水質汚濁調査1万5千日達成記念式典」に参列しました

西広瀬小学校の目の前を流れる矢作川とその支流飯野川は、かつて子どもが遊ぶ川でした。しかし、1960年代から1970年代にかけて粘土の採掘や山砂利の採取の際の排水や工事排水などによって濁った川になり、子どもの川遊びが禁じられました。そこで、遊べる川を取り戻そうと、西広瀬小学校では1976年から水質汚濁調査を始め、以後41年にわたって子どもたちと教師が地域住民とともにその調査を継続してきました。
これは貴重な記録であり、研究所でも所報『矢作川研究No.15』(2011)で内田朝子・白金晶子が記録をデータ化しています。
式典では、子ども達が水質汚濁調査の方法を実演し、矢作川の透視度を報告してくれました。



また、豊かな森林なくして美しい川もないと、川だけでなく学校周辺の自然環境にも目を向けて2012年度より始まった「丸根山ビオトープ」整備の取り組みの様子も発表されました。
作曲家・ピアニストの小林真人さんのコンサートも行われ、最後に6年生が作詞、小林さんが作曲をした1万5千日達成記念の合唱曲「守り人の歌―命かがやく」が披露されました。




2017/07/27

矢作川研究所セミナーを開催しました(講師:菅 豊氏)


豊田市矢作川研究所セミナー「ガバナンス時代の河川管理―その可能性と課題―」
東京大学東洋文化研究所 菅 豊氏(7月27日)

ご講演では、現在、政府や自治体主導の一方通行の統治から、
多様なアクターが水平的に関わる協働的統治
(協治、collaborative governance)」へと時代が進んでいること、
しかしそれは必ずしもよいことばかりではなく、価値を単純化せざるを得ないこと、
また、市民を巻き込んだ「民意」を「作り上げられる」懸念があることなどを
事例を挙げて詳しく指摘されました。

その上で、「協働的統治のなすべきこと」として以下が挙げられました。
・異論や反論も出し合える”せめぎあい”の場を創ること
・協働で問題を発見すること、
・協働で問題について双方向型の学習(調査研究)をしていくこと
・協働で順応的に対応していくこと

最後に菅氏は当研究所に対し、豊田市の機関である特性を生かして
上記の「協働的統治」と、その順応的な管理を進めていく
ファシリテーター(促進者)となることを期待する、と
エールを送ってくださいました。

市民との共働事業を進める研究所として
非常に学びの多いセミナーでした。



2017/07/22

岩本川探検隊2017開催!

<ドジョウ3兄弟を探せ!>

市内の扶桑町と百々町の間を流れている岩本川で「岩本川探検隊2017」が行われ、
10組約30人の親子が楽しく川遊びをしました。



岩本川は豊田市の「ふるさとの川づくり事業」のモデルとして、
地元住民と豊田市(河川課・豊田市矢作川研究所)が「川づくり」を
行っている川です。

2015年度は住民懇談会で岩本川の思い出を語り合い、今後の「未来希望図」を描きました。
2016年度は川づくり体験を行って、地元で川づくり団体を立ち上げようという機運が高まり、
2017年3月に「岩本川創遊会」が立ち上がりました。

2015年度から毎年行っているのが「岩本川探検隊」であり、
今年の主催は「岩本川創遊会」となりました。
岩本川創遊会は今後自立した団体として活動しますが
研究所はサポート役として今回関わらせていただきました。

さて今年のテーマは「ドジョウ3兄弟を探せ!」です。
岩本川には、ドジョウ、ニシシマドジョウ、ホトケドジョウの3種類のドジョウがいて、
それぞれ好む場所も違うので川の多様性を考えるのにとてもいいモデルになります。

ドジョウだけでなく、「ブルーギル、ウシガエル、アメリカザリガニ」の「外来種3兄弟」や、
参加者オリジナルの「岩本川○○○3兄弟」も見つけよう!!
とみんな勇んで岩本川に入りました。


川では「冷たい!」「気持ちいい!」と歓声があがり、子ども達はガサガサで
どんどん生き物を捕まえていました。


さてドジョウ3兄弟は見つかったでしょうか?

その前に、捕れた生き物の観察です。
クリアケースに入れた生き物を一生懸命スケッチしました。


最後に表彰式。
ドジョウ3兄弟を見つけたチームが一組ありました!
表彰状と缶バッジが岩本川創遊会会長より贈られました。

アンケートでは「思ってたよりたくさんいてびっくりしました」(子ども)
「子どもだけでなく親も楽しめた」(大人)
「地域の川でこのような川遊びが出来るのはとてもいい経験だと思います」(大人)などの
感想をいただきました。

暑い暑い1日でしたが子ども達も大人も楽しいひと時を過ごしました。
今の岩本川がどのような環境であるかを体感し、
何が足りないか、どうすればそれを満たせるのか、
今後の川づくりのヒントをみんなで考えることができたと思います。

岩本川探検隊2016の様子はこちら
岩本川探検隊(2015年)の様子はこちら
川づくり体験会(2016年)の様子はこちら 



2017/07/18

アユの遡上調査終了しました

6月末をもって明治用水頭首工の魚道でのアユの遡上調査が終了しました。今年は左岸側の魚道でのべ144万尾を記録し、観測史上最高だった昨年(両岸の魚道を合計して1003万尾)にははるかに及ばないものの一昨年(128万尾)をやや上回りました。2010年以降では昨年に続いて多く、稚アユのサイズも大きかったので順調な遡上があったといえます。近隣の河川では長良川の遡上数(河口堰観測)が1995年の観測開始以降で3番目に多い遡上数、また天竜川でも遡上が多いときいていますので、東海地方では天然アユの生育はよかったようです。


遡上した稚アユ



2017/07/15

青木小学校PTA主催「矢作川で遊ぼう」への講師派遣

 7月15日(土)に越戸公園前の矢作川の分流で青木小学校の親子約100人がガサガサや釣りで川遊びを楽しみました。
 矢作川ほど大きな川では、ガサガサを楽しめる場所が多くないですが、この場所は中洲により川の流れが2つに分かれ、ちょうどよい規模の川になっています。さらに、石倉水辺愛護会による川岸の草刈りなどが行われていて、川に近づきやすく、とても雰囲気の良いところです。
 




今回初めて、この場所を整備する愛護会の方々とこの場所を利用する親子をマッチングしました。「川遊びする親子を見に来てください」とお願いしたら、釣り糸の結び方やエサの付け方、昔の生き物の話などで参加者親子との交流もしてくださいました。このような関係が今後も続いていってほしいです