矢作川研究所日記

2022/08/04

外来種ツヤハダゴマダラカミキリの調査を行いました。

 ツヤハダゴマダラカミキリは中国~朝鮮半島が原産のカミキリムシで、アメリカやヨーロッパなどに分布を拡大しており、「世界の侵略的外来種ワースト100」に選出されています。日本では、2002年に神奈川県で発見されて以降、兵庫県や愛知県など8県で確認されており、街路樹のアキニレなどで多発しています。本種は在来種のゴマダラカミキリよりも高い場所に産卵する傾向があり、幼虫は幹に食い入って木を枯らすことから、折れた幹や枝の落下による人的被害が懸念されています。
 豊田市内では、国道248号沿いに植えられた街路樹のアキニレで2021年に発見されていることから、他の場所にも分布していないか把握するため、矢作川河川敷のヤナギを対象に調査を行っています。この日は、職場体験でやってきた足助中学校2年生の生徒とともに、荒井公園の川沿いで調査しました(写真左)。7本のヤナギのうち5本で15個体の本種成虫が見つかり、多数の産卵痕(産卵のために幹をかじったあと)も確認されました(写真右)。一方、在来種のゴマダラカミキリは1個体も確認できませんでした。本種は在来種と非常によく似ていることから、気づかないうちに在来種から外来種へ置き換わっているのかもしれません。今後、矢作川沿いの公園や河川敷でも調査を行い、分布の状況を明らかにしていきたいと考えています。(浜崎健児)


写真左:ヤナギの幹や枝先に成虫がいないか探している様子。黒い棒は枝先の成虫を叩き落とすための長竿。写真右:幹を歩くツヤハダゴマダラカミキリ。矢印の先にある黒く丸い部分が産卵痕。