セミナーを開催しました(中村太士氏)

2016/11/15

「札内川ダムフラッシュ放流−その目的、効果、課題」北海道大学大学院農学研究院教授 中村太士氏(2016/11/15)

 北海道札内川ダムでは、フラッシュ放流による礫河原の再生が行われています。今回のセミナーでは、札内川技術検討会の委員長を務められている中村先生に、その取組についてご紹介頂きました。
 石礫河川における礫河原の減少と樹林化は全国的な問題になっています。札内川では北海道の準絶滅危惧種ケショウヤナギの幼木が育たない、チドリ類やカワラバッタ等昆虫類のすみかが奪われるなどの現象が見られ、フラッシュ放流による環境改善が提案されました。ヤナギ類の種子散布の時期に合わせたフラッシュ放流は、10年越しで提案し続けてようやく実現したそうです。また放流パターンは、きめ細かいシミュレーションを繰り返し実施して決められました。2012年に放流実験が開始され、現在はケショウヤナギの幼木が定着するようになりました。
 目標設定と実施手法の双方の緻密さが、札内川のフラッシュ放流を成功させたと言えるでしょう。セミナーには20名を超える参加者があり、講演後は活発な質疑が行われました。



  • 前へ
  • 一覧
  • 次へ