矢作川研究所日記

2019/03/02

第15回矢作川学校ミニシンポジウムを開催しました

今年は早くも梅花も満開、柔らかい日差しの中で14題の発表がありました。学校近くの矢作川で行った研究を発表した高校生は、もっと若い世代も矢作川に目を向けようと呼びかけてくれました。地元企業と協働で研究した高校生は、自然だけでなく社会との繋がりも感じてくれたようです。
自らハンターの資格を取ったという大学生の発表では、野生生物と人との関わり方について具体的な対策を示してくれていました。先輩から脈々と受け継いだ矢作川の特定外来生物カワヒバリガイ調査では、15年間という長期変化を示してくれました。このカワヒバリガイに関しては、寄生虫を初確認したという発表もありました。自然への興味関心の強さは新発見を生み出しますね!





参加者アンケートでは、「矢作川についてより深く知ることができたので良かったです(16歳)」「学校ごとに多種多様の研究に取り組んでいて、とても面白かった(21歳)」「継続は“力”です。毎年楽しみにしています(75歳)」などの回答をいただきました。
自分とは異なる専門分野の発表を聞くことで自身の研究を新しい視点で見ることができると思います。矢作川学校ミニシンポジウムは、異分野の研究のパーツを詰め込んだお楽しみ袋のようでもあります。全ての発表を聞き終えた時には、全員で山頂に辿り着いたような爽快感がありました。
今後、ミニシンポジウムの存在をもっとアピールし、より多くの学校、学生間のネットワークが広がるようにしていきたいと思います。(内あ・吉)



2019/02/12

ふるさとの川づくり 小学生が川の流れを学びました

地元住民との共働で「ふるさとの川づくり」を進めている岩本川で、平井小学校2年生が3度目の川の体験学習を行いました。地元の川づくり団体「岩本川創遊会」と矢作川研究所が講師を担いました。
 今回のテーマは「川の流れ」です。3月に1年生と共に行うひな祭りの行事、「流し雛」のリハーサルも兼ねています。
研究員がデモンストレーションとして浮きを流したあと、子どもたちは自分が製作した舟を川に浮かべ,大きな声援を送りました。冬の川は水量が少なく、ところどころで引っかかってしまったり、淀みに停滞してしまったり、水につかったりしましたが、どの舟も無事ゴールまでたどり着きました。







教室に戻り、研究員がこの日の川学習中に撮影した動画を流しながら、川の流れは上から下への一方通行ではないことなどを説明しました。体験直後の解説だけに子どもたちもイメージがしやすかったようです。子どもたちはこの経験をもとに,流れに乗りやすく、沈みにくい形の改良版の舟を製作し、おひな様を載せて流す予定だそうです。流しびな行事が楽しみです。




2019/02/09

シンポジウムでアカミミガメプロジェクトの成果を報告

 今年度のシンポジウムは環境省との共催で開催し、豊田市で3年間取り組んできたアカミミガメ防除プロジェクトの成果報告を行いました。このプロジェクトは、環境省のモデル事業として、生息状況調査や防除体制のモデルづくりを、地域住民、企業、大学、行政の共働で進めてきたものです。
 環境省職員による対策推進事業の紹介と、豊田市の成果報告を経て、プロジェクトに関わった各主体の方々をパネラーとして、このプロジェクトはなぜ共働体制で進めることができたのか、地域の自然環境保全にどう取り組んでいくと良いのかについて意見交換をしました。生物多様性保全のひとつの手段として、外来種対策や自然観察会開催などを通して、地域ごとに身近な自然環境を保全していくこと、そのために各主体の特徴を活かして役割分担し協力していくと良いことなどが話されました。
 シンポジウムでの成果報告も含めて、豊田市で取り組んだプロジェクトの成果は、環境省がとりまとめを行い、全国へ情報発信される予定です。





2019/01/31

矢作川研究所セミナーを開催しました(講師:高橋 勇夫 氏)

豊田市矢作川研究所セミナー「アユの過去,現在,未来」
たかはし河川調査事務所 高橋 勇夫 氏




 高橋さんは全国の河川を巡りアユの生態調査や漁場改善などについての指導・助言をされているアユの専門家で,矢作川研究所の発足前から矢作川天然アユ調査会のメンバーと共に矢作川でアユの調査を始められ,現在でも矢作川のアユを見つめて下さっています.矢作川研究所セミナーでは「アユの過去、現在、未来」と題して,アユ事情の最前線についてお話をして頂きました.



 ゼミには矢作川漁業協同組合や矢作川天然アユ調査会,愛知県水産試験場などから多くの方々が参加され,熱心に聞き入っておられました.


 アユの漁獲量は1991年以降,減少傾向が続いており,その要因としてアユの病気の蔓延,河川環境の悪化,放流アユの大型化などを挙げられていました.しかし,漁獲量を増やすために放流すれば良いかというと,そうとも限らず,天然遡上の無い河川では放流しても,漁協は赤字になってしまう可能性が高いとのことでした.
 後半では天然アユ資源を増やすための方策として,高橋さんが全国の河川で取り組まれている産卵場の造成についてお話し頂きました.ダムがある河川でも漁協や電力会社などが協力して,効果的な産卵場を造成することで,アユの卵のふ化量,ひいては翌年の遡上量が増加することに成功したそうです.


 高橋さん曰く,「矢作川は様々な問題の常に先頭を走っている」とのことで,矢作川で起きた河川環境の問題が数年後には他の河川でも見られるようになるのだそうです.矢作川で起こる河川環境の悪化をいち早く見つけて,食い止め,改善に向けることが矢作川研究所の使命であると改めて認識しました.



2019/01/28

初音川ビオトープのかいぼりを実施しました



初音川改修工事に伴い生息場所を喪失する水生生物の避難を目的に、ビオトープ内の水を抜くタイミングにあわせ、かいぼりを行いました。土のうを積んでビオトープを半分に仕切り、12月に南西側の半分を、1月に北東側の残り半分を調査しました。ヘドロが厚く堆積したぬかるみの中での採集はなかなか大変でしたが、大きなコイからイトトンボ類の幼虫まで大小さまざまな水生動物を採集しました。集計の結果、9種の魚類をはじめ23種の水生動物を確認することができ、採集数の多かったものは、カダヤシ(特定外来生物)、モツゴ、チュウゴクスジエビ(外来種)で、いずれも3ケタを超えていました。チュウゴクスジエビは今回はじめての確認です。本来たくさん生息していてもいいはずのメダカが全く確認できず、ドジョウがわずか3尾にとどまったのは残念でしたが、今後魚道の整備や水底の浚渫によってより良い環境に整備していきたいと思います。