矢作川研究所日記

2021/04/11

百々水辺愛護会活動地で植物観察会

 当研究所は、市民による水辺愛護会活動の活性化に向けたさまざまな支援を行っています。百々水辺愛護会では愛護活動活性化のツールとして2017年度からニホンミツバチの養蜂を行っており、研究所はそのお手伝いも行っています。その一環として、活動地に蜜源植物や有用植物、特徴的な植物があることを知っていただこうと、愛護活動の後に植物観察会を開催しました。2年前に同様の観察会を行ったときよりはるかに多い10人ほどの会員さんが参加してくださいました。




 まずは、活動地入口の広場に咲く花々のご紹介をしました。在来種のトウカイタンポポが多いことや、ホトケノザ、クサイチゴ、キランソウなどについてお話ししました。会員さんたちからは「こんなにいろいろな花があったんだな」「全部刈ってしまっていたな」との声が聞かれました。



       ウラシマソウの花


 愛護会の皆さんは、矢作川中流の明るい竹林内に見られるウラシマソウの名前の由来である花の形を観察したり、ヤブカンゾウが山菜であることやオニグルミの実が食用や油の原料になることを学んだり、上流に生えているタラヨウの葉に文字を書いてみたりしながら、春の日差しの下で植物観察を楽しみました。「年間を通じて活動地にどんな花が咲いているか分かる資料を作って欲しい」との声も上がりました。活動地の植物やその利用について、会員の皆さんの関心が深まってきたという手応えを感じることができました。(洲崎燈子)



2021/04/09

明治用水頭首工でアユの初遡上

ピントがずれていますが稚アユです

例年よりも1週間近く早かった今年の桜の開花ですが、明治用水頭首工でのアユの遡上も昨年より早く始まりました。3月29日から頭首工魚道で遡上の有無を確認していたところ、最高気温が23℃を超えた4月2日に初めて遡上を確認できました。昨年が4月7日に初遡上を観測したので、5日早い初観測となります。サイズは5〜10cmとこの時期にしてはやや小ぶりでしたが、元気よく魚道を遡上するアユの姿がみえました。水温も14℃台と昨年の同時期より4℃ほど高く、すでに遡上が本格化する4月下旬の水準に達しています。今年は遡上のピークも早まりそうです。


サギやカワウなどの鳥も集まってきました




2021/03/15

平戸橋周辺の自然資源の紹介

 猿投台地域でわくわく事業の助成を受けている「民芸の散歩道づくり」活動の報告会・セミナーが、猿投台交流館で行われました。
 この地域には平戸橋周辺の豊かな自然と歴史を活かした地域づくりをめざす「民芸の渓(たに)」構想があります。この構想はこの地に住み、電気通信事業と科学技術の向上に献身するとともに、陶磁器の研究に取り組み、猿投窯を発見した本多静雄氏の提案に基づいています。「民芸の散歩道づくり」活動はこの構想を踏まえ、平戸橋駅から前田公園に至る民芸の散歩道と、平戸橋公園から表州(ひょうす)水辺公園に至る矢作川散策路及びその周辺に、地域産の木材と竹材を使ったオリジナルのベンチをこれまで18基作成し、設置してきました。

 セミナーでは「平戸橋周辺の矢作川の自然資源」と題して報告を行いました。川辺の林、河畔林の機能と、矢作川中流のモデル的な河畔林として整備されたお釣土場水辺公園などの豊かな自然と生物を紹介し、この地域にある川港や伝統工法による護岸、流れ橋などの歴史的な痕跡についても触れました。この地域の河畔はかつては密生化した竹林に覆われていましたが、水辺愛護活動の活発化により近年劇的に景観が改善されています(Rio2020年4月号参照)。今後は人が利用しやすいだけでなく、多様な植物が生育できるような川辺づくりにつながる管理を、竹林と草地で行っていくことを提案しました。



 参加者からは、「竹や草を刈りすぎたり放置したりするのではなく、ほどよく管理することが植物の豊かさにつながるとわかり驚いた」「地域の河畔林にいろいろな植物がある事が分かったので、子どもも含め地元の皆さんと見て楽しみたい」などの声が上がりました。また、前年度行われた椿油搾り体験も話題に上り、植物利用の楽しみをきっかけに川への興味が広がる可能性についても言及されました。

 その後、以前研究所に在籍されていた枝下用水資料室の逵志保さんが「歴史・文化資源としての枝下用水」と題した報告で、枝下用水資料室開室までのあゆみや、愛知新十名所として賑わっていた頃の勘八峡の写真や資料、枝下用水がみんなのプールや生活用水だった頃のようすを紹介されました。名越戸ダム上流の名鉄三河線の廃線区間で清掃活動が続けられ、廃線跡からでも枝下旧用水路を見ることができるようになったそうです。



 登壇者と参加者を交えた意見交換会では、広い猿投台地域のあちこちにベンチが置かれるようになったことで、ここが一つの地域であるという意識が培われるようになったことと、ベンチのある場所に多くの人が来るようになって、散策路整備のモチベーションが上がったとの発言がありました。この地域の川辺の豊かな自然と歴史の資源がさまざまな活動のアイディアをもたらし、地域を愛する人のつながりを強め、広げていることを実感できました。(洲崎燈子)



2021/02/12

ミシシッピアカミミガメの産卵場所を掘ってみました。

 2020年6月、初音川ビオトープの一角で産卵中のミシシッピアカミミガメ(以下「アカミミガメ」)が確認されました(写真1、初音川ビオトープ愛護会 萩野鎭夫会長 撮影)。アカミミガメは春~初夏にかけて、土に穴を掘って産卵します。ニホンイシガメやスッポンなどとは異なり、ふ化しても子ガメはそのまま土の中で冬を過ごし、翌春になってから出てくることが知られています。そこで、土の中から出てくる前に産卵巣(さんらんそう、メスが産卵のために掘った穴と産み落とされた卵)の様子を観察するため、2021年2月に掘り起こしを行いました。


写真1 産卵するアカミミガメ


 産卵場所は植栽された樹木の根元付近で、よく見てもどこに産卵したのか分からない状況でした。産卵時に撮影された写真を頼りに少しずつ掘り進めると、表層から約6cmの深さに産卵巣があり、その中で重なってじっとしている子ガメを見つけました(写真2)。子ガメは全部で9個体、1個の卵は死んでいました(写真3)。子ガメの大きさ(甲羅の背面の長さ)は27.7~33.7mm、重さは4.2~7.5gで、最も小さな子ガメの鼻先には卵歯(らんし、卵の殻を割るための突起)が確認できました(写真4)。


写真2 産卵巣内の様子


写真3 掘り出した子ガメ


写真4 子ガメの鼻先にある卵歯


 アカミミガメは北アメリカ原産の外来種で、日本の生態系や農業に悪影響を及ぼす可能性が高いことから「緊急対策外来種」に指定されています。無責任な飼い主や業者が野外に放したことで、全国各地で増殖し分布域が広がっています。今回、産卵された卵のほとんどは孵化していました。ビオトープや近隣の河川・ため池ではたくさんの親ガメが確認されていることから、市内でも急激に増殖している可能性が高いと考えられます。
 野外に生息するアカミミガメには何の罪もありません。しかし、在来の生態系を守るために、豊田市ではアカミミガメの防除を行っています(詳細はこちらをご覧ください)。子ガメは小さく可愛らしいですが、成長すると20cm以上になり寿命も30年前後と長生きです。防除しなければならないかわいそうなアカミミガメたちを増やさないために、飼育する場合は最後まで責任を持って飼い続けるようにしましょう。(浜崎健児)



2021/01/29

オンライン打合せも新しい日常に


 この写真のように「パソコン画面に向かって、一人でしゃべっている」という状態は、およそ1年前には物珍しい光景に感じていました。
 しかし、最近では誰かしらがオンラインで打合せをしたり会議に参加したりしており、新しい日常の様相を呈しています。

 この写真を撮影したのは、外部専門家も交えた研究報告を行っているときなのですが、後日ほかの人にも見てもらえるように、その様子をパソコン上で録画しています。そのため、少し大げさに相づちを打ったり、デスクライトを自分に向かって点灯したりして、表情が暗くならないように気を付けています。

 オンラインでは画面越し、オフラインの日常ではマスク越し、と顔を合わせていても、なかなかお互いに表情が見えない状況だからこそ、少しでも明るい気持ちでいられるように心掛けたいです。(山本大輔)