矢作川研究所日記

2019/01/26

第一回小さな自然再生サミットに参加してきました

 兵庫県神戸市で開催された「第一回小さな自然再生サミット」に参加してきました(主催:「小さな自然再生」研究会、日本河川・流域再生ネットワーク、後援:国土交通省)。
 約160人が参加した初日には、基調講演「これまでの多自然川づくりと小さな自然再生」(島谷幸宏氏(九州大学))と、全国各地から15事例の発表があり、豊田市の岩本川での“ふるさとの川づくり事業”についても研究員が発表をしました。




 事例紹介では、主に「魚道」や「バーブ工」の設置についての試行錯誤、市民・行政・企業の連携などの取組体制が語られました。
 「統一されない技術、しかし、交流される技術」(島谷氏)を目指そうということで興味深い意見の交換がありました。また、課題としては「活動の継続性」などが挙げられていました。魚道設置などの大きな取り組みがあれば盛り上がりますが、その後の継続はやはりどこも難しいようです。


 翌日は神戸市内を流れる住吉川のエクスカーションがあり、急勾配で落差工の多い都市河川における「水辺の小わざ魚道」を見学しました。約2.5kmの区間にある12基すべてを案内していただきましたが、ひとつひとつの魚道に市民や技術者の想いがこもっていることを実感しました。川沿いの遊歩道は「清流の道」として整備されジョギングする人が多く見られたり、水際が階段状になっていたり、川の中には飛び石が配置されていたりと、親水性の高い川でもありました。



 市民が日曜大工的に取り組める「小さな自然再生」の事例発表会は初開催ということでしたが、全国から市民、専門家、行政など色々な立場の当事者が集まりました。身近な川を良くしたいという気持ちに溢れた人たちと意見交換が出来たことで、改めて「できることからはじめよう」と思うことができ、今回収集した各地の事例を豊田市流にアレンジして地域に愛される「ふるさとの川」を皆さんと一緒につくっていけるように調査研究に取り組んでいきます。(吉橋・山本大輔)



2018/11/20

アユの産卵場調査を行いました


川で育ったアユは、秋になると産卵のため川を下ります。研究所は矢作川でのアユの産卵状況を把握するため、アユの降河状況と産卵場所の調査を行っています。この日は矢作川が矢作古川と分派する場所に整備された藤井床固(河床の低下を防ぐために設置された低いダム状の構造物)の直下で、潜水によりアユの降河状況と河床の状態を調査しました。水温は13℃。ドライスーツを着ているとはいえ、寒さが身に染みる作業です。



2018/10/06

ニホンミツバチの採蜜会のお手伝いをしました

 百々水辺愛護会と百々町環境保全会が主催のニホンミツバチ採蜜会に、矢作川学校の講師としてお邪魔しました。
 百々町でのニホンミツバチの養蜂は、水辺愛護会活動の「楽しみ」を生み出す試みとして研究所が愛護会に提案し、二年目を迎えています。この日は平井小学校地域学校共働本部の「土曜学習」の一環としての位置づけもあり、平井小学校・寺部小学校・市木小学校の親子15組、愛護会の会員、養蜂を指導してくださっている中部日本ミツバチの会の方々合わせて50人ほどが参加しました。
 浜崎研究員よりニホンミツバチの生態や巣箱の構造などについて説明を行い、メッシュテントの中に巣箱を持ちこんで、中部日本ミツバチの会の方と共に巣枠を一段を切り取りました。巣枠には蜜がしっかり詰まっており、さっそく試食してもらいました。




土曜学習で参加した保護者へのアンケート(16人回答)では「息子から『美味しい』の一言がきけてとてもうれしく、親子で楽しく勉強になりました」「はじめて巣をみられてよかった」「次回も参加したい」という記述がありました。また、このような活動をしている水辺愛護会について、16人中14人が「興味をもった」と回答し(2人無回答)、採蜜会が愛護会活動を広報する一つの機会となることが分かりました。




2018/09/13

ふるさとの川づくり 小学生が秋の川学習

(9月13日・9月14日)
 地元住民との共働で「ふるさとの川づくり」を進めている岩本川で、平井小学校2年生と1年生が川の体験学習を行いました。2年生は2度目、1年生は初めてですが、夏休み前に2年生から岩本川の生き物のこと、遊び方のことなどを授業で教えてもらっています。
 子どもたちの地域での自然体験を大切にする先生方と事前に学習内容を相談した上で、今回も岩本川創遊会と矢作川研究所が講師を担いました。岩本川創遊会はこの日のために直前にも草刈りをしたそうです。保護者の方々も見守りのため参加してくださいました。




 今回の学習では、川幅が狭いところと広いところの境目にコーンを置きました。また、箱めがねも用意しました。川の多様な環境に注目してもらい、川幅が違うと水の流れの速さはどう変わるのかな、川底はどうなっているのかな、そんなことを感じてもらえたらと企画しました。



 2年生と1年生は混成のグループで活動し、1年生は2年生にガサガサなどを教えてもらいながら川学習をしていました。岩本川創遊会のメンバーも我が子と同世代の子どもたちにいろいろなことを伝えていました。




 岩本川での学習の後は、教室に戻って「ハカセ」の講義です。
 水深の違いや流れの速さの違い、川底の様子と生き物たちの関係を、水中撮影した動画も交えて紹介し、岩本川にはいろいろな環境があることを学んでもらいました。単調な川では生き物はすみにくいものですが、岩本川創遊会と市の共働による川づくりでいろいろな環境ができているのです。
 どんなところでどんな生き物が捕れたか、ハカセが尋ねると子どもたちからはすぐ答えが返ってきました。



 熱心な質疑応答の後、子どもたちは岩本川で捕れた生き物の水槽をのぞき込んで、
さらに観察を続けていました。
 岩本川創遊会の会員も、子どもたちにアメリカザリガニの持ち方を説明するなどして交流しました。




2018/09/06

枝下用水のカワヒバリガイ




矢作川中流の越戸ダムから取水している「枝下用水」は豊田市南西部を灌漑する農業用水です。
この日、大雨に備えて、数日前から断水していた用水路に「外来生物カワヒバリガイが大量に付いている」との情報を豊田土地改良区資料室より頂き、早速、研究員3人で出かけました。


壁面に付着したカワヒバリガイ




今回、確認した場所は枝下用水の上流端となる約500 m程の区間でしたが、用水の壁面には底から10 cmぐらいの幅で、カワヒバリガイが2重にも3重にも折り重なって付着していました。全長10 mm前後の貝がほとんどで、昨年の夏に生まれた貝のようです。また用水の底にもびっしりカワヒバリガイがくっついていて、足裏に殻のゴツゴツした感覚が伝わってきました。


用水の底に点在する黒い塊がカワヒバリガイ


底に付いたカワヒバリガイの様子




壁面の形状が複雑になった場所では、水の流れがゆるやかになるためか、より多くのカワヒバリガイが壁面や溝部分に付着していました。


凸凹した壁面にはよりたくさんのカワヒバリガイがくっつきます




カワヒバリガイは最大4 cm程になる2枚貝で、特定外来生物に指定されています。矢作川では2004年にカワヒバリガイが発見され、2006年に中流部で大量発生・大量死が起こりました。
現在、矢作川本川では矢作ダムのダム湖から下流は米津大橋の周辺までの区間で、「レギュラー」として定着しており、コンクリートの壁面や川底の石をひっくり返すとくっついているのが見られます。