2022/01/04
今年度も12月23日に釣舟で川を下り、オオカナダモの分布状況を確認しました。
籠川から久澄橋間では河畔の竹林伐採が進み、舟上からみる矢作川は広々とした感じを受けました。「籠川の合流点下流に新しく大きな早瀬ができた!」とか、「陣中の瀬は優しい流れになったね。幅が広がったからかな?」とか、船頭の高木さんと川の変化に驚きながら調査を進めました。
水際に落ち葉や大きめの石があると黒っぽくみえます。もしや、オオカナダモの群落かと、その度に近寄っては川底を確認しました。喜ばしいことに、オオカナダモは綺麗さっぱり一掃されていました。
冬とはいえ、小春日和の穏やかな天候に恵まれ、無事に調査を終えることができました。(内田)
2021/11/05
矢作川の矢作ダム上流から、下流は葵大橋までの区間で、生物の生息環境の基盤となる水温の調査を行っています。矢作川の水は本川にある7つのダムで貯められ、上水道や工業・農業用水として取水された水は矢作川には戻ってきませんが、発電用に使用された水は再び矢作川に戻ってきます。このような複雑な水の流れや出入りにより、矢作川の水温は上流から下流にかけて不連続な変化をしていることが分かってきました。
出水期が終わったこの日、水温を記録している水温ロガーのデータを回収するため、上流へ向かいました。
矢作ダムの上流では写真のように透明度が高く、白い真砂土が堆積した風景が広がっていました。この地点の下流では貯まった土砂の掘削が行われており、川岸に真っ白な砂の山が築かれていました。
矢作第二ダム下流ではカワガラスが水中に潜って、一心不乱に餌を探していましたが、残念ながら獲物を捕らえる姿は見られませんでした。また、水中にはオイカワやニゴイが泳いでいました。この日は4地点のデータを回収し、11月中に残り8地点のデータを回収して、解析を進める予定です。
2021/10/10
当研究所は、各水辺愛護会が今までの活動をふりかえり、今後の活動を展望する「管理・活動計画」づくりのお手伝いをしています。今年度は梅坪水辺愛護会で計画を作りますが、そのためのワークショップに先がけて、活動地の植物観察会を行いました。
梅坪水辺愛護会が活動する矢作川の籠川合流点付近は、2000年代前半までは国道から砂河川らしい矢作川の風景が見渡せる広い砂浜でしたが、その後草地になってゆき、愛護会が草刈りを継続して管理されています。
観察会には、愛護会員の皆さんにボランティアで活動に協力されているトヨタ自動車社員の方々も加わり、約20名にご参加いただきました。現地ではススキやオギ、ツルヨシなどの草が、秋の風を受けて白い穂を波のように輝かせていました。籠川沿いでは、メントールを含んでいて爽やかな香りがし、香料としても使われるハッカや、ミゾソバ、ボントクタデといった水辺の植物が花を付けていました。
矢作川の堤防沿いにはオニグルミがまとまって生えている一角がありました。川辺を特徴付ける存在で、実が食用になり、搾った油が灯用、木のつや出しなどに使われ、材が家具・建築に用いられるなどきわめて有用な樹種ですが、矢作川の川辺には多くなく、貴重な存在です。これらの植物を活用することで、愛護活動の楽しみを増やすこともご提案しました。(洲崎燈子)
2021/10/05
瀬の再生事業が実施された中心市街地付近の矢作川では、アユ釣りの最盛期を迎えています。今年は残念ながら8月以降の不順な天候のため、我々が矢作川本流で調査を実施できる日がほとんどありませんでした。アユ釣りができる日も非常に限られてしまっていましたが、ここにきてようやく水量が平水に戻ってきました。増水が来なければあと2週間程度はアユ釣りができるのではないかと思いますので、我々もタイミングをみて調査に入りたいと思っています。このエリアでは瀬の再生後2年目まではアユが元気に餌を食べる環境が継続しています。3年目も継続するかどうかを注目しています。
半年前に瀬の再生が完了した上野山の瀬
2021/08/24
2021年の7月中旬、豊田市の南西部を流れる猿渡川(さわたりがわ)でミシシッピアカミミガメの防除活動を行っているときに、護岸下の岸辺の土砂の中に産み付けられたスッポンの卵を見つけました(写真1)。直径は18mmくらい。全部で10個を確認しました。研究所に持ち帰り、湿らせた砂に埋めて冷暗所に置いていたところ、8月19日から23日にかけて5個の卵が孵化しました(写真2)。孵化したばかりのスッポンはとても小さく、甲羅の大きさは10円玉とほぼ同じくらいでした(写真3)。
イシガメやクサガメ、ミシシッピアカミミガメなどの場合、孵化したばかりの個体には、鼻先に卵歯(らんし)と呼ばれる卵の殻を破るためのトゲのようなものがあります。しかし、スッポンにはそれが見当たりませんでした。カメの専門家である愛知学泉大学の矢部隆教授にお伺いしたところ、孵化する前のスッポンは卵の中で体を前後にかがめて丸まった状態になっており、これを平たく伸ばす筋力によって殻を破り、這い出てくるそうです。
しばらく様子を観察したら、猿渡川に返すことにしています。(浜崎健児)