シンポジウムの質問票について回答します

 去る2月1日に研究所のシンポジウムを開催した際質問を頂きました。多くの質問には、その座談会の席上お答えいたしましたが、お答えできなかった質問がありました。そこで、その質問に対してお答えしたいと思います。
 ご質問を頂いた皆様、ありがとうございました。

質問1
 今後は川に影響を与える森林として人工林だけでなく原生林等の奥山や、かつて人々が利用してきた雑木林などについても取り上げ、ネットワーク構築をお願いしたいです(啓発なども)。

回答1
 雑木林については人工林と異なり、人によって望ましい扱い方に関する意見が異なるのが難しいところですが、現状を踏まえて今後のあり方を考えていきたいと思います。原生林については面ノ木峠、設楽町の段戸裏谷、恵那市のアライダシ国有林などの貴重な林分についてもっと知見を深め、その存在意義を広報していきたいと思います。

質問2
 豊田市内のみでなく、矢作川でどこまでオオカナダモは広がっているのか・その影響はどうか。またダムの上下流を研究することにより、オオカナダモを消滅させられるのか?水質や水温を変えられるのか?流量の問題か? オオカナダモについてもっとよく知りたい。

回答2
 矢作川におけるオオカナダモの分布範囲について、研究所で行った現地調査の結果、最上流は越戸ダム湖内、最下流は葵大橋であることを確認しています。特に平戸橋から久澄橋間で繁茂しています。著しい繁茂は、2010年から2011年にみられ、その影響として、糸にオオカナダモが絡むなどアユ漁の障害になっていることや在来の水生昆虫が減少していることが確認されました。
 矢作川のアユへの影響を低減し、水生生物の多様性を高める目的でNPO法人矢作川森林塾が主体となって人海戦術による駆除活動が進められています。駆除方法を検討し効果を高めるには、オオカナダモの生長と生息環境との関係を把握する必要があります。現在、研究所では、中流域(越戸町)においてオオカナダモの生長と流速、水深、底質の関係を調査しています。
 オオカナダモが侵入していない上流と繁茂している場所で、生息環境を比較することは、オオカナダモ駆除のヒントになると考えられます。例えば、両者の掃流力の違いを把握することは、中流域の川底の環境改善に役立つと考えられます。今後は、河川工学の専門家との共同研究も進めて行きたいと思っています。