【矢作川を知ろう】

みんなが遊んで楽しめるところを作ってやりたいな

萩野鎭夫さん(1948年生まれ)(初音川ビオトープ愛護会会長) 

豊田市で水辺を整備する住民団体、「水辺愛護会」のうち、最も南部で活動しているのが初音川ビオトープ愛護会です。初音川ビオトープ愛護会は、初音川と逢妻男川の合流点のビオトープにおいて、年間20回に及ぶ草刈りやごみ拾いなどの他に、ミシシッピアカミミガメの防除、ニホンミツバチの養蜂も行っています。その活動の原動力が何なのか、会長である萩野さんにお伺いしました。
      (聴き取り:吉橋久美子 2021年1月29日 豊田市矢作川研究所にて)



<やるのが当たり前>

吉橋)初音川ビオトープ愛護会の皆さんの熱意はどこからくるのか、関心を持っています。
アカミミガメ防除に関する研究所のシンポジウム※でパネリストとしてご登壇いただきましたが、そのときは、活動に対し「先祖代々、やるという機運があって」とおっしゃっておられましたね。

萩野)誰かがやらないかんし、やるのが当たり前って生活してきたからね。地区で信頼されてる人が活動に出てひっぱってくれるし。ま、めちゃな要求しちゃいかんけどね。こんな奉仕作業でめちゃなこと言うことはないもんね。
 楽しみもあるよ。ハチミツとったらわけるし、農園の野菜とか、いろんなものをもってきて、「欲しいやつ持ってけよー」って言う人がいたり、物々交換みたいな世界があるから。
 でもいずれ、僕らの子どもの時代は、そういうお山の大将はいなくなるんじゃない?そうすると、なかなかみんなが言うこと聞かんかもしれんね。今は自分で少々燃料代出しても草刈りしてもいいっていう時代だけど、それが、時代が崩れるかもしれんね。




<子どもが遊べる場所を残していかんと>

 子どもが遊べる場所を残していかんと。だって、あの子ら、行くとこないもんね。お金を出せばなんでも買える時代かもしれんけどね。自然でちょっと遊べるようなとこにしてやりたい。自分で勝手に木に縄をつってブランコやってみて、切れて落ちました、ぐらいのね、ちょっとした探検ができるところにしてやりたい。



<子どもたちのためだけど、私らも含めて>

 私らの子どもの頃の時代に戻したいよね。昔遊んでた丘は工場になったしね。今度学校はタブレットとかパソコンばっかになるじゃん。そうするとまた外に出なくなる。ここで竹馬で遊んだりできるところを作ってやるといいのかなあと。カブトムシでもなんでもいいけど、朝来ると樹液に集まった虫が捕れるよ、そんな里にしてやりたい。
子どもたちのためだけど、私らも含めて。みんなが来てみんなが遊んで楽しめるところを作ってやりたいな。



<「あいつに頼まれりゃしょうがない」でメンバーに>

 去年ぐらいからメンバー増えたもんね。あいつに頼まれりゃしょうがないっていうことで口伝いで少しずつ増えてる。新しい人が来ると変わった意見が出るんだ。なんでザリガニが増えたんだとか思わぬことを言わっせるから、なるほどなあと。良い悪いではなくいろんな発想を言ってくれるから楽しみなんだ。

※平成30年度豊田市矢作川研究所シンポジウム「みんなで育む地域の自然 ~豊田市アカミミガメ防除プロジェクト報告会」



写真は2018年~2021年に撮影。