矢作川を知ろう 【矢作川と人】

川辺の恵みを活かす~水辺愛護会活動地の幼竹を食べる試み~

梅村守久さん、澤田洋子さん、月山正己さん(大河原水辺愛護会)
梅村康子さん(大河原町在住)(足助地区)

 矢作川研究所は、市内の川辺を整備する「水辺愛護会」(22団体)の活動を、川辺環境を改善し、住民が川とふれあう場をつくる大切な活動として支援しています。その一環として活動地の自然の恵みを楽しもうと呼びかけています。

 2021年度の取り組みとして、多くの活動地に生えており、間伐対象となっているマダケの幼竹を使ったメンマ作りを大河原水辺愛護会(以下「水辺愛護会」)に呼びかけて、ご快諾いただきました。
 無事にメンマが完成してから約半年後、メンマ作りに携わった方々にお話を伺いました。
(聞き取り:吉橋久美子 2022年1月19日@大河原ふるさと館)



【メンマ作りについて】
 2021年6月9日、朝8時に水辺愛護会会員と地域の方、他地区でモウソウチクからメンマを作っている方、研究所員の計8人が活動地(※1) に集合しました。50~100cmに育ったマダケの幼竹を鎌で切り、皮をはぎ、節などの固い部分を除けて茹でました。食べてみると、アスパラガスやブロッコリーの茎のような食感でした。
 試行ということで、茹でた竹約8キロを三つの樽に分けて、それぞれ竹の重さの20%、25%、30%の塩をまぶし、呼び水を入れ、重石をしました。「メンマにしないで茹でるだけでもいいね」「(間伐のため)倒すだけだった竹を食べられておもしろかった」という感想がありました。
 その後、樽は澤田さんのお宅の蔵で預かっていただきました。澤田さんが度々樽をチェックして、メンマを作った方々にも声をかけて見てもらい、約一ヶ月後に竹を樽から引き上げ、天日干しや扇風機によって一週間弱乾かして完成となりました。


※1:豊田市大河原町の矢作川沿いにある活動地は、かつて竹を扱う業者によって整備された竹林で、子どもたちの遊び場でもあったそうです。対岸にあるお店まで泳いでアイスを買いにいったという思い出も、たびたびお聞きしました。しかし、川と人の暮らしが遠のく「川ばなれ」の時代を経て、川辺には竹が密生し、人が川辺に行けない状態となっていました。そこで、良い景観を取り戻そうと、大河原町の住民により結成された水辺愛護会が竹を伐り、道を均し、整備をしてこられました。






<塩漬けは「心配しいしい」だったが労力はそれほどではなかった>

吉橋:去年ここ(ふるさと館)でメンマを塩漬けしてから、澤田さんのお蔵で管理していただきましたね。
梅村(康):一人にお願いして申し訳なかったね。
澤田:申し訳ないことない。自分は楽しみながらやったので。ただ、心配しいしいだったけどね。せっかくみんなで刈った竹がパアになっちゃったらいかんという思いで。樽に黒いのが浮いてきたとか、重石が白っぽくなってきたとか、水の色が変わってきたとか、そのたびにこう、匂いを嗅いで。でもなんかあったときにはすぐ研究所に連絡したりとかして聞けたから、まあ、安心してできた。
(注:これらの状況に対して、浮いてきたものを取り除いたり、重石を洗ったり、食用アルコールで消毒したりした。)



塩漬け中の澤田さんの記録(澤田さん撮影)


天日干しの様子(澤田さん撮影)


<ちょっとこわいところもあるが、おいしい>

梅村(康):メンマ食べたら、こわかった(※2)んですよ。
澤田 :うんうん、こわいのはね、やっぱり竹が真っ青、みたいな部分。次回やろうと思ったら最初から除けたほうがいい。
梅村(守):マダケ使うなら穂先の方にして、緑色のところはやめた方がいい(笑)。
月山 :あれはちょっと無理だね。
吉橋:ささゆりの会 (※3)で地域の方に食べてもらって「おいしい」という感想をもらったそうですね。
澤田:お世辞で言ってもらったかも(笑)。
梅村(康):おいしいはおいしかったよ。ちょっとこわいのはしょうがないね。

※2:固い
※3:主に65歳以上の大河原町の住民により構成され、会食などで親睦を図る


研究員がいただき、麺つゆで味付けしたメンマ


<竹の性質と手入れ>

梅村(守):竹を伐採するじゃん。春から夏にかけて。タケノコ出てくるとやっかいだから。どんどんどんどん伐っちゃうんだけど、あれやると竹の性質がわかるよね。竹って、最初太いのが出てきて、それ伐るとだんだん細くなってくるよ。で最後、季節外れて、夏過ぎにピロンとしたのが出てくる。これ全部、あいつらが生きてくためにやってるんだけど。竹の性質みたいなものはこうやって遊んどるとよくわかってくるよ。
吉橋 :今、研究所で竹林整備のガイドブックを作っているんですけど、1年生から4年生までの竹をちゃんと管理しておけば、次にいい竹が出るっていうやり方もあるようで。
梅村(守):昔の竹やぶは竹屋さんがそういう管理をしてた。今年は何年ものを伐る、って、4年物の何寸、っていう直径の太さまで決めて伐っていく。次の年またいい竹が生えるっていうことをしていたんだけど、今やらないからね。
梅村(康):竹屋さんがいらんもんね(笑)。困ったもんだね(笑)。プラスチックなんかでやらんで竹でやってくれたらいいのにねえ。


<地元で手に入るもので、みんなでおもしろいことを>

梅村(守):タケノコ採るところから、漬けるところ、干すところ、そんなに大変な仕事ではない。ただ、それが楽しめるかどうかっちゅう話だね。
澤田:みんなでやるのはおもしろくない?
月山:みんなでワイワイガヤガヤは非常にいいと思うよ。行事が無くなったからね。集まって楽しいことやるって、いいとは思うけど。
梅村(守):ただただ愛護会で労働してるだけじゃばかばかしいし、嫌になっちゃうもんで、なにか、おもしろいことをやってみたいね。
梅村(康):地元で手に入るものでやれるものがあれば、活用するっていうのはいいことだと思うけどね。


***
 メンマ作りにご参加くださった皆さんのおかげで、おいしいメンマができました。また、竹の青い部分は除く、塩漬けが負担になるようであれば茹でるだけで完成とする、塩分は30%がよさそうだ、などの改善点もわかりました。研究所では、今回の結果を活かし、他の水辺愛護会でもマダケの幼竹利用を楽しめるよう、引き続き取り組みを進めます。

梅村守久さん(72歳)、澤田洋子さん(64歳)、月山正己さん(71歳)、梅村康子さん(79歳)
                                  (年齢は取材当時)



ヤギが草刈りをお手伝い

めぇープルファーム:鈴木光明さん(会長)(1952年生まれ)・鈴木康生さん(事務局長)(1970年生まれ)

 豊田市で河畔林を整備する住民団体「水辺愛護会」の重要な活動が草刈りです。しかし、どこの愛護会でも人手不足が課題であるとお聞きします。そんななか、豊田市新盛町(足助地区)にある「めぇープルファーム」がヤギによる除草事業を行っているということで、お話を伺いました。ヤギ除草はコストの削減を主な目的として既に各地の河川堤防などで行われています(井上・宝藤,2020)。
(聴き取り:洲崎燈子・吉橋久美子 2020年11月6日 「めぇープルファーム」にて)



写真:左から、鈴木康生事務局長、鈴木光明会長、会員の貞島容子さん

 めぇープルファームは耕作放棄地が増える山里の景観をヤギとともに守ること、住民とヤギのふれあいの場をつくることを目的に2016年に発足しました。聴き取り当時7頭(2021年2月には子ヤギが生まれ9頭)のヤギが飼育され、除草では一か月単位、イベントでは一日単位でレンタルできます。
 ファームを訪れると、丘の上で草を食んでいた放し飼いのヤギたちが走り寄ってきました。とてもなついています。敷地の一角にはめぇープルファームの会員たちが建てた丸太組みの「ヤギ小屋」があります。





<ファームの変化>
鈴木康生:始める前は、ここは雑木やら竹やらがいっぱいだった。それをまず切り倒したじゃんね。それからヤギが入ってこの状態(草丈が低く抑えられている)。新しく雑木が生えてきたりとかはない。生えれば食べる、生えれば食べるで。
鈴木光明:ヤダケがずーっと生えてたんだけど、育つ暇がない。タケノコも食うもんでね。

<ヤギをレンタルしたい場合は>
光明:冬に荒れたところを刈っておいて、春先に一か月ぐらい一回ヤギにきれいに食べさせて、夏と秋にも一か月ぐらい、食べさせるといい。つまんで千切れるぐらいの柔らかいのじゃないと食べないんで。

ヤギの送り迎えは自分たちができれば一番いいんだけど、人員が今いないので、軽トラで迎えに来ていただけると助かる。

逃げ出さないようにするには、杭でつなぐやり方があるけど、地面にロープ張って、リード付けて移動できるようにしていただけると一番いい(図)。斜面でも、縦でもいい。あとは柵で囲うという手もあるけど大変だもんね。



図:地面に張ったロープとリードでヤギをつなぐ方法。

日差しと、夜露がしのげればほとんど大丈夫です。だけどあんまりほったらかしとくといじけるんで。無視されたと(笑)。だから一日に一回は顔見せたほうがいいかなと(笑)。杭の場合は日に最低2回ぐらい見てもらわんと、つくなっとる※1ことがある。あと太い草が生えとると草を巻いて動けなくなる。


<ヤギもそれぞれ>
康生:ヤギはすぐ慣れる。でも最初に会長のところに行った一頭が慣れなくてね。
光明:もう今は大丈夫。いやあ、それぞれね、個性がある。一番ビビリだったやつがね、今一番冒険心がある。あいつが先頭に立ってどこへでも行っちゃう(笑)。

<2年目には成果が>
光明:昔はこの辺でもヤギ飼っとったよ。お乳と草刈りの両方で。ヤギを入れればね、1年目は厳しいかもしれんけど2年目になれば、もうこのファームみたいになるもんね。
洲崎:(食べられていない草がわずかに残っているのを見て)おもしろいですね、チカラシバだけ残ってて。嫌いなんですかね。
光明:それね、食べないんだわ。葉の細いものと茎の硬いものはどうしても残すね。花の咲く前なら食べちゃう。秋にここまで伸びると固くて食い千切れないんだよね。





***
めぇープルファームの風景はヤギの仕事ぶりがよく分かるものでした。豊田市藤岡町の緑が丘西公園で2021年4月にめぇープルファームのヤギたちによる除草の実証実験が行われる予定だそうです※2。

井上勇樹・宝藤勝彦(2020)ヤギを活用した堤防植生管理の効果 -BACIデザインに基づく現場除草実験・結果分析から―.河川総合研究所報告、25:21-33.
※1.つくなっとる…「つくなる」。ここでは、杭にリードが絡まってヤギが身動き取れなくなってしまっている状況。
※2.矢作新報2021年2月26日



みんなが遊んで楽しめるところを作ってやりたいな

萩野鎭夫さん(1948年生まれ)(初音川ビオトープ愛護会会長) 

豊田市で水辺を整備する住民団体、「水辺愛護会」のうち、最も南部で活動しているのが初音川ビオトープ愛護会です。初音川ビオトープ愛護会は、初音川と逢妻男川の合流点のビオトープにおいて、年間20回に及ぶ草刈りやごみ拾いなどの他に、ミシシッピアカミミガメの防除、ニホンミツバチの養蜂も行っています。その活動の原動力が何なのか、会長である萩野さんにお伺いしました。
      (聴き取り:吉橋久美子 2021年1月29日 豊田市矢作川研究所にて)



<やるのが当たり前>

吉橋)初音川ビオトープ愛護会の皆さんの熱意はどこからくるのか、関心を持っています。
アカミミガメ防除に関する研究所のシンポジウム※でパネリストとしてご登壇いただきましたが、そのときは、活動に対し「先祖代々、やるという機運があって」とおっしゃっておられましたね。

萩野)誰かがやらないかんし、やるのが当たり前って生活してきたからね。地区で信頼されてる人が活動に出てひっぱってくれるし。ま、めちゃな要求しちゃいかんけどね。こんな奉仕作業でめちゃなこと言うことはないもんね。
 楽しみもあるよ。ハチミツとったらわけるし、農園の野菜とか、いろんなものをもってきて、「欲しいやつ持ってけよー」って言う人がいたり、物々交換みたいな世界があるから。
 でもいずれ、僕らの子どもの時代は、そういうお山の大将はいなくなるんじゃない?そうすると、なかなかみんなが言うこと聞かんかもしれんね。今は自分で少々燃料代出しても草刈りしてもいいっていう時代だけど、それが、時代が崩れるかもしれんね。




<子どもが遊べる場所を残していかんと>

 子どもが遊べる場所を残していかんと。だって、あの子ら、行くとこないもんね。お金を出せばなんでも買える時代かもしれんけどね。自然でちょっと遊べるようなとこにしてやりたい。自分で勝手に木に縄をつってブランコやってみて、切れて落ちました、ぐらいのね、ちょっとした探検ができるところにしてやりたい。



<子どもたちのためだけど、私らも含めて>

 私らの子どもの頃の時代に戻したいよね。昔遊んでた丘は工場になったしね。今度学校はタブレットとかパソコンばっかになるじゃん。そうするとまた外に出なくなる。ここで竹馬で遊んだりできるところを作ってやるといいのかなあと。カブトムシでもなんでもいいけど、朝来ると樹液に集まった虫が捕れるよ、そんな里にしてやりたい。
子どもたちのためだけど、私らも含めて。みんなが来てみんなが遊んで楽しめるところを作ってやりたいな。



<「あいつに頼まれりゃしょうがない」でメンバーに>

 去年ぐらいからメンバー増えたもんね。あいつに頼まれりゃしょうがないっていうことで口伝いで少しずつ増えてる。新しい人が来ると変わった意見が出るんだ。なんでザリガニが増えたんだとか思わぬことを言わっせるから、なるほどなあと。良い悪いではなくいろんな発想を言ってくれるから楽しみなんだ。

※平成30年度豊田市矢作川研究所シンポジウム「みんなで育む地域の自然 ~豊田市アカミミガメ防除プロジェクト報告会」



写真は2018年~2021年に撮影。



水辺愛護活動の安全性を高める

平松清文さん(1954年生まれ)(太田川(だいたがわ)河川愛護会会長) 

<「多自然型工法」で改修された太田川>
 豊田市の松平地区を流れる準用河川太田川は1990-1999年度に河川整備事業がおこなわれた川です。当初は圃場整備に伴ってコンクリート護岸が計画されていましたが、途中で多自然型川づくり工法(近自然工法)に変更され、コンクリート護岸よりも自然の川の姿に近く、かつ、災害に強い形に整備されました。
 そして2000年、地元住民による「太田川河川愛護会」が発足し、これまで20年の長きにわたり、草を刈り、ごみを拾い、太田川を守ってきました。
 先日、会長の平松さんから、活動をするうえで改善してほしいことがあると連絡をいただき、お話を伺いました。今回は草刈りの安全性について的を絞り、対策を講じた写真とともにご紹介します(複数回の聞き取りをもとに構成しました)。
(聴き取り:吉橋久美子、高橋啓太。2020年1月21日(吉橋)、4月22日(吉橋、高橋))



<斜面の草刈り>

(斜面を歩きながら)ここはもう足場がないようなところで草を刈ってるんですけれども。これで自分の体重支えながら刈るんだもんね。すごい不安定。それで草刈り機持って。ずり落ちると危ないんですよ。
 で、どうやってるかというと、自分で真ん中に10センチぐらいの足場を作ってるじゃんね、作業用の。そうすると、すごい楽に草が刈れる。これだけでえらい違いだ。平らな所を歩くのと斜めのところを歩くので全然違うんだ。
 草刈り機で草が刈れるのは半径2メートル程度。だから、草刈りが必要な場所から2m以内に安全な足場を確保したい。




対応>>斜面に小段を入れる工事が行われました(写真右)


<地面がイノシシに掘られる>

 今一番いかんのはイノシシが地面を全部掘って、足場がすごく悪い。草刈りの時に掘られたところに足を取られてバランス崩したりするんですね。うまく刈れないですし。




対応>>イノシシに掘られた地面の整地をしました(写真右)。


<石張りの護岸部分の草刈り>

 岩があると大水の時、岸が削れんでいいというのはありますよね。だけども、岩を組むと結局草が生えてきて、木も生えてくる。だからみんな、ずり落ちるような斜めのところで一歩一歩、確認しながら、草刈り機を持って草を刈ってて。
 草刈り機が届く範囲のところでやっぱり段を作って足踏ん張って刈れるような形にしてくれないと、管理するのが怖い。




対応>>河川が曲がっている部分(約50m)では、大水が出た時の洗堀を防ぐために石が張ってあります。そのため、整地や小段設置が困難であり、今後は業者の方に頼んで草刈りをしてもらうことになりました。 
写真左)2000年10月31日 写真右)2020年5月20日 石張りの間から草が生えている


<管理する側の視点を今後に生かしてほしい>

 太田川自体の対応も大事だけど、新しく整備するところについても管理する人のことを考えて管理しやすいように作ってほしいな。「自然のイメージ」や景観だけじゃなくて。それに、ここは高齢化しているけどそういう所は他でも多い。ボランティアの人に頼むことになるにしても、危ないと頼めないよね。

<子どもたちに川で遊べる楽しさを>

 僕はやっぱり子どもたちに川で遊べる楽しさをと思ってやってるんですけども実際にこの自治区の子たちはほとんど来ません。まずお父さんたちが川に連れて行かない。
 よく来るのは名古屋の人たちで、ここはきれいだねと言って、特に夏休みになると多いですね。草を刈ってあるところにタープを張って遊んでいきますよ。三面張りで梯子をかけないと降りられない川も多いけどここはどこからでも降りられる。亀の甲みたいに石が組まれているところは子どもたちが岩の上から飛び込んで、すごい喜ぶ。

<ボランティアが来てくれると嬉しい>

 川だけじゃなく、集落のお役の草刈りもあるし、自分の畑や田んぼの草刈りもあるし、かといって活動の回数を減らすと後々大変。草が大きくなりすぎるし、洪水があった時に草が寝ちゃったりして草刈り機では刈れなくなっちゃいますし。
 今はできる範囲で続けていこうと思います。草刈り機を持ち込んで一緒になってきれいにしてくれるボランティアがいると嬉しいんだけど。地域貢献したいっていう人がいると思うんだけどね。

参考文献
*矢作川研究所「RIO」への平松清文さんの寄稿 「太田川河川愛護会 ―10年後・20年後をめざして!―」「RIO N0.34」(2001年2月号)。
*矢作川研究所による太田川の生物モニタリング調査結果
・内田朝子編集「太田川多自然型川づくり~第一回モニタリング調査を終えて~」「RIO No.38」(2001年6月号)
・内田朝子・洲崎燈子・山本敏哉・白金晶子・藤井泰雄(2004)準用河川太田川自然環境調査報告―多自然型川づくりを用いた河川整備の評価―。矢作川研究、8:187-218。



「地域ひっくるめて」の竹林再生を目指すメンマづくり

このページは、矢作川の流域に関わりのある方にお話を伺い、「語られたままの言葉」をできるだけ生かして、川と人とのつながりをご紹介することを目的として作成しています。

山岡真人(まこと)さん(1976年生まれ)(「竹々木々(ちくちくもくもく)」(アドバイザー))
野田侑希さん(1986年生まれ)(同 共同代表) 

 近年、山間部や川辺に見られる荒廃した竹林をなんとか生かそうという動きが各地で起こっています。豊田市旭地区でも、「地域を担う人材創造拠点」として立ち上げられた施設「つくラッセル 」(注1)のグループ「バンブーチャイルド」が2018年に竹林再生を目指してメンマづくりを始めました。
 そのメンマづくりの中心人物だったのが旭で生まれ、矢作川を遊び場として育ち、今も投網(網を投げて、潜って押さえる)でアユをとっては家族にふるまう山岡さんです。高校時代やご結婚当初の一時期以外はずっと旭に住んでおられます。
 今年のメンマづくりの中心となるのは野田さんです。「竹好き」で知多半島の竹林整備に携わっておられましたが「山に住みたい」と旭に移住。「日用品のほとんどは竹でできる。ずっと使えないからこそまた竹は伐られ、循環していく」と、竹の可能性を追求し、竹細工を習い、竹行灯ワークショップなどを企画しています。
 「竹々木々」は「バンブーチャイルド」が発展したもので、竹だけでなく旭の地域材をもっと利用しようと2019年4月1日に発足。その翌日にお話を伺いました。
(聴き取り:洲崎燈子、吉橋久美子 2019年4月2日 「つくラッセル」にて)





<タイミングが重なってメンマづくりがはじまった>

山岡:4年ぐらい前に、なんかふと、竹でメンマ作れんのかなあと思ったことがあって。自分そんなラーメン好きじゃないけど(笑)元々料理人でいろいろ作るの好きなんで。自分とこも山持っとるんで竹はね、ずっとあったんで、なんとかできないかなあと。
(先進事例である)天竜のメンマづくりのことは、雑誌(注2)で見てて 。で、矢作川研究所のシンポジウム(上記のメンマづくりを企画し、雑誌記事で紹介された曽根原宗夫氏の講演が行われた)に参加した「本気部」(注3) (地域情報誌の企画)の仲間に誘われて、去年の4月に天竜に視察に行って。で、「つくラッセル」のグループでやったら面白いんじゃない?ということで、いろんなタイミングが重なって始まったんです。愛知学泉大学の学生さんや愛知県(行政)の人も手伝ってくれました。


<メンマづくり、試行錯誤の一年>

1.タケノコを伐る
 有間竹林愛護会(注4) の竹林と築羽(つくば)自治区の竹林で、去年は主にハチクのタケノコを伐りました。2mぐらいのタケノコでいいんだけど、鎌で伐れる堅さのところを伐る。無理しんでサクッと伐れる感じのところ。
 みんな去年は「初」でわからんし、強引に伐れば伐れちゃうもんで、無理くりね(笑)、メンマにしちゃって後で繊維が出て食べれないっていうのもあって。戻してみたら筋張ってて食べれん。やってて悲しくなってね。自分のようにやっとると経験上ね、これは食べれるとこだなってわかるんですけど。





2.茹でて、塩漬けする
 えぐみが出るんで節をとって、茹でてから塩漬けします。メンマって、ちゃんと発酵されるとすごい美味いんですよ。アミノ酸がすごい出るんで。うちは発酵食品、乾燥食品で作りたかったんで、ちゃんと乳酸発酵させて、天日干しで。
塩分濃度はうちは10%にしたんですよね。一か月ぐらいでちゃんと繊維もほどけて。夏越すならもっと塩分濃度高めて20%とか。塩分濃度が高いと乳酸発酵は遅れます。



(竹林で竹を伐り、カットして茹でるまでの4枚の写真は竹々木々提供)

3.干す
 乾燥は天日だけだったら3,4日あればカリカリぐらいに。そうしとけばその後は一年中いつでも戻していいですよっていう状態にしとけれる。

4.水で戻して調理する
 成形調理の前日に水で戻す。戻し方もコツがあります。塩抜きと兼ねてるわけで、戻し過ぎるとうまみも全部出ていっちゃう。流水でやっちゃうと抜け過ぎちゃうんで、できればためた水で入れといたほうがいい。
 でカット成形して調理ですね。サイズは細かいと乾燥工程が大変になっちゃう。今年はもうちょっと大きくやろうと。
 味付けは築羽の梅とネパールのスパイス。化学調味料は使わないで、ほんとに酒と、みりんと醤油、スパイスで、しかもこだわったものを使っとるだけで。ほんとはアユ味を作りたい。「アユチョビ」(山岡さん手作りのアユの塩蔵品。「アンチョビ」に似せた名で呼んでいる)を使ってやると絶対うまい。

<5.販売する>
 去年は11月に販売したけど(75g800円。100袋を製造し、1か月ほどで完売)、寒いと香りが立たないんですよね。本当はタケノコが出た時期に仕込んで、そのまま流れで夏に販売できると一番売りやすい。今年はこの辺の夏祭りで売りたい。



<旭全体で盛り上げたい>

野田:今年は地域の人から竹を買い取ります。厚みのあるモウソウチク限定で、「朝どれ」がポイントで(注5) 。すべての工程に地域の人が関わってくれるといいなと思うので、ワークショップとかでやれたら。地域ひっくるめてやりたいので。

山岡:旭全体で盛り上げたいんですよね。ちゃんとできるようになれば買い取りは一本300円じゃなくて500円ぐらいまではいけるんじゃないかなあ。要は、みんなの仕事を作りたいんですよ。プチ仕事でもいいんで主婦層、女性陣、じいちゃんたちも、それで興味が湧けば多少竹林に手を入れるかなと思うんですよ。
 旭も昔は竹を扱う人が一つの集落に一人はいましたね。自分が子どもの頃も農機具屋の人がやっていた。まだ道具はあるって言ってましたけど、継ぐ人がいないんで。道具だけでもレスキューできるといいんですけど。
 うちの親父は「こんな(大きな)タケノコとっていいんか」、っていうけどそれがいいんだよって。昔はねえ、旭でも、大きいタケノコにして取っとった地区とかもあるんですよ。戦後の食糧難の時代。そういう面でもおもしろい。昔の竹利用とかね、聴いときたい。竹だけじゃなくていろんなことがね、まだまだ、聴けてない話が多いと思うんです。


(注1) 「平成24年3月に137年の歴史に幕をおろした旧築羽小学校を再活用した地域を担う人材創造拠点。」(つくラッセルfacebookページでの紹介文)。2018年オープン。
(注2) 雑誌では、長野県飯田市の舟下り会社に所属する船頭である曽根原宗夫氏を中心に立ち上げられた、川沿いの放置竹林を間伐し、その竹を燃料として燃やしたり、筏、メンマ等に加工して活用する「鵞流峡復活プロジェクト」が紹介された。プロジェクトの過程で地域のつながりも生まれているという。雑誌『BE-PAL』(2018年2月号「地方創生時代の歩き方 ルーラルで行こう!」No.33)。
(注3)地域情報誌『耕ライフ』誌上で一般に参加者を募り、「当たり前のように購入していたものを作ることにより、作り手や大地の恵みへの感謝の心をはぐくみ、知識や技術を身につける」ことを行う企画で、メンマづくりは「ラーメン」作りの一つとして実施された。
(注4)矢作川の川辺の竹林を保全する地元団体。
(注5)「長さ1.8m、直径13cm以上の朝どれ孟宗竹のタケノコを1本300円で限定100本買取します」(「つくラッセル news 2019年4月号より」)。「朝どれ」に限定しているのは、時間が経つとえぐみが出るため。