(2016年7月13日、8月22日 聴き取り 吉橋久美子)
田代川(小原地区)から矢作川へ
小さいころは田代川の下仁木、上仁木の辺までが「縄張り」でね(笑)。中学生ぐらいになったら矢作川へ行った。矢作川にはいろんな種類の魚がおるもんだからね。
川の恵み…「食」
カエル、ツボ※2、川の魚、動くものはほんとに何でも食べたね。他にたんぱく源なかったもん。釣竿なんてあらへんくて、川の中入って横にある穴探すんだね。その中に手を突っ込んで、アカモト※3だとかオイカワだとかそういうの手掴みにするんだわ。オイカワはうまいよ、骨が柔らかいから。
それからイシャンコ※4ね。割りばしの先に木綿針を二つつけて糸で巻いてしばって、水中メガネやっとって突くんだ。あれピッピッてこんぐらい(10数㎝)しか動けへんもんね。ほれを突いて、佃煮にするんだけどね。うまかったなあ。いっぱいおったよ。あのころは。
川の恵み…「遊び」
遊ぶもんもなかったもんでねえ、ほんとに。夏はもう、学校から帰ったらすぐ川。僕なんかカバンをほのまんま傍に置いといて(笑)。石を集めちゃあ堰を作ってね。水の中だと石が軽くなるもんで。みんなで協力して。で、川をちょっと深くしてそこで泳いだもんで(笑)。唇が紫色になるぐらいやーっと※5入っとった。
田代川には木を渡しただけの橋があって、そういうとこからみんなダーンと飛び込んだ。おもしろかったねえ、川遊びは。
田代川の今。コンクリート二面貼りに。
川でみんなで「勘考する」
メダカもよう摑んだね。メダカはね、帽子を下へ入れといて、すーっと上に抜くだがね(笑)。生活の知恵でね、みんな勘考するがね。あれがええとかこれがええとか。今の子はすぐタモ与えちゃう。昔の人は、そう親にあれ買ってくれこれ買ってくれって言えへんもんだから自分たあ※6でできるもんで、魚を捕まえる方法を考えたりね。昔の人の方が遊ぶことは上手だったかもしれんね。
体験することで
やっぱり川に入ればどんな魚がおるかということね、こんな色だったあんな色だった、あれはヒゲがあったけどこれはなかった、そういうことが分かると思うんだけどね。うまい魚がどれかっていうことも(笑)。
けがもしとったけど、「どうするとけがをするか」がわかる。薬になる草も知っとった。
先輩がなんでも教えてくれた。
※1.よく考えること。当地方で日常的に使う ※2タニシ ※3.カワムツ ※4.ヨシノボリ ※5.長い間 ※6.自分たち