No.120 ヨツメモ

 今年の3月に、矢作川の支流の力石川に出かけました。水温む弥生、早春のやさしい光が差し込む川底に目を向けると、一瞬、カワノリと思うような、きれいな薄緑色の藻類が生えていました。手にとってみると、ヌルヌルふにゃとなってすぐに型崩れしました。本流矢作川で早春にしばしば見かける糸状緑藻カワヒビミドロとは全く違う藻類でした。
この藻の外観は海辺に生えるアオサによく似ていましたが、山里の小川、まみず(淡水)に生えるのは、一体なんという藻類なのだろう? 興味津々で急いで顕微鏡で覗いてみました。
 「あなたは、なんというお名前です?」と尋ねながら、図鑑と照らし合わせました。ヨツメモ(Tetraspora属)という緑藻に該当しました。鞭毛を持ったまん丸細胞が4個ずつ一組になって大きな寒天質の膜に入り、大きな群体を形成していました。
 トロッとして美味しそうなので、次回確認した時にはお味噌汁に入れて食べてみようと思っています。力石川の魚たちも旬の食べものとしてヨツメモが繁茂する春を心待ちにしていたのかもしれませんね。


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