No.175 ヒメボタル

 5月中旬、地元の方から「矢作川河畔の公園の土手にホタルがいるよ」との連絡がありました。その日の午後9時ごろに行ってみると、土手の草むらの中で光るヒメボタルを複数確認できました。(写真はオス)。体長は6~9mmくらい。本州・四国・九州に広く分布するコウチュウ目ホタル科の昆虫です。オスとメスのいずれも腹部に発光器があり、小さい体の割に強く光る様子が観察できました。
 みなさんがよく知るゲンジボタルやヘイケボタルは幼虫が水中で生活するため、「ホタルは水辺の昆虫」というイメージが強いかもしれません。しかし、日本に生息する52種のうち「水生のホタル」はこれらを含む3種のみで、ヒメボタルを含む残りの種はすべて幼虫が陸上で生活する「陸生のホタル」です。ヒメボタルは、おもに山地・丘陵地の樹林や街中の緑地などに生息しており、名古屋城の外堀にも生息することが知られています。
 ヒメボタルは、夜には人が近づかないような場所に生息することから、その存在はあまり知られていないようです。今回は、たまたま地元の方が見つけて生息が明らかになりました。夜、樹林地や草むらを観察すると、以外に身近な場所でヒメボタルを見つけることができるかもしれません。(浜崎健児)


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