No.182 ヒガシニホントカゲ

 2023年4月11日、豊田市立拳母小学校の近くを歩いているときに見つけました。石垣の近くで動かないトカゲが2個体。よく見ると片方が噛んでいるようです。微動だにしないので、お互いに噛み合って相打ちとなり死んでしまったのかと思っていました。近づくと、尾が少し動いたので、驚きつつもスマホで急いで撮影しました。
 鱗の感じからニホントカゲの仲間のようですが、図鑑を調べると分布域的にヒガシニホントカゲのようです(2012年に近畿以東のニホントカゲがヒガシニホントカゲとして記載されました)。少し近づいても噛んだままの状態で「かなり執拗に噛んでいるなぁ」と思いましたが、その理由はなぜでしょうか。別の少し昔の図鑑で、ニホントカゲが噛んでいる写真があり、繁殖期の雄同士のテリトリー争いと解説されていました。一方、別のページには、交尾の際に雄が雌の首をくわえる写真も掲載されていて、今回の写真がどちらに該当するか判断に迷うところです。ただ、繁殖期の「雄ののどには赤い婚姻色が現れる」とあり、今回の写真では噛まれている方の個体ののどが赤く雄と考えられるため、雄同士の争いのようです。
 繁殖期は4月中旬~5月中旬頃とあり、今回の写真を撮影した時期とも一致します。繁殖期はもう少し続くようなので、今回と同じような光景に出くわすかもしれません。テリトリー争いに一生懸命なので、じっくり観察できるチャンスです。散歩などの際に、足元を注意深く見るのも良いかもしれません。(小野田)


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