No.156 マルカメムシ

 4月下旬、矢作川河畔に生えたカラスノエンドウに集まるマルカメムシを見つけました。体長は5mmくらい。特徴的な丸っこい形態をしています。クズやハギなどのマメ科植物を餌とするため、ダイズやアズキの害虫として知られています。成虫で越冬することから、秋に家屋の壁や洗濯物に集まり、問題になることもあります。
 植食性カメムシ類の多くは消化管内に共生細菌を保持しており、これによって限られた特定の餌だけでも生きていくことができます。マルカメムシは、産卵時に卵と一緒に共生細菌が入ったカプセルを産み、孵化した幼虫がそれを食べることで母親から子に共生細菌が引き継がれるそうです。
 害虫でくさい臭いを出す「厄介もの」と見られがちですが、不思議な生態を知ると、興味深くて貴重な種に見えてきます。(浜崎健児)


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