大洞市有林に植物調査枠を設置しました

2017/08/29

矢作川流域はおよそ7割の面積を森林が占めており、森林面積の約半分が人工林です。しかし2015・2016年に豊田市が実施した航空写真分析の結果から、豊田の人工林の約7割が緊急的な間伐が必要と判断されており、暗い林内で植物が減ることで、森の土が水を蓄える「緑のダム機能」が下がったり、土砂崩れの危険性が高まっていることが懸念されています。

豊田市森林課は水道水源保全事業の一環として、人工林の間伐が川の流量と水質に及ぼす効果を検証する調査を始めました。隣り合う2つの小さな流域がある場所で、片方の流域を「間伐を行う処理流域」、もう片方の流域を「間伐を行わない対照流域」として設定し、処理流域の全体を間伐し、間伐による流水や流出する土砂の量、水質の変化を調べる調査です。

この調査では、水や土砂の観測を東京大学生態水文学研究所が行い、植栽木や林内の明るさ・植物の変化は矢作川研究所が調べます。タッグを組んで、人工林の間伐が川の流量に及ぼす影響を調べようという取組です。

この日は小原地区の大洞市有林内の実験区に、洲崎、白金の両研究員と、インターンシップで来所した名工大、豊田高専の学生さんたちとで、植物調査枠を設置しに行きました。およそ20m四方の枠を4ヶ所に設置したのですが、場所によっては急勾配で足場が悪かったり、見通しがきかなかったりと、大変骨が折れる作業で、終わる頃には全員汗だく、疲労困憊でした。設置を終えて、谷まで転がり落ちたピンを回収して帰りました。そして研究所に戻ってから、丸1日山の中にいたのに、1枚も写真を取る余裕がなかったことに気付きました。
これから植栽木の調査を始めていきます。ゆっくり流れる森の時間の中で、その変化を確実にとらえていきたいと思っています。


樹冠が雨を遮る量や、木の幹を伝い落ちる雨を測っています。


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