矢作川研究所日記

2017/08/30

「矢作川探訪マップ」リニューアルのため川辺を歩きました

研究所では、矢作川の川辺の魅力を伝え、市民のみなさんを川へ誘う「矢作川探訪マップ」のリニューアル版を作成中です。
この日は現地確認のため、インターン生お二人とともに、歩いて楽しい川辺を探して矢作川の中流部へ。




左岸側では千石公園や御立公園、野見山展望台など、右岸側では明治用水頭首工、長興寺、竜宮社などを巡りました。暑い、晴れた一日で、川に入って遊ぶ人々の姿も見受けられました。マップは来年春、発行の予定です。





2017/08/29

大洞市有林に植物調査枠を設置しました

矢作川流域はおよそ7割の面積を森林が占めており、森林面積の約半分が人工林です。しかし2015・2016年に豊田市が実施した航空写真分析の結果から、豊田の人工林の約7割が緊急的な間伐が必要と判断されており、暗い林内で植物が減ることで、森の土が水を蓄える「緑のダム機能」が下がったり、土砂崩れの危険性が高まっていることが懸念されています。

豊田市森林課は水道水源保全事業の一環として、人工林の間伐が川の流量と水質に及ぼす効果を検証する調査を始めました。隣り合う2つの小さな流域がある場所で、片方の流域を「間伐を行う処理流域」、もう片方の流域を「間伐を行わない対照流域」として設定し、処理流域の全体を間伐し、間伐による流水や流出する土砂の量、水質の変化を調べる調査です。

この調査では、水や土砂の観測を東京大学生態水文学研究所が行い、植栽木や林内の明るさ・植物の変化は矢作川研究所が調べます。タッグを組んで、人工林の間伐が川の流量に及ぼす影響を調べようという取組です。

この日は小原地区の大洞市有林内の実験区に、洲崎、白金の両研究員と、インターンシップで来所した名工大、豊田高専の学生さんたちとで、植物調査枠を設置しに行きました。およそ20m四方の枠を4ヶ所に設置したのですが、場所によっては急勾配で足場が悪かったり、見通しがきかなかったりと、大変骨が折れる作業で、終わる頃には全員汗だく、疲労困憊でした。設置を終えて、谷まで転がり落ちたピンを回収して帰りました。そして研究所に戻ってから、丸1日山の中にいたのに、1枚も写真を取る余裕がなかったことに気付きました。
これから植栽木の調査を始めていきます。ゆっくり流れる森の時間の中で、その変化を確実にとらえていきたいと思っています。


樹冠が雨を遮る量や、木の幹を伝い落ちる雨を測っています。



2017/08/22

鹿乗川を調査しました


 
 安城南高校の科学部の生徒さん達と鹿乗川の調査を行いました。鹿乗川は岡崎市の水田地帯を水源とし、高校の近くを流れて矢作川に合流する川です。科学部では以前から水質調査などを行っていましたが、今回、鹿乗川の自然環境を地域の小学生に知ってもらうための教材づくりの一環として、川の生きものを調べました。

 鹿乗川は普段から少し濁りがあり、水質もあまり良くありませんが、みんな臆することなく川に入っていきました。調査は一定の面積にどれだけの生き物がいるかを調べる定量調査をはじめ、タモ網やカゴ網を使用して魚類や水生昆虫を採集しました。魚類ではタモロコ、ギギ、カマツカ、水生昆虫ではたくさんのコガタシマトビケラ属のトビケラが捕れました。ただ、カダヤシやカワリヌマエビ属、サンカクアタマウズムシ科の外来種も多く確認されました。

 現場で採集した生物は学校に持ち帰り、顕微鏡やルーペなどを使って種類を分けました。生徒さんたちは一緒に捕れてしまった水草や砂の中から小さな虫を探し出したり、資料や図鑑を見ながら種類を特定したりと、根気良く作業を続けていました。



2017/08/16

投入した礫の上で多数のアユを確認(ソジバ再生実験:阿摺ダム下流)



4月下旬に実験を開始して以降、現地でアユの生息状況を調査しています。新しく礫を敷いた場所(330m2)で確認されるアユの数は7月以降に増加し、8月上旬には周囲よりも8倍ほど多くのアユ(約150尾)が出現し、盛んに付着藻類を食んでいました。しかし、なわばりを持ったアユはここでも1尾も確認されず、アユの大きさ(全長)も12~16cmと小型のアユが主体でした。今後、アユが成長するにつれ、なわばりを形成するかどうかに注目しています。



2017/08/06

西大排水路の水生生物観察会


永覚子ども会と永覚みどりの会共催の西大排水路の水生生物観察会は、今年で11回目となりました。浜﨑健児と内田朝子が講師として参加しました。子ども会の皆さんは、観察会をとても楽しみにしており、今年の参加者は72名でした。普段見慣れている川ですが、みんなでガサゴソをすると、メダカやモツゴのほか、捕獲数は少ないもののフナやヤゴなど里山の小川に定番の水生生物が確認できました。この日は、渇水で農業用水40%節水という条件下でしたが、地元のお宝であるトウカイコガタスジシマドジョウにも出会うことができました。(内田朝子)