矢作川研究所日記

2025/07/08

夏休み川遊び体験イベントの下見に行ってきました!

川遊び体験イベントと同じ時間帯に川の生き物を確認


2025年7月8日に,矢作川中流域の側流(越戸公園横)で川遊び体験イベント(7/21月祝)の下見を行いました.

イベント当日と同じ時間帯に下見に行き,木陰のでき方を確認したり,生きもの採集をしたりしました.

最近の暑さで,陸上での解説ができるか心配していましたが,ちょうどいい場所に木陰があって安心できました.水温は24℃弱で,気持ちよい涼しさでした.参加者の動線などを現地でイメージし,必要物品を考えられたのも良かった点です.

川遊びの際に見てもらえそうなもの・楽しんでもらえそうなものを探すべく,実際に川の生きものを確認しました.内田さんは瀬にかがみ込んで,石についた藻類を念入りにチェックするとともに,水中の様子を撮影するという念の入れようでした.白金さんは,様々な場所にタモ網を入れ,どこで水生昆虫を見てもらうのが良さそうかを検討していました.私は,どんな魚が捕れるかな~と試し捕りをしていましたが・・・期待したほどは捕れませんでした(優雅に泳ぐアユやオイカワも捕りたかった・・・).

今日の下見も参考に,川遊び体験イベントの内容を考えて,参加者の皆さんに楽しんでもらえるように工夫したいと考えています.乞うご期待!(小野田幸生)


水温は24℃弱で快適


水中の様子を撮影する内田さん


様々な場所で水生昆虫などを探る白金さん


採集した生きものの一部



2025/07/07

淡水魚のカード図鑑(第1弾),準備中!

作図などが完成したカード図鑑


2025年7月7日,研究所では「淡水魚のカード図鑑」の準備が進められています.夏休みのイベント(例:7/21月祝の川遊び体験)などで配布するための準備です.

このカード図鑑ですが,表面には淡水魚のイラストがあり,裏面には解説(大きさ,形態,生態など)が載っています.種類を見分けるポイントをわかりやすく示せるよう,写真ではなくイラストを載せています.

このイラストを作成してくれたのは,当研究所事務員の濱野さんと川村さんです.最近の調査で採集した淡水魚の写真をもとにデジタルイラストを作成してもらいました.私からの細かな(そして度重なる)要望にも丁寧に応えてもらい,とても素敵なカード図鑑がついに完成しました!その数,なんと49種類.圧巻です.

作画担当者の「推し」カードを聞いたところ,濱野さんは「ヌマムツの幼魚」と「カワバタモロコのメス」で,川村さんは「タカハヤ」と「ホトケドジョウ」とのことでした.作画の工夫や苦労を含めての「推し」カードなのだと思います. 

このラミネート加工されたカード図鑑にはパンチであけた穴があり,カードリングで単語帳のようにまとめられるようにしています.捕った魚のカードを集めれば,自分がとった魚のカード図鑑として仕上げられます.コレクター根性を満たすもよし,自分が捕った魚種を見返すもよし…いろいろな活用ができると思っています.このカード図鑑が,淡水魚ファンを増やすことに役立つとよいな~と考えています.

手に取る機会があれば,ぜひ感想もお聞かせください.(小野田幸生)


第1弾,全49種類


裏面には解説付き


作画担当者の推しカード


配布用に作成作業が進められています



2025/06/24

岩本川について平井小学校の2年生が室内学習をしました

豊田市百々町にある平井小学校では、近くを流れる岩本川について、4年生が今年度2回の学習をしましたが※1、6月24日に2年生(40人)も学習しました。

授業は岩本川での生き物採集の予定でしたが、あいにくの雨で室内学習になりました。講師の山本大輔研究員は、室内学習を見越して前日に岩本川で生き物採集を行い、2年生の皆さんにしっかり実物を見ていただけるよう準備をしていました。

授業では、岩本川に行ったことがない児童が半数以上だったため、ドローンで撮影した上空からの川の映像と水中の映像を流し、岩本川をイメージしてもらいました。水中映像は、狭いところと広いところを比較したもので、川の中の様子の違いがわかります。

次に、生き物の採り方を説明するため、プログラミングソフトで作ったオリジナルゲーム「いわもと川で遊ぼう」を実演しました。麦わら帽子をかぶったキャラクター「ガサ男くん」が、岩本川の写真上でガサガサ※2をすると、カワムツやドジョウが採れたり、石が入っているだけだったりします。これは子どもたちに大好評で、山本研究員の操作でうまく魚が採れると大きな拍手が起こりました。ゲームを通してガサガサを説明することで、暑さや雨で川に行けなくても、川や生き物に興味をもってくれることを期待しています。

その後、岩本川のヤゴやカワニナなどの実物を、画面上に大きく映しながら見てもらいました。岩本川には様々なヤゴがおり、それは、岩本川に多様な環境があることを示しています。最後に、魚類を一種類ずつ、丁寧に見てもらいました。紹介したのはカワムツ、カワヨシノボリ、そして「ドジョウ三兄弟」です。ドジョウ三兄弟(ドジョウ・ニシシマドジョウ・ホトケドジョウ)はそれぞれ口の付き方や、ひげの本数、好む場所が違うことなどを説明しました。このドジョウ三兄弟の存在からも、岩本川の環境の多様性の高さがわかります。2年生の皆さんは熱心に授業を受け、質疑応答では多くの質問や感想を言ってくれました。

子どもたちは、山本研究員の解説を聞いた後、ヤゴなどが入った容器や、魚が入った水槽を取り囲んで、授業の時間が終わるまで、熱心に生き物を見ていました。(吉橋久美子)

※1.平井小学校4年生の川学習の様子(研究所日記)

※2. 岸辺の川底に網を置き、上流側から足で魚を追い込む魚とりの方法。
参考:Rio.No.228(2023) p6「ガサガサとクイクイ」 


ゲーム「いわもと川で遊ぼう」でガサガサの雰囲気を味わう

ニシシマドジョウ(左)、ドジョウ(右)

水槽の魚を観察する様子

カワヨシノボリの吸盤状の腹ビレを見る



2025/06/16

国立環境研究所の末吉さんに,セミナー講師をしてもらいました.

末吉さんによるセミナーの様子


2025年6月16日に,末吉正尚さん(国立環境研究所 生物多様性領域・琵琶湖分室 研究員)に,矢作川研究所セミナーの講師をしていただきました.

「気候変動下における河川生態系の保全・再生に向けたダム及び流域管理」と題した講演では,末吉さんの研究成果を中心に最新知見を紹介していただきました.

地道な現地調査に基づく魚類の潜在分布マップの提示や,水温上昇に伴う分布域の変化の重ね合わせなど,矢作川の流域でも活用できそうな研究方法やその結果の提示方法を学ぶことができました.また,ダムからの土砂供給の効果を継続的に評価する際には,目標とする場所の環境も時間的に変化していることに注意する必要があるなど,実際のデータに基づいた示唆に富むアドバイスをしていただきました.河畔林と水温との関連についての研究紹介もあり,水辺愛護会による河畔林管理にも役立ちそうな知見も聞くことができました.

翌日(6月17日)には,矢作川の現地指導もしていただきました.置土実験を行っている越戸ダム下流や小渡地区などを実際に確認してもらいながら,河床環境の見方などについて情報交換をすることができました.他の川でも研究している外部の研究者の方から見た「矢作川の環境」について知ることができて,とても新鮮でした.

末吉さんの講演や現地指導のおかげで,とても良い刺激を得られた貴重な2日間となりました.
末吉さん,ありがとうございました.(小野田幸生)


河畔林と河川水温の関連性の講演


研究相談にも乗っていただきました


越戸ダム下流の置土の視察


小渡地区の置土の視察



2025/06/10

太田川(だいたがわ)で予備調査(魚類)を行いました.

多自然型工法(現在の多自然川づくり)で改修された太田川.雨で濁っていますが普段はキレイな川です.


太田川は松平地区を流れる準用河川で,1990~1999年にかけて多自然型工法で改修された川です.その効果を調べるための調査が2000年~2002年に行われ,その結果は矢作川研究で報告されています(内田ほか,2004).それから四半世紀経って,どうなったのかを調べるため,魚類調査を行う予定です.

それに先立ち,2025年6月10日に,下河内橋付近の2地点で,予備調査を行いました.職場体験で来所した末野原中学校2年生の生徒(堀田さん)も調査に参加してくれました.雨の降る中,カッパを着て,一生懸命に調査してくれました.

結果として,カワムツ類,アブラハヤ,オイカワ,ドジョウ,カワヨシノボリなど,多くの魚種が確認されました.これまでの調査と大きな違いは見られず,良好な環境が保たれていると言えそうです.

今後,天気が良い平水時に,過去の調査と同じ地点で魚類調査を行おうと考えています.


堀田さんによる魚類採集

魚の体サイズ計測も体験してもらいました