矢作川研究所日記

2022/09/25

矢作自治区水辺愛護会活動地で植物観察会

当研究所は、各水辺愛護会が今までの活動をふりかえり、今後の活動を展望する「管理・活動計画」づくりのお手伝いをしています。今年度は矢作自治区水辺愛護会でこの計画を作りますが、そのためのワークショップに先がけて、植物観察会を行いました。

笹戸温泉対岸の下流側にある矢作自治区水辺愛護会の活動地には、「川坊主公園」という名前が付けられています。ここはかつて川の中州で、大きな淵があり、川坊主と呼ばれる大きな鯉がいたという伝説があります。この川坊主は心優しく、たびたび大男の姿に化けて村の仕事を手伝っていたそうです。

川坊主公園ではミゾソバやミズヒキ、ヤブミョウガといった秋の花を観察することができました。ヤマグワの葉がたくさんの健康改善効果を持つお茶になることや、ヤブカンゾウが葉だけではなく花やつぼみもおいしく食べられるお話をしました。一方で、特定外来生物のアレチウリも広がってしまっており、結実前の駆除が望ましいことをお伝えしました。

参加者は昔イタドリや桑の実を食べた思い出話をしたり、百々水辺愛護会で行われているニホンミツバチの養蜂に関心を示されたりしていました。また、川坊主公園を訪れる人が増え、関係人口(特定の地域に継続的に多様な形でかかわる人)、ひいては小原地区に移住してくる人も増やせないだろうかという夢を語られました。(洲崎燈子)


活動地のようす

参加者の皆さん

ヤブミョウガの花



2022/09/23

学会(ELR2022つくば)に参加してきました

9/20~9/23(9/20はエクスカーション)の日程で、つくば国際会議場において開催された学会「ELR2022つくば」に参加してきました。ELRとは、応用生態工学会、日本景観生態学会、日本緑化工学会の英語表記の頭文字を取ったもので、4年ごとに行われる三学会合同大会のことです。対面形式を含む学会開催(WEB形式とのハイブリッド開催)は久々でした。研究所からは、内田さん、吉橋さん、小野田の三名が参加しました。

私は久々の(対面での)口頭発表ということに加え、発表順が最終日の最後(9/23の12:15-30)だったこともあり、(普段以上に)最後まで「緊張感」を持って学会参加することができました。口頭発表では、矢作川中流の「ソジバ」での巨石投入実験を活用したアユの採餌場所の選択要因についての研究成果を紹介しました。発表後には、結果の一般性や今後の調査アイデアなどについて討議することができ、有意義な時間を過ごすことができました。ランチタイムにもかかわらず、熱心に聴いて頂いた聴衆の皆さんには、感謝しかありません。

三学会合同大会だったので、他学会の研究内容にも触れることができました。たとえば、外来種のセッションでは身近なススキにも近縁な外来植物との競合関係があるという研究発表があり、新鮮な印象をもって聴講しました。一方で、対象生物や着眼点は異なっても、研究デザインなどは共通部分があるなあと感じました。ポスター会場でも、多様な研究内容が並び興味深く見ました。お目当ての研究発表だけでなく、その近くにあるポスターを見ながら関連研究についての情報収集を効率的にできる面白さがあるなと思いました(ウェブショッピングではなく、本屋で実物を見て書籍を購入する時の楽しさに似ている気がしました)。
現地参加だったので、かつての職場の同僚や研究仲間とも会えました。矢作川研究所に所属が変わったばかりなので、名刺を渡しつつ近況を報告するなど「ロビー活動」も行うことができました。ちょっとした雑談から、新たな研究アイデアや共同研究の話に発展することもあり、これこそ学会の醍醐味だと感じました。やっぱり、対面式の学会は良いですね。
(小野田幸生)


三学会のメンバーが揃った公開シンポジウムのパネルディスカッション


ポスター発表会場の様子