矢作川研究所日記

2017/02/26

平成28年度豊田市矢作川研究所シンポジウムを開催しました


 2月26日(土)、JAあいち豊田ふれあいホールにて、約200名のご参加を得て研究所シンポジウム「天然アユが元気に暮らす川づくり ~1000万尾のアユが遡上しても釣れない矢作川を考える~」が開催されました。
 はじめに研究所の3名が「天然鮎が暮らす矢作川の現状」を報告しました。山本大輔研究員が天然アユ遡上の課題と矢作川漁業協同組合の方々へのアンケート結果について、内田朝子研究員が、かつてアユが数多く連れた「ソジバ」(阿摺ダム下流)の川底の様子とアユのえさについて、白金晶子研究員が「ソジバにアユを取り戻す取り組み」について述べました。
 パネルディスカッションでは山本敏哉研究員がコーディネーターを努め、高橋勇夫氏(たかはし河川生物調査事務所)、椿隆明氏(アユ釣り師)、村上哲生氏(中部大学)、内田臣一氏(愛知工業大学)、赤堀良介氏(愛知工業大学)にパネリストとしてご登壇いただきました。「ソジバにアユを取り戻す取り組み」を話題の中心として、多河川でのアユを増やす取り組み事例や、釣師として感じるソジバのアユの現状、アユの餌、底生動物、土砂の移動についてなど、さまざまな視点をご提示いただきました。会場からも貴重なご意見をいただき、「天然アユが元気に暮らす川づくり」にむけた第一歩を踏み出すことができました。(吉橋久美子)



2017/02/23

セミナーを開催しました(永橋 爲介氏)

豊田市は平成28年度に「豊田市矢作川河川環境活性化プラン」を策定しました。
プランでは市民と川の関係性をよりよくすることを掲げています。

そこで、都市計画学・建築計画学をご専門とされ、
自治体における参加型、パートナーシップ型の環境基本計画等のプロセス、
公園や河川等の都市オープンスペースの計画・管理・運営における
合意形成の方法論等について研究を重ねてこられた永橋為介氏(立命館大学産業社会学部教授)をお招きして、
以下のようなお話をお伺いしました。

  ・パートナーシップ型の環境基本計画策定とその後の環境まちづくり
  ・子どもの頃の環境を絵や地図で表現し、共有するワーク「環境的自叙伝」にみる水辺への愛着
  ・「環境的自叙伝」によって喚起された愛着がまちづくりにどのような効用をもたらすか など

合併したまちの環境基本計画策定の過程において、「流域」という考え方が
住民と行政の関係性を良くしていったことや、
「環境的自叙伝」を用いたやりとりのなかで、住民間の軋轢が解消したことなど、
具体的な事例をもとにレクチャーしていただきました。
「環境的自叙伝」のワークの体験もあり、
このワークが人の心をほぐし、お互いを近づけることがよくわかりました。

人々がどのように協力しあい、河川環境改善を進めて行くかを考える上で
さまざまなヒントをいただいたセミナーでした。