矢作川研究所日記

2025/06/05

岩本川について平井小学校の4年生が学びました

岩本川では2015年度から扶桑町および百々町の住民と豊田市の共働による「ふるさとの川づくり事業」が行われ、2017年度から平井小学校が毎年、川学習を重ねています。2025年度も4年生(46人)が岩本川について学んでいます。

2025年度の初回となる5月20日には、教室にて、岩本川の草刈りや自然再生などをしている住民団体「岩本川創遊会」の小野内康伊会長と矢作川研究所の山本大輔研究員から「岩本川のこれまで」についてお話を聞きました。

小野内会長からは岩本川の源流の場所、川の生き物や川の変化(1972年に起きた豪雨災害を契機にコンクリート護岸が整備され、その後土砂が堆積し、草が繁茂して子どもが遊べなくなっていた)のお話がありました。そして、ふるさとの川づくり事業がはじまり、2015年度から、溜まった土砂を取り除く浚渫工事が数年にわたり行われ、2017年3月に岩本川創遊会が発足して川づくりや草刈りをしていることも紹介されました。

山本研究員からは、生き物は種類によってすみやすい環境が異なることから、多様な環境を目指して川づくりが行われていること、これまでの川学習の様子などが紹介されました。
二人はともに、「生き物と触れ合ったり、友達と話し合ったりすることで、どうすればこのいい環境をもっと楽しくできるか考えてほしい」という言葉でお話を締めくくりました。


小野内会長のお話


山本研究員のお話


現在の4年生が2年生の時に作成した岩本川の生き物イラスト(昇降口にて)


岩本川下流・中流・上流の特徴と生き物

6月5日には、川に入り生物調査を行って生き物とふれあう予定でしたが、熱中症予防のために「川の変化の観察」へ変更となりました。

4年生の皆さんは今の岩本川と昨年の写真※とを見比べて、昨年土砂を掘った部分に今は土砂が溜まっていることなどを確認しました。魚が泳ぐ姿に楽しそうな声を上げたり、流れの速さについて友達と教えあったりもしていました。川の観察の後には、当日の朝に山本研究員が採っておいた岩本川の魚やヤゴなども見ていました。

4年生の皆さんは、これから岩本川に対する何らかの保全活動を考え、実践するそうです。その報告を楽しみにしています。

※昨年度の川学習の様子:平井小学校4年生が岩本川の流れを変える体験をしました | 矢作川研究所


岩本川観察の様子①


岩本川観察の様子②


カワムツなどの岩本川の生き物を見る



2025/05/16

今年もカワヒバリガイの広域調査を行いました!

カワヒバリガイ


カワヒバリガイは中国,東南アジア原産の特定外来生物で,2004年に日本では3水系目として矢作川で確認されました.ムール貝と同じイガイ科の仲間で,見た目もよく似ています.2004年以降,毎年,愛知工業大学と共同で分布状況を把握しており,2025年は5月8,9,16日の3日間で行いました.調査範囲は,上流は黒田ダムの下流から始まり,下流は米津橋までで,15地点になります.


川底の石を拾い上げカワヒバリガイを探索


カワヒバリガイを死滅させて保存


今年もすべての地点でカワヒバリガイが確認されました.カワヒバリガイの大きさは様々で,特に上流側では殻長が数mm程の稚貝もたくさん見つかり,昨年,多くの個体が産卵していたと思われます.この状況が続くと,再びカワヒバリガイが大繁殖する恐れがありますので,モニタリングを継続することが必要と思われました.


石裏にくっついているカワヒバリガイ


石裏の生き物たち


カワヒバリガイが定着している大きめの石には,石裏に砂や小石で巣を作って網を張るヒゲナガカワトビケラやオオシマトビケラなどの造網性トビケラの幼虫も生息しています.また,写真では分かりづらいですが外来と思われるウズムシも複数いました.

カワヒバリガイは石の裏にくっついていることが多いため,石をひっくり返して探すのでが,ヨシノボリ類の卵がビッシリと付いている石を裏返してしまい,「ごめんなさい」となりました.


アユを狙うサギ類やカワウ


明治用水頭首工の下流では多くのサギ類やカワウが集まっていて,遡上してくるアユを狙っているようでした.



2025/05/10

広沢川猿投水辺愛護会が発足しました

2025年5月10日に、猿投町公民館で、猿投山を源流とする広沢川で草刈りなどの愛護活動を行う「広沢川猿投水辺愛護会」の設立総会が行われました。市内では26番目の水辺愛護会です。


広沢川では、これまでに共働による「ふるさとの川づくり事業(2020年度~2024年度)」が行われ、猿投町まちづくり協議会が中心になって、ワークショップや川遊び体験会などを行って広沢川の将来像を描いてきました(末尾のリンクも参照下さい)。

その結果、「人も生き物も生き生き 川暮らし」を合い言葉に、「子どもも大人も安心して遊べる、生き物がすみやすい川」を目指すことになりました。広沢川では浚渫(しゅんせつ…溜まりすぎた土砂を取り除く)工事や、自然石を使用した置き石、石組みなどにより、生き物のすみやすい川づくり工事も行われました。コンクリートで直線的な構造物をつくるのではなく、自然の素材を用いることで、景観を損なわず、水流の変化や隙間が生まれ、多様な生き物の生息環境がつくられていきます


ワークショップの様子


川遊びの様子


浚渫、置き石、石組みによる川づくり

源流の猿投山を背にした広沢川

今後、広沢川猿投水辺愛護会や地域の皆様の活動により、将来像が実現していく未来を楽しみに想像しています。(吉橋久美子)


広沢川ふるさとの川づくり事業関連 研究所日記
「ふるさとの川づくり」第二の川として、広沢川で活動が始まりました
広沢川ふるさとの川づくりワークショップ「川の思い出を語ろう!」を行いました。
広沢川で川づくり学習会(ふるさとの川づくり事業)
広沢川で川遊び!(ふるさとの川づくり事業)
広沢川で川づくり学習会(第2回)を行いました
広沢川で川づくり勉強会をしました





2025/04/28

小渡小学校の児童さんとお魚学習会を行いました!

魚を覗き込む児童の皆さん


鰭の名前を理解するための概念図


2025年4月28日に矢作川学校の講師として,小渡小学校の1,2年生の児童さんを対象としたお魚学習会を矢作川の河畔(小渡町)で行いました.今回は,①魚と人の類似性から鰭(ヒレ)の名前を理解する,②絵合わせによって魚の名前を当てる,の2つについて学んでもらいました.

魚の鰭には背鰭,胸鰭,腹鰭,臀(しり)鰭,尾鰭などがありますが,この名前を暗記するのは大変なので,人との類似性から理解できるように図を使って解説しました.魚の中に人の体を描き込んで,鰭の生えている場所を考えれば,途端に鰭の名前を理解できるようになります.鰭の名前を尋ねると,児童さんからは「背鰭~」などと元気な回答が寄せられました.

魚の名前当てクイズのために,学習会の会場付近で採集された魚類を文献などで調べ(合計14種),魚の切抜き写真を並べて絵合わせしやすい資料を作成し,それを配布しました.当日早めに現地入りして採集した魚(カワムツ,アブラハヤ,タカハヤ,オイカワ,カワヨシノボリ)とアユを水槽に入れると,皆さん興味津々です.小さな観察ケースを一人ずつに渡すと,児童の皆さんは,それぞれ気に入った魚を入れ,実物の魚と資料とを見比べながら,答え合わせに来てくれました.ハヤの仲間は難易度が高く,間違えることもありましたが,最終的には自分の力で答えることができていました.

当日採集された魚を見ることで,小学校の近くの矢作川に多くの魚がいることを実感できたようでした.また,魚の名前を当てて自信を持った児童の一人が,学習会の後に「魚釣りに行く!」と言ってくれました.矢作川とそこに生きる魚に興味を持ってもらえたようで嬉しかったです.(小野田 幸生)



2025/04/27

越戸町で春の川辺の花観察会(第二弾)を行いました

4月27日に、矢作川中流の右岸、豊田市越戸町の下越戸水辺愛護会(以下愛護会)活動地と、隣接する「お釣土場水辺公園」で、第二弾となる「春の川辺の花観察会」を行い、愛護会の会員約15人が参加してくださいました。この観察会は、4月13日の観察会に参加した方の「自分たちの活動地でも実施してほしい」とのお声がけにより実現しました。

この日は竹林を伐り開いて明るくなった草地からお釣土場水辺公園の林内まで歩き、明るくて頻繁に草刈りや踏みつけを受ける草地と薄暗い林内、その二つの環境の移行帯で、短い距離でも生育する植物が変化するさまを観察することができました。移行帯の半日陰の環境では、クサノオウやツボスミレのお花畑を見ることができました。

愛護会会員の方々は、植物の名前や特徴、見分け方などを次々に研究員に質問し、楽しみながら観察をしていました。「意識せずにただ草刈りをしてしまっていたなあ」という発言も聞かれ、今後の植生管理にも話題が及びました。

植生管理については、研究員から「河畔林の構成樹種の稚樹があれば、伐ってしまわずにその成長を促し、木陰をつくって草の勢いを抑える」、「繁殖力の強い外来種を集中的に刈る」などの工夫により、草刈りの労力を減らすなどの提案をしました。今回の観察会が愛護会の皆さんの植物に対する関心を高めるきっかけとなり、今後の植生管理の工夫にもつながることを願っています。(吉橋久美子・洲崎燈子)


草刈り作業の後に観察開始


クサノオウを観察


足元のツボスミレにも目を向ける