2025/12/11
オオカナダモは外来生物法で要注意外来生物に指定されており,日本の侵略的外来種ワースト100にも入っている水草です.
オオカナダモが川底を覆っていた頃の様子(2012/9/13撮影)
矢作川では1990年代中盤にオオカナダモが見られるようになったとの報告があり,2000年代にはその群落が目立つようになってきました.2011年に国土交通省豊橋河川事務所が行った分布調査では,矢作川中流で大規模な群落が広域で確認されました.その後も矢作川漁協,矢作川の環境を守る会,矢作川研究所で調査を継続し,2017年頃まで広い範囲で確認されていましたが,2018年に分布域が大きく減少しました.2018年以降は小康状態が続いています(詳しくはこちら).
ドローンで川面を動画撮影している様子
オオカナダモの分布調査は水位が安定し,濁りの少ない冬の時期に,矢作川中流の平戸橋下流から久澄橋下流までを対象に行っています.以前はアユ釣り舟に乗せていただき,船上から分布状況を確認していましたが,ここ数年はドローンで上空から川面を撮影し,確認しています.
今年も内田研究員とともにドローンを飛ばして調査したところ,分布域は一段と縮小し,ある程度まとまった群落は下の写真の平戸橋下流で見られたのみでした.
外来生物は突如として現れ,爆発的に増加することがよくありますが,その後,衰退してほとんど見られなくなる種,レギュラーとなりいつでも見られるようになる種,優占種となり続ける種など動向は様々です.
矢作川のオオカナダモについては,現在矢作川中流であまり見られなくなっていますが,再び増加傾向に転じるかもしれません.オオカナダモが大繁茂していた時期には「アユの釣り糸にオオカナダモが引っかかる」,「景観が損なわれる」などの問題があり,駆除活動も行われていました.
今後も注意深くオオカナダモの動向を見守っていきたいと思います.
2025/11/30
2025年11月30日、矢作川の中流部の川辺を整備する「下越戸水辺愛護会」(会員28名)の活動に、地元の中学生団体「ジュニアクラブ」のメンバー12名と保護者5名が参加しました。その様子を、後日、会長の川崎学さんに伺いました。
当日は作業に先立って、中学生に対して活動の趣旨と「身近な自然を大切にしよう!」「地域の活動に参加してみよう!」「小さな行動が未来の環境を守る力になります!」というメッセージを伝えたそうです。その後、3年生がリーダーシップを発揮して、事前に伐採されていた竹や刈られた草を一輪車やリヤカーで集積場まで運びました。意欲的に活動する中学生の姿に触発され、愛護会の会員もより積極的に作業に取り組めたとのことでした。
中学生は「大変だったけど楽しかった」「こういう機会があったらまた参加したい」「(ふるまいで出た)豚汁がおいしかった」などの感想を述べたそうです。
本活動は、下越戸水辺愛護会の前身である「下越戸竹伐り隊」が活動をしていた2016年から毎年実施されており(コロナ禍の時期を除く)、継続して中学生が参加していた歴史があります。この実践は、多世代での、川の整備を通じた地域交流の好事例でもあると思います。
2025/11/26
2025年11月26日に平井小学校4年生(46人)が岩本川で川学習を行いました。
今回の川学習は、川岸の土を削ったり、石の配置を変えたりすることで、生物にとってのよりよい環境づくりおよび人にとっての安全性の向上を目指す内容でした。今年5月の「岩本川のこれまでについての学び」、6月の「岩本川の変化の観察会」※1を経て、「岩本川のために何ができるか」について検討を重ねてきた4年生の皆さんの実践となりました。
この実践は、住民団体「岩本川創遊会」も行っている「水辺の小さな自然再生」※2の活動と言えるでしょう。今回も岩本川創遊会の小野内会長と矢作川研究所の山本研究員が学習をサポートしました。
活動範囲の下流側の橋の付近では、以前あった水路が埋まり、水が淀んでいたところに再び水を通すために土を削ったり、岸を削って川幅を広げたりしました。中間地点では、石を両手で運んだり転がしたりしながら移動させてアーチ状の石組みを作ったり、石を流れに沿って並べてみたりするなどして、川の流れを変えました。上流側の橋の付近では、中州によって二股に分かれた水路のうち、水が通っていなかった水路に水を通すために中州と水路の底を削りました。
シャベルやスコップなどを使って土を削ったり、石の配置を変えたりすると川の流れはみるみるうちに変わっていきました。4年生の皆さんからは「超楽しい!」「疲れたけどまだやりたい!」という声が聞こえてきました。水が冷たい秋の活動でしたが、お天気に恵まれ、やりがいのある活動だったと思います。
最後に山本研究員が、4年生の皆さんに「川はどんどん変わっていきます。みんながやったことがどうなっていくか、川に観察に来てください」と呼びかけました。自分たちが手を動かして変化させた川が、生物にとってよりよい環境になっていくか、人にとっての安全性も向上していくか、これからも関心を持って注目してもらえると嬉しいです。
(吉橋久美子)
※1.岩本川について平井小学校の4年生が学びました | 矢作川研究所
※2.多様な主体が連携し、地元住民が主役となって、日曜大工感覚で川の自然再生を目指す活動。
水辺の小さな自然再生 Collaborative Nature Restoration | 「小さな自然再生」研究会(サイト運営)、日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN)(サイト管理)
(同ホームページの岩本川の事例紹介 事例紹介 岩本川)
2025/11/09
トヨタ自動車に勤務し、寮生活をしている社員の皆さんで構成される寮生会は、有志による社会貢献活動を行っており、その一環として2022年から年に1回、百々水辺愛護会の活動を支援されています。今年の支援活動は11月9日(日)に実施されました。
当日はあいにくの雨天となってしまいましたが、それでも例年の半数ほど、約50人の寮生の皆さんが集まりました。まず水辺愛護会の今井会長からあいさつと感謝の言葉、活動の説明があり、続いて研究所の洲崎が河畔林についてのお話をしました。その後愛護会員と寮生の皆さんは4班の混成グループに分かれ、散策路沿いの竹の伐採と2mの長さの玉切り、運搬を行いました。
雨のため活動時間も短縮し、いつもの昼食会も残念ながらとりやめとなりましたが、配られた雨合羽を着て声を掛け合い、元気に活動する若者たちの姿に心励まされました。参加者には竹を伐るボランティアにやりがいや楽しさを感じる方が多く、この活動をきっかけに自身が住む寮の近くの川で護岸整備ボランティアを実行する人も出て来ているそうです(研究所ニュースレターRio No.234参照)。今度はぜひ、ヤブツバキが満開になる冬や、竹林の内外に野の花が咲き乱れる春の晴れた日に現地を訪れて頂きたいと思います。(洲崎燈子)
百々水辺愛護会 今井会長のあいさつ
雨の中でも元気に活動
2025/10/09
2025年10月9日、水辺愛護会・河畔林愛護会の会員を対象とした「河川愛護活動視察研修会」があり、10団体19名が参加しました。この研修会は、河川環境を守る人材育成と矢作川の河川環境に関する見識を深めるために豊田市河川課と豊田市矢作川研究所が毎年開催しているものです。
今年度は、改めて川について学ぶためのダム見学と、ハチクの開花が見られる有間竹林愛護会の活動地訪問をすることになりました。
まず、矢作ダム管理所(国土交通省中部地方整備局矢作ダム管理所)を訪問しました。矢作ダムは豊田市と岐阜県恵那市の境界に位置する放物線アーチ式コンクリートダムで、高さ100m、堤頂長さ323m、今年は完成から54年となるそうです。
矢作ダム管理所では、矢作ダムの5つの役割(洪水調整・農業用水の補給・工業用水の補給・上水道用水の補給・発電)についてのビデオを視聴しました。その後、職員の方からフェンスや選択取水による濁水流出防止対策、25年前に発生した東海豪雨の被害とその後の対応などについて説明を受けました。また、この日見学できなかった堤体内トンネルの様子も画像で紹介して頂きました。参加者の皆さんからは揚水発電やダム湖内の堆砂の処理、ダム操作やダムの寿命、堤体内で貯蔵・熟成されている日本酒などについての質問が矢継ぎ早になされ、関心の高さがうかがえました。その後、ふだんは入れないダム操作室も見学させて頂きました。
次に、ダム管理所の入り口付近でダムの放流を見学しました。微細な水しぶきが見学場所まで届き、迫力がありました。その後、ダム湖面が見える位置に少しだけ移動して、洲崎研究員が2000年に起きた東海豪雨の被災について解説を行いました。山崩れにより、矢作ダムには約110万㎥の土砂(平年値の10年分)と、3万7千㎥(同40年分)の流木が流れ込み、流木は湖面を埋め尽くしました。しかしこれらの被害を繰り返さぬよう、合併前の豊田市が上流の水源林を“自分たちの手で”管理するスタンスをとるようになり、市民ボランティアによる人工林の間伐などの取組も活発化しました。最後に、洲崎研究員は「川を間近で見続けている水辺愛護会の皆さんに、魅力だけでなく脅威も含め、川の大切さを伝える“伝道師”役を担って頂きたい」という願いを述べました。
旭地区の「しきしまの家」での地元産の米や野菜を使ったおいしいお昼をとった後、有間(あんま)竹林愛護会の活動地であるハチクの竹林を訪問しました。活動地の広場に行くと、これまでの活動紹介パネルがきれいに並んでいました。写真を多用したわかりやすいパネルに、参加者の皆さんは釘付けでした。
有間竹林愛護会の原田茂男会長からの活動報告では、竹が密生した状態から、まずは10年計画で間伐を進め、活動地を二分して5年ずつ整備したこと、その後一度活動の区切りをつけ、再度会員を募って再始動したこと、タケノコを水煮にして出荷したこと、地域の園児にタケノコ掘りに来てもらい、小学生には竹馬づくりなどを指導して交流したこと、学生や企業ボランティアを受け入れてきたことなどが紹介されました。地元の木材を使って、会員である棟梁が指揮して立派な「竹林ふれあいの小屋」も建築されています。
続いて洲崎研究員から、ハチクの生態についての解説がありました。ハチクは全国的に120年程度に一度と言われる開花時期を迎えて枯死(こし)しつつあり、有間竹林愛護会の活動地でも竹林全体が茶色に変色しています。洲崎研究員は、「この状況は大変残念なことですが、120年に一度の開花という神秘的な現象にめぐり合うことができたと捉え、その過程を見届けましょう」と呼びかけました。
参加者の皆さんからは、少人数で約6haの竹林の良好な景観を維持されてきたことへの感嘆やねぎらいの言葉、ハチクの生態に関する質問などが次々に上がりました。
研修を終えてのアンケートでは、「矢作ダムの役割、管理の重要性が良く分かった」「竹林(管理)の活動と竹の生命周期について、初めて聞くことが多く興味が持てました」などの回答をいただきました。
この研修会によって、川への理解が深まり、今後の水辺愛護会活動への活力のもととなることを願います。
(吉橋久美子・洲崎燈子)