2025/08/02
2025年8月2日に一ノ瀬川(豊田市寺下町)で、8月3日に広沢川(豊田市猿投町)で、親子川遊び体験会を行いました。両日とも、「ふるさとの川づくり事業」に関連する行事です。
<一ノ瀬川>
一ノ瀬川はふるさとの川づくり事業2年目。川遊び体験会は、昨年に続き2度目でした。KaMiTaKiMi自然探検隊に共催いただき(事前の草刈りや当日運営など)、七重(ななしげ)自治区の寺下町内会にも広報や当日の見守りでご協力いただいて矢作川研究所が主催しました。
2日は良く晴れた夏らしい日で、親子30人がタモ網を片手に一ノ瀬川で生き物を採ったり、流れの横に浅い穴を掘って水を入れたりして川遊びを楽しみました。
一ノ瀬川では浚渫(溜まりすぎた土砂を取り除く工事)が段階的に進んでいます。浚渫がこれからのエリアは川幅が狭く、深いところがあり、探検気分が高まります。浚渫が終わったエリアは、水深が浅く、小さなお子さんも遊ぶことができました。写真でわかるように、擁壁に白い部分が帯のようにあり、そこまで土砂があったことがわかります。
参加者が採った生き物について、水辺の環境教育講師・伊藤匠さんに解説していただきました。カワムツ、ドジョウ、ホトケドジョウ、ヨシノボリや、ヤゴ、コオイムシ、ヒメタイコウチなどが採れており、皆さん興味深そうに解説を聞いていました。
研究所からは、昨年度の第1回ワークショップ、第2回ワークショップを経て作成した「一ノ瀬川思い出マップ」と将来の「整備イメージ図」をご紹介しました。整備イメージ図については、6月に町内会の方々7人にご意見を伺っていましたが、この日、子育て期の親世代のご意見もアンケートを通じて伺うことができました。「昔からいる魚がまた戻ってくる川になってほしい。ウナギとりたい。」「ホタルや他の生き物がたくさん暮らせるように変えてくださるならありがたいです!!」など、未来の川と生き物への希望を教えていただきました。
<広沢川>
3日の広沢川での川遊びは、主催が広沢川猿投水辺愛護会、共催が猿投町自治区、猿投町まちづくり協議会で、研究所は生き物の採り方説明や生き物解説をさせていただきました。
広沢川猿投水辺愛護会は、昨年度までのふるさとの川づくり事業を経て今年発足した団体です(設立総会の様子)。また、この日は市民団体「矢作川水族館」が大きな水槽を持参して、広沢川の魚と、広沢川と籠川との合流点で採れたスッポンを展示して下さり、参加者の注目を浴びていました。
この日もよく晴れていましたが、開催団体の前日および当日のご準備で多くのテントが張られ、日陰が十分にありました。親子43人が生き物採集や川の水が流れる感触を楽しみ、開催関係者23人が見守りました(人数は受付名簿による)。
広沢川は「子どもも大人も安心して遊べる、生き物がすみやすい川」を目指して川づくりが進められています。自然石を用いた置石や落差工が随所に見られ、多様な流れが生まれていました。コンクリートで固められた川とは全く違う風景です。
生き物の採り方の説明と、採れた後の解説は山本大輔研究員が行いました。カワムツやホトケドジョウ、カワヨシノボリ、ヤゴやナベブタムシやサワガニなどが採れていました。ドジョウとホトケドジョウの見分け方の一つはひげの本数、もう一つは口の位置です。それを研究員は身振り手振りで説明したのですが、そのまま真似をしてお友達とにこにこしている熱心なお子さんもいました。
参加者アンケートでは、水深が浅く、安心して子どもと遊ぶことができた、広沢川にいろんな生き物がいることがわかった、などの声をいただきました。
広沢川がこのように「「子どもも大人も安心して遊べる」川であることを維持するには、草刈りなどの人の手入れが欠かせません。広沢川猿投水辺愛護会がその役割を担ってくださっていることは地域にとって大切なことであると思いました。(吉橋久美子)
2025/07/21
2025年7月21日に「矢作川の魅力発見!~見て・さわって・学べる 川遊び体験」を開催しました.当日は天候に恵まれたものの,数日前まで降り続いた雨による矢作川本川の増水で,残念ながら矢作川研究所内での体験と解説になりました.夏休み時期の川遊びに期待してか,30名程度の定員に対し,130名を超える応募があり,企画者としても当日ぎりぎりまで川での実施ができないかと,水位が下がるのを待ち望んでいました.
参加者には3つの班に分かれていただき,付着藻類,底生動物,魚のブースを順番に回ってもらいました.それぞれの担当者が,事前に生きものを用意し,本物を見たり触ったりしてもらいながら生きものの解説などを行うことで,野外の臨場感を少しでも再現できるように工夫しました.また,映像,パネル,図鑑なども併用して,楽しみながら水の中の生きものについて理解を深められるようにしました.
付着藻類(担当:内田朝子研究員)のブースでは,顕微鏡で藻を観察したり,実際に付着藻類の採集方法を学んだりしてもらいました(矢作川研究所HP:「川のプロが教える生きもの動画」).底生動物(担当:白金晶子研究員)のブースでは,ダム下流で多く見られる底生動物について解説し,実物の水生昆虫,エビ類や貝類などをじっくり観察しながら触ってもらいました.魚(担当:小野田)のブースでは,魚の捕り方や種類の見分け方などをクイズ感覚で学んでもらいました.
室内での体験や解説でしたが,参加者が前のめり気味にのぞき込んで真剣に聞いてくれたのが嬉しかったです.アンケートでも,「思ったよりもいろいろな生きものがいることを知った」とか,「魚の名前当てクイズが面白かった」などの意見あり,川の中の生きものについて関心を深めてもらえたようでした.(小野田 幸生)
2025/07/21
2025年7月21日の「夏休み川遊び体験イベント」は,矢作川本川の高水位のため室内での生きもの解説となりました(「研究所日記」参照).ただ,「どうしても川遊びしたい!」という参加者のリクエストにお応えして,イベント後にオマケの「お魚とり体験会」を籠川(矢作川の支川)で行いました(※「お魚捕りに私が同行した」というもので,正式なイベントではありません).参加されたのは15名前後で,やはりお子さん連れが多かったです.
当日の室内解説で伝授したお魚の捕り方(ガサガサ)を実際に試すべく,みんな元気に川に入っていきます.最初は恐る恐るガサガサをしていた子どもたちもいましたが,魚が捕れるようになると積極的にいろいろな場所で魚捕りを始めました.ガサガサの仕方もすぐに上達し,プロ顔負けです.「ミライの川漁師誕生?」を予感させるほどでした.
魚が隠れている場所を確信し,ガサガサで追い込んだ後に何が捕れたかと網をのぞき込む姿も微笑ましいものでした.大物をとった子や,はじめてザリガニをつかんだ子たちが,誇らしげな良い笑顔を見せてくれました.
実際の川遊びを通じて学びとることは,やはり多いのだな~としみじみ思った「お魚とり体験会」でした.(小野田 幸生)
※写真は参加者・保護者の方の許可を得た上で掲載しています.
2025/07/08
2025年7月8日に,矢作川中流域の側流(越戸公園横)で川遊び体験イベント(7/21月祝)の下見を行いました.
イベント当日と同じ時間帯に下見に行き,木陰のでき方を確認したり,生きもの採集をしたりしました.
最近の暑さで,陸上での解説ができるか心配していましたが,ちょうどいい場所に木陰があって安心できました.水温は24℃弱で,気持ちよい涼しさでした.参加者の動線などを現地でイメージし,必要物品を考えられたのも良かった点です.
川遊びの際に見てもらえそうなもの・楽しんでもらえそうなものを探すべく,実際に川の生きものを確認しました.内田さんは瀬にかがみ込んで,石についた藻類を念入りにチェックするとともに,水中の様子を撮影するという念の入れようでした.白金さんは,様々な場所にタモ網を入れ,どこで水生昆虫を見てもらうのが良さそうかを検討していました.私は,どんな魚が捕れるかな~と試し捕りをしていましたが・・・期待したほどは捕れませんでした(優雅に泳ぐアユやオイカワも捕りたかった・・・).
今日の下見も参考に,川遊び体験イベントの内容を考えて,参加者の皆さんに楽しんでもらえるように工夫したいと考えています.乞うご期待!(小野田幸生)
2025/07/07
2025年7月7日,研究所では「淡水魚のカード図鑑」の準備が進められています.夏休みのイベント(例:7/21月祝の川遊び体験)などで配布するための準備です.
このカード図鑑ですが,表面には淡水魚のイラストがあり,裏面には解説(大きさ,形態,生態など)が載っています.種類を見分けるポイントをわかりやすく示せるよう,写真ではなくイラストを載せています.
このイラストを作成してくれたのは,当研究所事務員の濱野さんと川村さんです.最近の調査で採集した淡水魚の写真をもとにデジタルイラストを作成してもらいました.私からの細かな(そして度重なる)要望にも丁寧に応えてもらい,とても素敵なカード図鑑がついに完成しました!その数,なんと49種類.圧巻です.
作画担当者の「推し」カードを聞いたところ,濱野さんは「ヌマムツの幼魚」と「カワバタモロコのメス」で,川村さんは「タカハヤ」と「ホトケドジョウ」とのことでした.作画の工夫や苦労を含めての「推し」カードなのだと思います.
このラミネート加工されたカード図鑑にはパンチであけた穴があり,カードリングで単語帳のようにまとめられるようにしています.捕った魚のカードを集めれば,自分がとった魚のカード図鑑として仕上げられます.コレクター根性を満たすもよし,自分が捕った魚種を見返すもよし…いろいろな活用ができると思っています.このカード図鑑が,淡水魚ファンを増やすことに役立つとよいな~と考えています.
手に取る機会があれば,ぜひ感想もお聞かせください.(小野田幸生)