2024/07/24
2024年7月21日(日)今年も永覚みどりの会&こども会の主催の水生生物調査に講師として参加しました。猛暑の中、子ども達は元気いっぱい、タモ網でガサガサをしました。確認できた魚は、オイカワ、モツゴ、タモロコ、カマツカなどの在来種と特定外来生物のカダヤシです。オイカワは婚姻色こそ出ていませんでしたが、キラリと光る横シマ模様を観察しました。外来種のカワリヌマエビ属は、ひと網すくうと必ず入るぐらい多く取れました。しかし、在来種のスジエビも確認できてほっとしました。数年前まで生息していたミナミメダカは1尾も捕獲できませんでした。この水路でもカダヤシに置き換わってしまったようです。昨年から条件付き特定外来生物になったアメリカザリガニについては、ケースに入れて観察し、「やってはいけないこと」について確認しました。今年の子ども達の人気者はオタマジャクシで、背中にうっすらスジのあるトノサマガエルのオタマを家で飼育すると意気込む参加者もいました。
この調査は20年近く継続されています。毎年、調査の開催に向けて、みどりの会と子ども会の方々が連携し、土手の草刈り、調査道具の準備、会の進行といった事前の準備を綿密にしてくださっているからこそだと頭が下がります。みどりの会の方々には、昔の水路の様子を教えていただきました。昔は、菱形の魚、タナゴ類が多く生息していて、たくさん取れるので売りにも行ったそうです。タナゴの数に見あう二枚貝も多く生息していたので、ヒエの穂先を残して軸だけにした即席の仕掛けを使って貝釣りをしたという話も聞かせていただきました。みんなで、カムバック“タナゴ”作戦ができるといいですね。 (内田 朝子)
2024/07/06
2024年7月6日(土),「わくわくチャレンジ逢妻男川を探検!」と題した講座(若林交流館小学生対象講座)に,講師として参加しました.若林地区の親子を中心に合計59名もの参加者があり,講座は大盛況でした.講座の内容は座学とお魚採集の二部構成でしたが,やはり,お魚採集が圧倒的に大人気でした.
若林交流館前の逢妻男川でのお魚採集では,お魚とりに慣れていない親子の方などに,効率的な捕り方を直接伝授させてもらいました.伝授された「技」を完全にマスターする親御さんも多くいて,網に入った魚に歓喜する声があちこちから聞かれました.90分と長めの時間をお魚採集に充てていたのですが,終了時間になっても魚を獲り続ける参加者の方もいて,熱中ぶりがうかがえました.
その後,捕れたお魚を皆で確認して,10種類ほどのお魚が確認されました(これまでの記録では28種類ほど).現在,豊田市のお魚ポスターを作るべく,魚の水槽写真を個人的に集めていますが,ゴクラクハゼ(仲井大智さんによる採集)の写真も撮影することができました(氏名と写真の掲載許可を頂きました).
お子さんからは,「楽しかった」,「また来たい」などの感想が寄せられ,大人の方からは「こんなに多くの種類の魚がいたのか!」など発見の声もありました.一生懸命準備した講座を皆さんに楽しんでもらえたようで,ニヤニヤしながらアンケート結果を眺めました.
なお,この講座は若林交流館の方だけでなく,地域の方(若林地区コミュニティ会議の青少年育成委員会・環境委員会)にも全面的にバックアップ頂きました.大成功の裏に地元の方の応援があったことは忘れてはいけないことだと思います.地域一体となった川学習で,私もとても楽しく参加させていただきました.ありがとうございました!(小野田 幸生)
2024/06/25
令和6年6月18日に日本科学未来館において、第26回日本水大賞・2024日本ストックホルム青少年水大賞の表彰式、受賞活動発表会がありました。
そこで、「地域に根差した「河川と流域」の研究所として30年」として、豊田市矢作川研究所が第26回水大賞環境大臣賞を受賞しました。
豊田市矢作川研究所は1994年7月に設立され、今年で設立30周年を迎えます。
30年という長きに渡り、地道な調査研究、啓発等の活動を続けることができ、このような栄えある賞を受賞できたのは、これまで関わってくださった皆さま方のおかげです。
この場を借りて、深く御礼申し上げます。
日本水大賞のホームページはこちらをクリック。
2024/06/11
6月上旬、イシガイ科二枚貝の生息状況を調査するため、矢作川で採集したササノハガイを一時的に研究所に持ち帰りました(写真1)。殻長の測定や個体識別のためのマーキング作業を行っていたところ、ササノハガイから魚の卵が!(写真2)。出てきた卵の直径は4.2~4.7mmくらい。その大きさから、コイ科魚類に属するヒガイ類のものだと分かりました。卵は全部で8個、胚発生の初期段階や孵化間近のものが含まれていました。いくつかの卵は観察中にふ化したものの(動画)、残念ながら数時間で死んでしまいました。二枚貝から出て環境が急激に変化したために、まだ発育が進んでいない状態でふ化してしまったと考えられます。
矢作川には、在来種である「カワヒガイ」と国内外来種である「ビワヒガイ」の2種が生息しています。ヒガイ類はタナゴ類と同様に二枚貝に産卵しますが、産み付ける場所が異なっており、タナゴ類は二枚貝の出水管から産卵管を挿入してエラの部分へ、ヒガイ類は入水管から産卵管を挿入して外套腔の部分(二枚貝が開いたときに見える空間)へ産み付けることが知られています(長田、2014)。ヒガイ類の卵は産み付けられると大きく膨らんで4.5mm前後に達することから、通常の状態では二枚貝の外套腔から外に出ることはないと思われます。今回はバットに入れたササノハガイが逃げ出そうと足を出してもがいていたために、卵が出てしまったようです。
ササノハガイを含むイシガイ科二枚貝は、全国の河川で減少する傾向にあり、愛知県もその例外ではありません(愛知県、2020)。これらの幼生は魚類のエラやヒレに寄生しなければ成長できない時期があり(北村・内山、2020)、安定的に個体群を維持するためには、生息に適した物理環境と豊富な魚類の維持・保全が重要になります。
今回の出来事で、矢作川のヒガイ類はササノハガイを利用してしっかりと子孫を残していることが確認できました。これからもヒガイ類が生息できる矢作川であるように、河川環境の維持・保全に向けた調査研究を進めていきたいと思います。(浜崎健児)
【参考文献】
愛知県(2020)レッドデータブックあいち2020:愛知県の絶滅のおそれのある野生動物.
https://kankyojoho.pref.aichi.jp/rdb/index.html (2024年6月11日閲覧)
北村淳一・内山りゅう(2020)日本のタナゴ:生態・保全・文化と図鑑.山と渓谷社.
長田芳和(2014)淡水魚研究入門:水中のぞき見学.東海大学出版部.
2024/05/26
ふるさとの川づくり事業が進む広沢川で、猿投まちづくり協議会のみなさんと川づくり勉強会を行いました。久しぶりの開催となった今回は、浚渫後の水際に生えたツルヨシの抜き取りに挑戦です。
まず、広沢川の未来希望図をもとにして、土砂の溜まりにくい川づくりを目指していること、こどもたちの遊び場や地域の憩いの場にしたいことなどの目標を改めて共有した上で、植生繁茂と土砂堆積について説明し、作業を行いました。水面と砂州に沿って伸びているツルヨシは抜き取りやすいのですが、石組みの間から伸びたものや既に川底の深いところに茎を伸ばしたものがもう抜けません。「大きなカブの話みたいだな」なんて声も聞こえますが、もはや素手ではどうにもなりません。「当日は長靴と軍手があれば良いですよ」とみなさんにお伝えした自分を責め始めたころ、ふと気づくと、レーキや熊手を持った人がいる。軽トラに色々載ってるんですね、助かりました。岩本川での川づくりの際も思いましたが、こちらの準備不足や見込み違いがあっても、一緒に活動してくれる地域のみなさんの知恵や持ち物、人脈等にいつも助けていただいてます。
ふるさとの川づくり事業は、見試しやトライ&エラーが多い取組です。これからも川の変化を見ながら次はどうしようかということをみなさんと考えながら進めていきたいです。