2024/12/06
ちょっと前(2024/10/18)の話になりますが,アユの産卵場調査の休憩時に不思議な光景を目にしました.川辺の石の上に落ちた鳥の糞に蝶が集まっているのです.蝶を撮影しようと近づくと一旦は飛び去りますが,また近くに降り立ち,糞に寄っていきます.よく見るとストロー(口吻)を伸ばして,鳥の糞を舐めているようです.
しばらく見ていると,複数種の蝶(アカボシゴマダラ,コムラサキ,シジミチョウ科の一種 ※Google Lens等を使用して種名検索)が集まってきて,「糞にたかっている」状態でした(ハエももちろんたかっていましたが…).
後日,ネットで調べると鳥の糞を吸う蝶に関する記述をみつけることができ,鳥の糞から繁殖や体細胞維持に必要な栄養素(ナトリウムやアンモニア)を補給するための行動のようで,オスによく見られるとのことでした(Honda et al. 2012参照).乾いた鳥の糞に水滴を出して湿らせて,その液体を吸っているようですが,この観察時に小雨が降ってきて(写真の水滴に注目),水滴を出す手間を省いているのかなとも思いました.
アユ産卵期には,産卵のために蝟集したアユ親魚を食べるためにカワウなどが集まっていることがあります.今回川辺で観察したこの鳥の糞にも,きっとアユの栄養が含まれているでしょう.そう考えると,アユ→鳥→(糞)→蝶という繋がりがあり,アユは蝶も支えているとみることができる…としみじみと思った休憩時間でした.(小野田 幸生)
2024/11/26
豊田市の扶桑町・百々町を流れる岩本川で、平井小学校の4年生66人が川学習を行いました。
岩本川では「ふるさとの川づくり事業」※1をきっかけに、岩本川の草刈りや自然再生などの日常管理をする住民団体「岩本川創遊会」が発足しました。平井小学校の川学習は2017年に始まり、岩本川創遊会と研究所がサポートを続けています。
今回は総合学習の一環で、岩本川の流れを変える体験をしました。4つの班に分かれて、堆積し過ぎた土砂を削ったり、土砂が浸食され過ぎて護岸に影響しないように石を置いたりしました。児童の皆さんは、さまざまな案を出しあいながら、協力して一生懸命に取り組んでいました。
岩本川では、生き物がすみやすく、人が親しみやすい川となるように、「日曜大工感覚」で、川に手を入れる「水辺の小さな自然再生」※2が行われています。
水辺の小さな自然再生では、「見試し(みためし)」という言葉がよく使われます。まずやってみて、うまく行かなければやり直し、試行錯誤をしながら技術を磨いていくというものです。自然環境を相手に何かをしようとするとき、計画通りにいくとは限らないからです。
今回の授業は、その「見試し」のような時間だったといえます。児童の皆さんは、自分たちが石を置いたり、土砂を削ったりしたことで川の流れが変化したことを体感してくれたのではないでしょうか。今後も、自分たちが手を入れたところがどう変化していくのか、関心を持って岩本川に関わり続けてほしいと思います。(吉橋久美子)
※1.ふるさとの川づくり事業:地域の皆さんと豊田市役所が一緒になり、地元の川の未来像を描き、安全安心で、自然豊かで、地域の皆さんに愛され育まれる川を目指す取り組み。
※2. ウェブサイト:水辺の小さな自然再生 Collaborative Nature Restoration
「小さな自然再生」研究会(サイト運営)、日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN)(サイト管理)
2024/11/16
2024年11月16日(土)、矢作川の中流域でエクスカーションを行いました。川底の石に着目した夏の回に続く第二弾で、市民の方を対象として、矢作川の川辺を散策しながら自然を味わい、川と人の歴史と今を知り、今後の矢作川について考えるきっかけとしていただくために実施しました。
園児から60代以上の方まで17人の参加がありました。まず、集合した越戸公園付近で、研究所から、河畔林の特性、対岸の「古鼡水辺公園」で行われた近自然工法による護岸工事、川辺を整備する「水辺愛護会」について説明しました
平戸橋下流の「波岩水辺公園」では、かつて景勝地だったことや、治水を巡って両岸住民の駆け引きがあったことなどをお話しました。
お釣土場水辺公園では、「中越戸水辺愛護会」の会長、森和夫さんからお話を伺いました。2016年から、この猿投台地区全体の取り組みとして散策路の整備を始め、眺めを遮っていた竹林を伐開してきたそうです※。地区の7愛護会が連携していること、企業ボランティアを受け入れていることも教えていただきました。
(※2016年から「中越戸竹伐り隊」として活動開始、2020年から現在の愛護会として活動。)
その後、研究員が行う植生調査のうち、「検測棹(けんそくかん)」を使って木の高さを測る方法を見ていただきまし
波岩水辺公園付近では勢いのよい流れ、お釣土場水辺公園付近では静かな流れを見ることができました。足元では様々なキノコが目を引きました。アンケートでは、印象に残った話として、「水害を和らげる人の知恵、歴史」(60代以上)、研究所に期待すること、研究所と共にしたいこととして、「今ある風景を知る解像度を上げる知見を得たい。河川整備の取り組みの成果、経緯を知りたい」(50代)、自由意見として、「楽しかった!!」(10代)、「初めて知ることばかりで川の関心が深まりました」(20代)、「大変勉強になりました」(40代)などの回答を得ました。
また、散策をしながら、川で遊んだ思い出を語ってくださる方が多く、「遊べる川」への期待が高いと感じました。
2024/11/13
2024年11月10日(日),矢作川学校の一環として籠川の中流域でのお魚観察会を行いました.可児市めだかの楽校のメンバー6名を対象に,タモ網を用いたお魚とりの方法を2種類(「ガサガサ」と「クイクイ」)伝授しました.ガサガサは水辺の植物に隠れた魚を上流から足で追い込んで下流に設置した網に追い込む方法で,クイクイは石の上流側に胴長の靴先を入れ込み石の下に流れを送り込むことで,石の下に隠れた魚を下流に追い込む方法です(詳しくは季刊誌Rio No.228を参照下さい).
今回の採集区間では,昨年の私の調査(1人×30分×3地点)で12種類の魚が確認されており,できるだけ多くの種類を揃えたいとの目標を立て,1時間のお魚採集を行いました.皆さん,魚の色々な隠れ場所を想像しながら,夢中で採集されていました.
残りの1時間で捕れた魚の確認作業を行いました.昨年の調査と同様に確認された種は9種(カワヨシノボリ,カワムツ,ホトケドジョウ,カダヤシ,ニシシマドジョウ,アブラハヤ,オイカワ,ギギ,ヌマチチブ)で,今回確認されなかった3種はギンブナ,ニホンウナギ,アユでした.一方,今回の調査区間で初めて確認された種は4種(カマツカ,ウキゴリ,タモロコ,ブルーギル)で,前2種は参加者の方(永井裕子さん)によって採集されました.人数をかけた集中的な採集の威力を思い知る結果となりました.
今回は,事前の魚類調査結果を活かした学習教材(その場所で採集された魚種の写真一覧やイラストを用いたカード図鑑など)を初めて配布してみました.参加者の方は興味深そうに見ていましたが,どのような印象を持たれたのかが気になるところです.
また,今回は学習教材の作成を手伝ってくれている事務員さん2名も飛び入り参加してくれました.バケツを覗いてみると,多くの魚が捕れていて安心するとともに,魚とりの面白さを感じてもらえたようで嬉しく思いました.(小野田 幸生)
2024/10/29
2024年10月29日、水辺愛護会・河畔林愛護会の会員を対象とした
「河川愛護活動視察研修会」があり、12団体17人が参加しました。
この研修会は、河川環境を守る人材育成と、河川愛護活動についての知識向上のため、
豊田市河川課が毎年開催しているもので、研究所員も同行しました。
今年の訪問先の一つ目は、豊田市の下山エリアにある「下山バークパーク」です。
下山バークパークを運営している株式会社鈴鍵は、近自然工法を用いた河川整備、
ビオトープづくりを行っています。
その実例を見ることで、生物がすみやすい川辺づくりの参考にするため、訪問しました。
下山バークパークでは、樹木廃棄物である木くずをチップにしています。
チップは発酵させて堆肥にしたり、降雨時の土砂流出を防ぐために、
工事直後の法面に吹き付けたりして有効活用しているそうです
(「ウッドチップリサイクルシステム」)。
このような、環境に配慮した複数の取り組みについて説明を受けました。
ビオトープは心地の良い林で、池と小さな流れがあり、地面には柔らかなコケが生えていました。
参加者の皆さんは、水辺の生物への興味から、水中のカワニナを見つけて、
ホタルの飛翔の有無を職員の方に尋ねたりしながら、散策しました。
昼休憩時に河川課と研究所から以下のお知らせをしました。
豊田市には矢作川の整備計画があり、エリアによって、
自然環境の保全と河川空間利用のバランスを考えた整備イメージが設定されています。
研究所では、この「整備計画」よりさらに細やかに、愛護会の活動地を対象に
それまでの管理を振り返り、研究所の知見も反映させてその後の方針を打ち出す
「管理・活動計画」の作成を愛護会に呼びかけてきました。
これまでに7団体が取り組み、今後も作成を希望する愛護会を募集していることをお知らせしました。
午後は松平地区の「太田川(だいたがわ)」に向かいました。
太田川を維持管理している「太田川河川愛護会」は、
ちょうど昨年度、「管理・活動計画」を作成しました。
その計画図を見ながら現場を視察すると共に、計画立案の有効性を感じていただきたい
という思いで訪問先としました。
太田川は豊田市が初めて近自然工法による改修を行った川で、
季節の花が咲き、夏には親子連れが水遊びをする、親しみやすい川です。
管理・活動計画づくりの話し合いを経て、ホタルが成虫になる時期に
水際の草刈りを控えるようになりました。
会長の平松清文さんによると、活動地は現在約500m、会員は10人で月1回、
草刈りとごみ拾いを行っています。2人いる女性会員はごみ拾いの担当だそうです。
毎月の活動によって、太田川は法面の草丈が低く抑えられ、人が入りやすい川となっています。
困っていることは、イノシシに地面を荒らされることで、
一月ほど前に企業ボランティアが地面を均しましたが、
再びイノシシに掘られてしまったそうです。
他にも、水際のヨシがすぐ大きくなって刈りにくいことや、
水際にある石の間の草刈りをする際に足下が見えにくく危険であること、
高齢化と人手不足が課題だと述べられました。
外部からのボランティアはありがたく、
草刈りをしてくれる人が増えると、よりありがたいとのことでした。
同じ愛護会の活動地とあって、参加者は平松さんに質問をしながら、興味深そうに見学しておられました。
雨模様のお天気でしたが、愛護会同士の交流の場ともなった研修会でした。(吉橋久美子)