矢作川研究所日記

2022/07/01

矢作川 糸状緑藻の流程分布調査

まだ6月というのに連日の猛暑です。今年も矢作川の上流から中流にかけて糸状緑藻の流程分布調査を進めていて、今日は葵大橋に出かけました。分布調査は、流れ幅×流れ方向100~200 mの範囲にメッシュポイントを設定し、各ポイントの川底1m×1mを直接目視し、生育の有無を確認します。
この日は、私がこれまでに経験した6月の野外調査で最も暑いと感じた日でした。調査が終わる頃、期末テストが終わって開放感でいっぱいの学生さん、川で沐浴するワンちゃんと三々五々、涼を求めに集まってきました。


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2022/06/09

大河原水辺愛護会がマダケの幼竹活用を行いました

大河原水辺愛護会が、マダケの幼竹活用としてメンマ作りと料理を行いました。

水辺愛護会は川への親水性の確保や、景観改善のために密生した竹を間伐したり、草刈り、ごみ拾いなどの整備活動を行っている団体です。整備活動だけではなく、「時には幼竹を食材として利用し、川辺の恵みも楽しみませんか」との研究所が呼びかけに、昨年度から大河原水辺愛護会が応じて下さり、昨年に引き続いて幼竹活用の会が開催されました。

朝8時、同会から7人、見学に来てくださった枝下町矢作川水辺愛護会4人、研究所員2人の合計13人が集まり、まずは活動地へ。50~70センチほどに伸びた幼竹の根元に鎌を入れて収穫し、トラックの荷台に積んでいきます。幼竹に包丁で縦に筋をいれ、皮をむいてから調理室へ。
包丁がサクッと入らない固い部分を除けて、節を抜き、短冊状にきった幼竹を20分ほど茹でました(穂先はもう少し短時間で茹であがります)。茹でた幼竹はメンマづくりと料理に使われました。

メンマ用の幼竹は三つに分けて、それぞれビニール袋をしいた樽に入れ、重石を載せました。樽の一つには30%の塩、他の二つには23%の塩をまぶしました。蔵で2週間程度発酵させてから、干して、乾燥メンマの完成となります。

料理用の幼竹は茹でた状態で完成ですが、試食用に,一部を大河原水辺愛護会の皆さんがごま油で炒め、お酒、砂糖、醤油、オイスターソースや豆板醤、唐辛子などで味付けしてくださいました。一口食べて「おいしい!」と笑顔になるような、大変美味しいおかずになりました。

見学に来てくださった枝下町矢作川水辺愛護会の皆さんも一緒に作業をしてくださいました。調理中も、試食中も、お互いの愛護会や地域の話題、川の話題で盛り上がり、交流の時間としても有意義でした。




2022/05/29

広沢川で川づくり学習会(ふるさとの川づくり事業)

石がアーチ状に組まれた落差工(らくさこう)

猿投町まちづくり協議会と猿投町子ども会、研究所で、広沢川での川づくり学習会を行いました。

猿投山を源流とする広沢川では、2020年度から住民と行政の共働による「ふるさとの川づくり事業」が行われています。昨年度、ワークショップにより広沢川の未来像が描かれ、今年度から川づくりに取り組みます。まずは学ぶことからと、第1回川づくり学習会に18人の方が集まってくださいました。

治水のために川底の土砂を減らした(浚渫した)区間では、岸を護るため、また、川自身の流れの力を活かして川幅や水深を多様にするために石が置かれています。その役割と、川幅や水深が多様になると、好む場所が異なる多様な生物がすみやすくなることを学びました。また、人が川に親しむためには川の草刈りが必要になりますが、草丈が低いうちに一度伐る、人が利用するところを集中的に刈り、そうでないところはあまり刈らないなど、草刈の負担が過大にならないための意見交換もありました。


岸を守る水制工

流れに変化をもたらす置き石

参加者アンケートでは、参加者全員が川づくりに関心を「持った」(「とても持った」12人、「やや持った」6人)、今後も川づくりに「参加したいと思う」(「とても思う」11人、「やや思う」7人)と回答してくださいました。

今後は親子の川遊び体験、二度目の川づくり学習会の他、住民自らが実際の川に石を設置して川づくりをする体験会も実施予定です。



2022/04/10

百々の川辺で植物観察&植物遊び

当研究所は、市民による水辺愛護会活動の活性化に向けた支援の一環として、ニホンミツバチの養蜂のお手伝いを行っています。百々水辺愛護会では2017年に養蜂を始め、秋には地域の親子も参加する採蜜会を実施してきました。2021年の採蜜会は休止となりましたが、あわせて開催を企画していた植物観察会は、さまざまな植物の花が観察できる春に、平井小学校地域学校共働本部の「土曜学習」の一環として、別途開催することになりました。

当日は快晴の空の下、平井小・寺部小・市木小の親子12組35人と、百々水辺愛護会の6人が集まりました。参加者には資料として、百々の特徴的な植物やその遊び方と、活動地で季節ごとに見られる20種の花の図鑑を配布しました。


かじってみよう!


ウラシマソウを観察

まず百々水辺愛護会の今井会長さんから、この川辺が子どもの頃遊んでいた場所だったことや、県が整備した散策路を愛護会が管理していることをお話しいただきました。原っぱで「この草は変わった味がするよ、かじってみて」と言ってスイバを見せると、恐る恐る口にした男の子が「すっぱい!」。その後は皆さんが次々に「試食」。不思議な形のウラシマソウの花をしげしげと観察したり、ヤエムグラを服や帽子にくっつけあったり、タラヨウの葉の裏に文字を書いたりと、思い思いに楽しんでいました。草地に咲いている色とりどりの花を採集する子も多く、ヤブカンゾウの葉を笛にして吹く音も鳴り響いていました。


タラヨウの葉裏に字を書く


集合写真

上流側の百々貯木場では、ここをつくった方の子孫である愛護会員の今井さんから、かつて上流の山で伐った木材を筏にして流した歴史の話もして頂きました。参加者アンケートでは、全組の親子が「とても楽しかった」「やや楽しかった」と回答していました。また、12組中10組が「水辺を保全する活動に参加したいと思いますか?」との問いに「とても思う」「やや思う」と回答してくださいました。共働本部の近藤さんからも、ぜひまた来年も開催したいとのお声を頂きました。(洲崎燈子・吉橋久美子)



2022/02/08

ニホンミツバチの巣箱の様子を確認しました

 研究所は、矢作川の河畔を中心として草刈りやごみ拾い、竹伐りなどを行う「水辺愛護会」の活動支援の一環として、ニホンミツバチの養蜂に取り組んでいます。植生管理に養蜂を組み合わせて採蜜の楽しみを創り出すことで、愛護会活動の活性化を進めていきたいと考えています。
 この日は百々水辺愛護会が管理している巣箱の様子を確認しました(写真1)。ミツバチは巣箱の上部に集まって球のようになっていました(写真2)。ニホンミツバチは、冬になり気温が低下すると巣箱の中で集まって、それぞれが出す熱によって寒さを防ぐ習性があり、その温度は30~35℃に達するそうです。ハチの数は十分に多く、順調に冬を過ごしていることが確認できました。
 梅の花が咲く頃になると働きバチが活発に蜜や花粉を集めるようになり、巣も群れも大きく成長していきます。このまま無事に春を迎えられるよう、百々水辺愛護会の皆さんとともに見守っていきたいと思います。(浜崎健児)


写真1 活動地近くに置いた重箱式巣箱(8月)
(巣門に付けてあるのはスズメバチ除けの装置)


写真2 巣箱内の様子