矢作川研究所日記

2025/06/24

岩本川について平井小学校の2年生が室内学習をしました

豊田市百々町にある平井小学校では、近くを流れる岩本川について、4年生が今年度2回の学習をしましたが※1、6月24日に2年生(40人)も学習しました。

授業は岩本川での生き物採集の予定でしたが、あいにくの雨で室内学習になりました。講師の山本大輔研究員は、室内学習を見越して前日に岩本川で生き物採集を行い、2年生の皆さんにしっかり実物を見ていただけるよう準備をしていました。

授業では、岩本川に行ったことがない児童が半数以上だったため、ドローンで撮影した上空からの川の映像と水中の映像を流し、岩本川をイメージしてもらいました。水中映像は、狭いところと広いところを比較したもので、川の中の様子の違いがわかります。

次に、生き物の採り方を説明するため、プログラミングソフトで作ったオリジナルゲーム「いわもと川で遊ぼう」を実演しました。麦わら帽子をかぶったキャラクター「ガサ男くん」が、岩本川の写真上でガサガサ※2をすると、カワムツやドジョウが採れたり、石が入っているだけだったりします。これは子どもたちに大好評で、山本研究員の操作でうまく魚が採れると大きな拍手が起こりました。ゲームを通してガサガサを説明することで、暑さや雨で川に行けなくても、川や生き物に興味をもってくれることを期待しています。

その後、岩本川のヤゴやカワニナなどの実物を、画面上に大きく映しながら見てもらいました。岩本川には様々なヤゴがおり、それは、岩本川に多様な環境があることを示しています。最後に、魚類を一種類ずつ、丁寧に見てもらいました。紹介したのはカワムツ、カワヨシノボリ、そして「ドジョウ三兄弟」です。ドジョウ三兄弟(ドジョウ・ニシシマドジョウ・ホトケドジョウ)はそれぞれ口の付き方や、ひげの本数、好む場所が違うことなどを説明しました。このドジョウ三兄弟の存在からも、岩本川の環境の多様性の高さがわかります。2年生の皆さんは熱心に授業を受け、質疑応答では多くの質問や感想を言ってくれました。

子どもたちは、山本研究員の解説を聞いた後、ヤゴなどが入った容器や、魚が入った水槽を取り囲んで、授業の時間が終わるまで、熱心に生き物を見ていました。(吉橋久美子)

※1.平井小学校4年生の川学習の様子(研究所日記)

※2. 岸辺の川底に網を置き、上流側から足で魚を追い込む魚とりの方法。
参考:Rio.No.228(2023) p6「ガサガサとクイクイ」 


ゲーム「いわもと川で遊ぼう」でガサガサの雰囲気を味わう

ニシシマドジョウ(左)、ドジョウ(右)

水槽の魚を観察する様子

カワヨシノボリの吸盤状の腹ビレを見る



2025/06/16

国立環境研究所の末吉さんに,セミナー講師をしてもらいました.

末吉さんによるセミナーの様子


2025年6月16日に,末吉正尚さん(国立環境研究所 生物多様性領域・琵琶湖分室 研究員)に,矢作川研究所セミナーの講師をしていただきました.

「気候変動下における河川生態系の保全・再生に向けたダム及び流域管理」と題した講演では,末吉さんの研究成果を中心に最新知見を紹介していただきました.

地道な現地調査に基づく魚類の潜在分布マップの提示や,水温上昇に伴う分布域の変化の重ね合わせなど,矢作川の流域でも活用できそうな研究方法やその結果の提示方法を学ぶことができました.また,ダムからの土砂供給の効果を継続的に評価する際には,目標とする場所の環境も時間的に変化していることに注意する必要があるなど,実際のデータに基づいた示唆に富むアドバイスをしていただきました.河畔林と水温との関連についての研究紹介もあり,水辺愛護会による河畔林管理にも役立ちそうな知見も聞くことができました.

翌日(6月17日)には,矢作川の現地指導もしていただきました.置土実験を行っている越戸ダム下流や小渡地区などを実際に確認してもらいながら,河床環境の見方などについて情報交換をすることができました.他の川でも研究している外部の研究者の方から見た「矢作川の環境」について知ることができて,とても新鮮でした.

末吉さんの講演や現地指導のおかげで,とても良い刺激を得られた貴重な2日間となりました.
末吉さん,ありがとうございました.(小野田幸生)


河畔林と河川水温の関連性の講演


研究相談にも乗っていただきました


越戸ダム下流の置土の視察


小渡地区の置土の視察



2025/06/10

太田川(だいたがわ)で予備調査(魚類)を行いました.

多自然型工法(現在の多自然川づくり)で改修された太田川.雨で濁っていますが普段はキレイな川です.


太田川は松平地区を流れる準用河川で,1990~1999年にかけて多自然型工法で改修された川です.その効果を調べるための調査が2000年~2002年に行われ,その結果は矢作川研究で報告されています(内田ほか,2004).それから四半世紀経って,どうなったのかを調べるため,魚類調査を行う予定です.

それに先立ち,2025年6月10日に,下河内橋付近の2地点で,予備調査を行いました.職場体験で来所した末野原中学校2年生の生徒(堀田さん)も調査に参加してくれました.雨の降る中,カッパを着て,一生懸命に調査してくれました.

結果として,カワムツ類,アブラハヤ,オイカワ,ドジョウ,カワヨシノボリなど,多くの魚種が確認されました.これまでの調査と大きな違いは見られず,良好な環境が保たれていると言えそうです.

今後,天気が良い平水時に,過去の調査と同じ地点で魚類調査を行おうと考えています.


堀田さんによる魚類採集

魚の体サイズ計測も体験してもらいました



2025/06/05

岩本川について平井小学校の4年生が学びました

岩本川では2015年度から扶桑町および百々町の住民と豊田市の共働による「ふるさとの川づくり事業」が行われ、2017年度から平井小学校が毎年、川学習を重ねています。2025年度も4年生(46人)が岩本川について学んでいます。

2025年度の初回となる5月20日には、教室にて、岩本川の草刈りや自然再生などをしている住民団体「岩本川創遊会」の小野内康伊会長と矢作川研究所の山本大輔研究員から「岩本川のこれまで」についてお話を聞きました。

小野内会長からは岩本川の源流の場所、川の生き物や川の変化(1972年に起きた豪雨災害を契機にコンクリート護岸が整備され、その後土砂が堆積し、草が繁茂して子どもが遊べなくなっていた)のお話がありました。そして、ふるさとの川づくり事業がはじまり、2015年度から、溜まった土砂を取り除く浚渫工事が数年にわたり行われ、2017年3月に岩本川創遊会が発足して川づくりや草刈りをしていることも紹介されました。

山本研究員からは、生き物は種類によってすみやすい環境が異なることから、多様な環境を目指して川づくりが行われていること、これまでの川学習の様子などが紹介されました。
二人はともに、「生き物と触れ合ったり、友達と話し合ったりすることで、どうすればこのいい環境をもっと楽しくできるか考えてほしい」という言葉でお話を締めくくりました。


小野内会長のお話


山本研究員のお話


現在の4年生が2年生の時に作成した岩本川の生き物イラスト(昇降口にて)


岩本川下流・中流・上流の特徴と生き物

6月5日には、川に入り生物調査を行って生き物とふれあう予定でしたが、熱中症予防のために「川の変化の観察」へ変更となりました。

4年生の皆さんは今の岩本川と昨年の写真※とを見比べて、昨年土砂を掘った部分に今は土砂が溜まっていることなどを確認しました。魚が泳ぐ姿に楽しそうな声を上げたり、流れの速さについて友達と教えあったりもしていました。川の観察の後には、当日の朝に山本研究員が採っておいた岩本川の魚やヤゴなども見ていました。

4年生の皆さんは、これから岩本川に対する何らかの保全活動を考え、実践するそうです。その報告を楽しみにしています。

※昨年度の川学習の様子:平井小学校4年生が岩本川の流れを変える体験をしました | 矢作川研究所


岩本川観察の様子①


岩本川観察の様子②


カワムツなどの岩本川の生き物を見る