2025/02/23
矢作川研究所では、地域の方々と地元の川について語り合い、将来像を描き、それをもとに川を守り育てていこうという「ふるさとの川づくり事業」を行っています。これまで実施した岩本川(豊田市扶桑町・百々町)、広沢川(猿投町)に続き、2024年度から、石野地区の一ノ瀬川での取り組みが始まっています。
2024年8月の一ノ瀬川での川遊びの会、10月の第1回ワークショップ「一ノ瀬川の思い出を語る会」に続き、2025年2月23日に第2回ワークショップ「川の未来をみんなで描こう!」を開催しました。
寺下町公民館に小学生を含む13人の方々がお越しくださり、3班に分かれて、一ノ瀬川がどんな川になったらいいか、アイデアを出し合いました。
お子さんからは、「いろんな魚たちが過ごしやすい場所をつくる」「水車を見たこともないので見てみたい」「ニホンウナギを釣ってみたい」などの希望が挙げられました。大人からは「外来種のいない一ノ瀬川を望む」「このままの一ノ瀬であればいいです。新しいものはいりません。」「子どもたちが泳げる川」などの意見が出ました。
また、一ノ瀬川には春はサクラ、夏はホタル、秋はモミジの楽しみがあり、川沿いのウォーキングを楽しむ方がいるということ、階段が何カ所も設置されていて子どもと遊んだり、草刈りをするときに川との行き来がしやすいが、鹿や猪もその階段をつかっているらしいこと、マムシに注意しなくてはならないこと、47災害(昭和47年に起きた水害)で溢れたこと、水深が深いところがあったが土砂が溜まってきて浅くなっていることなども教えていただきました。
全体を通して、一ノ瀬川の生き物や、利用、治水のことなど幅広い意見が出ました。一ノ瀬川はやはり自然豊かであり、人との関わりのある川だということを再認識しました。
アンケートでは、「子どもたちが自然に川に親しめる環境作り」に関心がとてもあることや、「ホタルを毎年楽しみにしています」などの意見をいただきました。
今回出たアイデアをもとに川の未来希望図を描きます。その未来希望図をどうやって実現していくかを、今後皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。(吉橋久美子)
親子が川に親しんだ「一ノ瀬川で遊ぼう」(2024年8月17日)
寺下橋から下流を眺める(2024年11月26日)
2025/02/21
2025年2月21日に「流域学習プログラム」を視察しました.この流域学習プログラムは,矢作川を対象に,川の「流域」という視点から、私たちの暮らしと森林や河川との関わりを学ぶための学習プログラムで,豊田市内の小学校5年生を対象に行われています.今回の流域学習は座学と現地学習の組み合わせで実施され,飯野小学校の5年生の児童が受講しました.
豊田市自然観察の森ネイチャーセンターでの座学では,流域が「降った雨が川に流れ込む範囲」であり,その流域を見守るためには広い視点が重要となることが強調されました.たとえば,森林課の井貝さんからは,水源の山の森の状態が大切で,天然林や手入れされた人工林では土壌がスポンジのように水をしみこませることができる…などの情報が伝えられました.当研究所の山本さんからは,昔も今も川の水が様々な用途で利用されており,私たちの暮らしに必須な身近なものである…などの情報が伝えられました.
現地学習の内容は,座学の内容と対応したものになっていました.自然観察の森での現地学習では,児童の皆さんが天然林と人工林を実際に見分けたり,それぞれの土壌を掘ってその違い(湿り気,色,落ち葉の多さ)を体感したりしました.籠川に移動した後は,「川にある人工物」を探して描くワークを行い,皆でその理由を発表し合いました.川の人工物が人の生活と関連していることを実感しているようでした.
視察して感じたのは,講師の皆さんの工夫でした.座学ではクイズや問いかけが多用され,児童の皆さんが主体的に学習できるようになっていました.スライドの文字は少なく大きめで,漢字にはフリガナを振るなどの配慮もありました.また,話す速度もゆったりしていて,そのために伝える内容を絞り込んでいるようでした.それらの工夫は,現地学習でも貫かれており,小学生などの小さなお子さんに何かを学んでもらいたいときには特に注意すべきことだなと感じました.視察という立場ではありましたが,私にとっても学びの多い流域学習プログラムとなりました.(小野田 幸生)
2025/02/20
2025年2月18日~20日に研究所会議室において,パソコンを使ってデジタルイラストを作成できるように講習会を開催しました.
デジタルイラストは学会発表や説明資料をわかりやすくするのに役立つため,イラスト作成術を習得すれば業務に役立つと考えたのです.また,研究所の事務員さん(川村さんと濱野さん)が淡水魚の紹介ポスター(実物は,矢作川研究No.29を参照ください※リンクは関連記事のpdfです)を作成する中で,淡水魚の写真の切抜きや写真をトレースしたイラスト作成方法をマスターしたので,その技術を皆に共有したいとも考えました.
今回の第1週目の講習では,研究所と河川課の有志が参加しました.メインの講師は,もちろん研究所の事務員さん2名です.3日間の講習で,①写真から淡水魚のみを切抜く方法,②淡水魚の写真をトレースしてイラストを作成する方法,③そのイラストの色付けの工夫などを実習スタイルで学んでもらいました.
受講生は苦労しながらも,写真の切抜きやイラスト作成をマスターしたようでした.分からない部分については講師に尋ねたり助けてもらったりしながら,自分の技術として習得できたようです.出来栄えは人それぞれでしたが,今回学んだ基本操作を復習して,さらにスキルを磨いてほしいと思います.
今回の講習のウリは,技術を覚えたての事務員さんが講師を務めたことでした.受講生が陥りやすいミスや「どこが分からないか」が分かるという強みがあり,効果的な講習となったと思います.事務員さんが慣れない講師を引き受けてくれたおかげで,ぜいたくな講習となったと思います(…お疲れさまでした). (小野田 幸生)