2024/12/06
ちょっと前(2024/10/18)の話になりますが,アユの産卵場調査の休憩時に不思議な光景を目にしました.川辺の石の上に落ちた鳥の糞に蝶が集まっているのです.蝶を撮影しようと近づくと一旦は飛び去りますが,また近くに降り立ち,糞に寄っていきます.よく見るとストロー(口吻)を伸ばして,鳥の糞を舐めているようです.
しばらく見ていると,複数種の蝶(アカボシゴマダラ,コムラサキ,シジミチョウ科の一種 ※Google Lens等を使用して種名検索)が集まってきて,「糞にたかっている」状態でした(ハエももちろんたかっていましたが…).
後日,ネットで調べると鳥の糞を吸う蝶に関する記述をみつけることができ,鳥の糞から繁殖や体細胞維持に必要な栄養素(ナトリウムやアンモニア)を補給するための行動のようで,オスによく見られるとのことでした(Honda et al. 2012参照).乾いた鳥の糞に水滴を出して湿らせて,その液体を吸っているようですが,この観察時に小雨が降ってきて(写真の水滴に注目),水滴を出す手間を省いているのかなとも思いました.
アユ産卵期には,産卵のために蝟集したアユ親魚を食べるためにカワウなどが集まっていることがあります.今回川辺で観察したこの鳥の糞にも,きっとアユの栄養が含まれているでしょう.そう考えると,アユ→鳥→(糞)→蝶という繋がりがあり,アユは蝶も支えているとみることができる…としみじみと思った休憩時間でした.(小野田 幸生)