矢作川研究所日記

2016/03/05

第12回 矢作川学校ミニシンポジウム

豊田商工会議所で開催されたミニシンポジウムでは、13題の発表がありました。高校生では矢作川河畔の活動「セセラギプロジェクト」(豊田東高等学校)の報告や矢作川で捕獲したスナヤツメに関連する実験(愛知教育大学附属高等学校)などの発表がありました。大学生および大学院生では、矢作川の底生動物と河川環境に関する研究(愛知工業大学)、外来カメをテーマにした研究(愛知学泉大学・名古屋大学)、矢作川河畔の植生の研究のほか、ドローンカメラや全天球カメラという新しい記録方法の試み(大同大学)の発表がありました。高校生、大学生および大学院生の発表が並ぶなか、小学校5年生の森川さん(豊田市立青木小学校)が「矢作川の水と浄化方法を調べよう」と題してポスター発表をしてくれました。
今、一つ一つの発表要旨を読み返しています。矢作川という自然を相手にした現場調査では多くの苦労があったことでしょう。エクセルと格闘し、データを取りまとめた夜も多かったことでしょう。10 ~ 15分という短い発表時間に皆さんが経験された沢山の試練が凝縮されていました。ミニシンポにおける互いの発表が刺激となって、皆さんの今後の研究が一層深まるとうれしいなと思います。(内田朝子)




2015/12/21

セミナーを開催しました (三橋 俊雄 氏)

「遊び仕事としまつ―持続可能な生き方の再考」京都府立大学名誉教授 三橋 俊雄 氏(2015/12/21)

「遊び仕事」とは「子どもの遊び」と「生業(経済的活動)」との中間に位置する行為だそうです。自分が食べる分だけ捕まえるタコ釣りやモクズガニ捕り、山菜採りやウサギ捕りなどがそれにあたります。この、大人が胸躍らせて自然と対等に向き合う「遊び仕事」こそ自然共生社会への入り口である、として、京都府宮津市での調査事例等をご講演いただきました。また、「しまつ」は素材を大切に使い切る生活哲学だそうです。
会場からは、これらは矢作川流域でもごく自然に行われてきたことだとご発言いただきましたが、ライフスタイルの変化や環境の変化から、若い世代にはあまり引き継がれていないようです。もう一度自然に目を向けるためのきっかけとして「遊び仕事」はとても魅力的に思えました。(吉橋久美子)



2015/11/29

平成27年度矢作川シンポジウム「川と緑でもっと輝け! 豊田のまち」を開催しました!


豊田産業文化センターで矢作川シンポジウム「川と緑でもっと輝け! 豊田のまち」を開催しました。
第1部「矢作川を元気にしよう! ─ 豊田市矢作川河川環境活性化プラン ─」では東京大学の熊谷洋一名誉教授が、生物多様性基本計画の趣旨と重要性を踏まえた川づくりについてユーモアを交えて話されました。続いて、研究所の早川所長がめざす未矢作川の姿を「自然環境」「まちづくり」「流域管理」「人の利活用」の4つの視点から描く、豊田市矢作川河川環境活性化プランについて紹介しました。
第2部の「まちを冷やす川と緑  ─豊田気温測定調査2015報告会─」では愛知教育大学名誉教授の大和田道雄名誉教授が、豊田市でヒートアイランド強度が高い現状と、矢作川の気温軽減効果について述べられました。その後8月8日に実施された気温測定調査について、豊田西高生の和泉君と大嶋君が同校の生徒が測定した3地点の測定結果と感想を紹介し、洲崎から全地点の調査結果とヒートアイランドの発生・移動状況、その軽減対策について報告しました。
その後のディスカッションでは、パネリストの赤堀良介氏(愛知工業大学)、生駒みどり氏(豊田まちづくり株式会社)、成瀬順次氏(児ノ口公園愛護協会)、有田幸司副市長からそれぞれ川づくりとまちづくり、まちの緑地の存在意義と行政の立場を踏まえたコメントを頂きました。豊田市が矢作川の未来を描こうとしている活性化プランの多面的な姿をご紹介できたのではないかと思います。(洲崎燈子)



2015/11/16

セミナーを開催しました (有川 崇 氏)


「矢作川の多自然川づくりのこれから」 有川 崇 氏(2015/11/16)

有川氏は矢作川の多自然川づくりに取り組んでおられます。現在進められている矢作川に架かる橋の工事について、地形的な特徴を踏まえ、分散型落差工など各種工法をきめ細かく組み合わせて、川を再生するプランをご紹介頂きました。川底の固くなった矢作川では、人が適切な手法で改修しないと川が動かないとのことでした。また、川の中に橋脚ができることによって、洗掘による瀬の破壊というマイナス面だけでなく、土砂がたまりやすい場所ができてアユの産卵場が形成されるというプラス面もあるというお話が意外でした。(洲崎燈子)



2015/11/04

セミナーを開催しました (角 哲也 氏, 萱場 祐一 氏,浅見 和弘 氏)

矢作川のダム下流の河川環境回復を目指したプロジェクトの一環で、3名の専門家をお招きし、下の通りセミナーを開催しました。

第1回「ダム下流環境改善のための総合土砂管理」京都大学防災研究所 角 哲也 氏(2015/6/30)
第2回「ダム下流における生物相の変化と砂供給が河川環境に及ぼす影響の評価」土木研究所自然共生センター 萱場 祐一 氏(2015/10/15)
第3回「ダム下流のフラッシュ放流・土砂還元による環境改善〔事例紹介〕について」応用地質株式会社 浅見 和弘 氏(2015/11/4)

ここで少しだけセミナーの内容をご紹介します。ダム下流において河川環境の変化を最小限に抑え、自然河川に少しでも近づけるために、「流れの回復」として維持流量の放流や増量、フラッシュ放流など、「流砂の回復」として土砂還元や排砂バイパスの建造などが進められているそうです。矢作川で比較的、短期間に取り組むことができる方法はフラッシュ放流や矢作ダムに貯まってしまった砂をダム下流に置く土砂還元になります。ただ、これらの方法も事前の準備が不可欠で、例えば砂州の復活を目的とするならば、先に樹林化してしまった河畔や中洲の木を伐採し、地表面が洗われやすくしておくことが必要だそうです。加えて、対策の効果を把握するためのモニタリングも重要で、その手法についてもマニュアル化が進められているとのことです。これまで日本全国で行われた事例では付着藻類などの剥離を目的としたフラッシュ放流、魚類の生息環境改善や河床低下の抑制を目的とした土砂還元などがあるそうです。矢作川も、まずはどこをどう改善したいのか明確な目標設定を行い、方法を検討して進めていきたいと思います。(白金晶子)