2026/06/25
2026年6月10日に、豊田市の旭地区にある有間竹林愛護会と小原地区にある矢作自治区水辺愛護会(愛称:川坊主広場)の活動地で植物調査を行いました。いずれも愛護会の活動地の中では上流域に位置しています。
植物調査では、活動地を歩きながら見つけた植物を記録していきます。例えば、下の写真にはオオチドメ、ヨモギ、ネコハギ、ヘクソカズラなど少なくとも11種類の植物が写っています。植物は現地で観察しながら確認し、判別が難しい場合には持ち帰って詳しく調べます。
同じ上流域に位置する活動地ですが、見られる植物にはそれぞれ特徴があります。有間は竹林があることで、全体的にやや日陰で湿り気のある環境が保たれているため、林の縁などを好む植物が多い印象です。一方、矢作自治区の川坊主広場では、比高が高い乾いた場所と川沿いの湿った場所で見られる植物が異なり、環境の違いによる植生の変化を観察することができます。このように、それぞれの活動地ならではの特徴が見られることも、植物調査の楽しさの一つです。
また、有間ではハチクの花を観察しました。今後どのように変化していくのか、引き続き見守っていきたいと思います。なお、ハチクの開花後の竹林の再生については、近年の研究成果をもとに別の記事でまとめましたので、ぜひあわせてご覧ください。
2026/06/04
2026年6月4日に青木小学校の6年生(うち1クラス・27名)がお釣土場水辺公園(おつりどばみずべこうえん:豊田市越戸町)を訪れ、中越戸水辺愛護会の皆さん(7名)と、矢作川研究所から吉橋が、お迎えしました。
この訪問は、2025年度に「お釣土場水辺公園 管理・活動計画」が作成されたことがきっかけです。計画はお釣土場水辺公園(以下お釣土場)を含む一帯で草刈りなどの日常的管理をする中越戸水辺愛護会、活動地が水辺公園に隣接する下越戸水辺愛護会、矢作川研究所の三者がワークショップを行ってまとめました。その計画を地元の青木小学校に掲示していただくことになり、さらに学校側からお釣土場訪問の希望をいただいて、この日、6年生の皆さんの訪問が実現しました。
当日は、中越戸水辺愛護会の森和夫会長や会員から、活動によって親しみやすくなった川辺の変化、草刈りなどの維持管理方法、矢作川の自然を守りたいという思い、お釣土場の植物や動物についての解説がありました。会員の皆さんによって鳥や昆虫、植物のポスターなどが準備されており、わかりやすい工夫が凝らされていました。研究所の吉橋からは、川辺林の理想的な姿、市内には全部で25の水辺愛護会があって約740人が活動していること、などをお話しました。
その後の水辺公園内の散策では、児童の皆さんは思い思いに生き物のポスターをじっくり見たり、骨を見つけて何の動物か推理しあったり、水辺に近づいたり、生き生きと自然を楽しんでいました。
後日いただいた学校からのレポートでは、児童の皆さんが自然豊かな水辺公園を未来に残していきたいという思いを持った、とありました。今回の訪問は、矢作川を通じて水辺愛護会と児童の皆さんが世代を超えて交流し、水辺公園の未来にまで思いを馳せることにつながった、素晴らしい機会であったと思います。
2026/05/11
去る4月14日に、初音川ビオトープ愛護会の方と植生管理について現地で打合せをしました。
初音川ビオトープでは、愛護会員が参加するワークショップを経て作成した「管理・活動計画図」をもとにして、計画的な維持管理が行われています。近隣の人々がよく訪れる場所でもあり、いつ行っても気持ちのいい風景が広がっていて、愛護会の方々には頭が下がります。
この日は、矢作川研究所の植物担当研究員が変わったことに伴い、前担当の洲﨑燈子博士にも来ていただき、植生の状況や植物観察会の内容などの引き継ぎも兼ねて行ないました。着任したばかりの野田研究員は、草地を得意としていることもあってか、打合せが終わった後も熱心に現地の様子を観察していました。(山本)
2026/05/09
2026年5月9日に、広沢川猿投水辺愛護会と研究所で「川づくり勉強会」を行いました。広沢川猿投水辺愛護会(以下愛護会)は、「ふるさとの川づくり事業」を経て、2025年に発足した愛護会です(文末リンク参照)。
この日は近自然工法※の講師に指導を受けながら、いくつかの作業を行いました。
※自然に近い形を目指して行う河川の整備・改修方法。目先の川だけでなく、流域全体の自然環境や景観との調和も図る。
・置き石とクレソンの除去
川や水路の合流地点は川底が掘られてしまうため、蛇篭※などの護床工が設置されることがあります。広沢川に流れ込む水路の吐水口にも蛇篭がありましたが、浚渫後に針金が露出するようになり、川遊びをする際に危険でした。愛護会では、人が入らないように目印をつけたり、針金を短く切ったりして対処していましたが、より安全にするために、そのエリアを置石で覆いました。
・石組みの落差工のメンテナンス
落差工周辺の水際が削られて、石組みの横や下から水が流れてしまっていました。そこで、隙間に小さい石や土砂を詰めたり、削られた部分を大きめの石で補強したりして、落差工の上を水が乗り越えるようにしました。
・置き石による護岸
えぐれていた水際に石を置くことで、えぐられるのを防げるようにしました。
広沢川猿投水辺愛護会の皆さんは、いつもながらのチームワークで川づくりを進めました。たくさんの石を運んだので大変だったと思いますが、「日曜大工感覚」で川に手を入れる「小さな自然再生」の醍醐味を実感できる時間になったのではと思います。
川は変化し続けるため、手直しも随時必要になりますが、講師はその変化も楽しんでほしい、とおっしゃいました。川との楽しいお付き合いが続くことを願っています。
※竹や鉄線で編んだ籠に石を詰めた土木資材であり、川床や法面などを保護するもの。
「ふるさとの川づくり」第二の川として、広沢川で活動が始まりました
広沢川ふるさとの川づくりワークショップ「川の思い出を語ろう!」を行いました。
広沢川で川づくり学習会(ふるさとの川づくり事業)
広沢川で川遊び!(ふるさとの川づくり事業)
広沢川で川づくり学習会(第2回)を行いました
広沢川で川づくり勉強会をしました
広沢川猿投水辺愛護会が発足しました | 矢作川研究所
2025/12/20
お釣土場水辺公園 管理・活動計画作成ワークショップの第1回を2025年11月15日に、第2回を2025年12月20日に行いました。
研究所では、川と関わり、自然と触れ合える地域づくりを目的に、水辺愛護会とともに会の活動についてふりかえり、目指す姿を描く「管理・活動計画」を作成してきました。これまでに7つの水辺愛護会が計画を作成してきましたが、今年度は中越戸水辺愛護会と下越戸水辺愛護会の皆さんと共に、お釣土場水辺公園についての計画を作成することになりました。
お釣土場水辺公園は、矢作川の中流部右岸、越戸町の川辺に位置し、中越戸水辺愛護会の方々が草刈りや間伐などの整備をしてくださっていました。今回、矢作川研究所が、隣接する下越戸水辺愛護会エリアも含めて豊かな植生を守るべく、一体的に考えたいと両愛護会に呼びかけてワークショップを開催しました。
第1回は、両愛護会から11人が参加し、お釣土場水辺公園で植物を観察しながら、植生管理方法案(研究所作成)を現地で確認しました。管理方法案は「親水性、良好な景観の維持」と「生物多様性保全」の両立をめざすものです。方針の一つに、「河畔林を代表するエノキ・ムクノキの世代交代を目指し、若木を育てる(生物の多様性の保全)」があるため、研究員が樹皮や葉の形によるエノキ・ムクノキの見分け方を説明しました。参加者からの意見としては、良好な景観の維持のため、川への見通しを確保したいという声が上がりました。
その後、下越戸自治区区民会館でこれまでの愛護会活動のふりかえりを行いました。
まず、堤防道路から川方向を見た過去と現在の写真を見比べ、川が全く見えない状況から、活動によって現在の川を見通せる景観へと変貌した様子を確認しました。この眺めが維持されていることは大きな成果で、散歩する人が明らかに増えたそうです。会員同士の親睦が深まっていることも成果として挙げられました。
今後の取り組みとしては若木の育成、住民向けの植物観察会の実施、草が繁茂している下流側の草地に一部川辺を歩ける空間を作る、などの案が出ました。活動の安全性への配慮についても話題になりました。
第2回は、両愛護会から15人が参加し、中越戸公民館において将来像などを考えました。
まず、前回のワークショップをふりかえった後、お釣土場付近の思い出を共有しました。川の将来像を考える際、川の歴史やこれまで人々がその川とどのように関わってきたかを共有することが重要であると考え、これまでの管理・活動計画作成においても毎回お聞きしています。学校にプールがなかったころ、子どもたちは矢作川で遊んでおり、下越戸では対岸まで泳いでよかったが、中越戸では禁じられていたことや、「見張り小屋」で親が見守りをしていたことなどが挙げられました。災害については、47(よんなな)豪雨(1972(昭和47)年)でこの地域が浸水して人々がボートで移動する光景が見られたこと、東海豪雨(2000年)では「堤防から手が洗える」ほど矢作川の水位が上がったことなどが語られました。続いて研究所から、さらに時代を遡り、かつて舟運が盛んだったことや、昭和から令和に至る河川整備方針の変遷について説明しました。
次に、前回の意見を反映した「植生管理区分案」を見ていただき、賛同を得ました。活動内容によるゾーニングの変更、地域にとって価値のある植物(七夕行事に使う竹など)の保全などが加わりました。
最後にお釣土場水辺公園の将来像などを考えました。自生する植物群を守ること、安全に歩ける散策路づくり、地域の方々にお釣土場水辺公園の良さが知られている状態(そのために㏚する)などのイメージが出されました。
管理・活動計画は、案を最終形にまとめたものを確認する会を経て、今年度中に完成する予定です。