2024/05/18
河畔の維持管理活動をしてくださっている水辺愛護会の多くが、会員数の減少や後継者不足の問題を抱えています。そんな中、外部ボランティアの力を借りて活動の活性化を図っている愛護会が複数おられます。中越戸水辺愛護会には年1回、住友ゴム名古屋工場(豊田市新生町)の皆さんが活動のお手伝いに訪れています。その様子を取材しました。
当日は晴れわたった空の下、朝8時に住友ゴムの社員35名の方が集まり、愛護会がお釣土場水辺公園の上流側に設置したウッドデッキをベースに、公園下流側で愛護会員が伐採した竹や低木を運ぶ作業に汗を流しました。長い竹は3人がかりで運搬。運ばれた木竹は一箇所に集積され、愛護会員が運びやすい長さに玉切りしました。
竹の伐採
住友ゴム名古屋工場は地域貢献活動として、年に豊田市内の10の市民活動団体に支援を行っています。中越戸水辺愛護活動への支援は、同社のOBだった愛護会長の森和夫さんの働きかけにより、2019年に始まりました。ボランティア活動に参加する社員の皆さんは、会長はじめ愛護会員の皆さんの人柄に触れ、交流するのを楽しんでおられました。
また、一昨年の明治用水漏水事故の際には、工場も操業停止を余儀なくされ、あらためて矢作川がいかに重要な存在なのか認識し、川に恩返しできる活動に意義を感じるようになったとのお話もうかがいました。
この日は30℃近くまで気温が上がりました。活動は11時過ぎに終了し、おむすびと、愛護会の皆さんお手製の絶品の豚汁を頂いて閉会。愛護会員の飼い犬くんもおさまった最後の記念写真では、みなさんの笑顔と達成感の表情が印象的でした。(洲崎燈子)
2024/02/10
今回のシンポジウムは「市民連携で進める川づくり」をテーマにしました。
基調講演では、全国の河川市民団体に関する研究や川を活かしたまちづくりの事例について坂本貴啓先生(金沢大学)にお話しをいただきました。その後のディスカッションでは、坂本先生に加えて、市民の立場から岩本川創遊会の小野内会長、行政の立場から豊田市河川課の須藤課長、そして矢作川研究所の山本の4人で、水辺の整備や川づくりへの市民の関わり方、活動の継続に関するヒントや行政の課題などについて話しました。短い時間でしたが、市内で行われている様々な活動の発展や継続のきっかけになれば幸いです。
対面での開催は実に5年振りだったため、来場していただけるか不安でしたが、水辺愛護会の皆さんやふるさとの川づくりに関わっている皆さんなど、日頃から矢作川研究所がお世話になっている方々がお越しくださったのに加えて、シンポジウム初参加という一般の方々の、合わせて60名の方に参加していただきました。(山本大輔)
2024/01/27
太田川河川愛護会の願いや想いを込めた「管理活動計画図」を作成するための2回目のワークショップを大内町公民館で行いました(進行役は、洲﨑主任研究員)。平松会長をはじめ会員5名の方にご参加いただきました。
1回目のワークショップは昨年11月25日に行われ、太田川河川愛護会の活動地の特性を反映した様々な意見が寄せられました(以前の研究所日記の報告を参照下さい)。今回はそれらの意見などを基にして、「これからの目標と活動方法」について検討し、太田川河川愛護会の活動地である太田川の未来・将来像を語る回となりました。
「管理活動計画図」にはテーマとなるキャッチコピーが添えられるのですが、その案として「生きものにも人にも優しい川づくり」や「豊かな自然のある川を地域の宝に」などが挙げられました。小さい頃から地元の川に親しんできた会員の皆さんならではの自然観が込められているなあと、興味深く聞きました。
今後の水辺愛護活動については、「豊かな自然や多様な生きものを身近に感じられる太田川を地域の財産として守って行きたい」そして、「地域の子どもたちに遊びに来てほしい」という願いを軸として、それを実現するためのゾーニングや具体的な管理方法(例:ホタルに配慮した一時的な高刈り)などについても議論が盛り上がりました。太田川河川愛護会ならではの「管理活動計画図」を作成するための素材がいっぱい集まりました。今後の管理活動計画図の完成が楽しみです。
(余談)
ワークショップ終了後、参加者の方から「どんな想いで水辺愛護活動に取り組み始めたかを再認識することができた」とのご感想を頂きました。水辺愛護活動の多くは草刈りで地道な作業といえますが、その活動を始めた想いや願いが継続的な活動を支える大きな原動力となっているはずです。今回のようなワークショップが、その初心を再確認する機会にもなったとするならば、大変嬉しく思います。
「管理活動計画図」の作成は今回の太田川河川愛護会で7つ目となります。管理活動計画図を作成したいという水辺愛護会がありましたら、矢作川研究所にお声がけいただければと思います。
報告:小野田 幸生
2023/11/25
矢作川研究所では水辺愛護会の活動の継承と発展を目指して、水辺愛護会の願いや想いを込めた「管理活動計画図」を作成しています。これまで、6つの水辺愛護会(大河原水辺愛護会、百々水辺愛護会、初音川ビオトープ愛護会、古鼡水辺公園愛護会、梅坪水辺愛護会、矢作自治区水辺愛護会)を対象に、管理地の特性などを活かした個性豊かな管理活動計画図が作成されてきました。
今回は、太田川河川愛護会の管理活動計画図を作成するための、第一回目のワークショップを大内町公民館で行いました(司会進行役は、洲﨑主任研究員)。平松会長をはじめ会員6名の方にご参加いただき、これまでの水辺愛護活動のふりかえりや、現時点での成果と課題についてお話を伺いました。
印象的だったのは、会員の方が地元の自然環境について詳しく、たくさんの動植物の名前や生態情報を知られていたことです。会員の方が子ども時代から川での生き物とりを楽しんでおり、太田川の豊かな自然を体感されてきた賜物と言えそうです。豊かな自然を有する太田川で「子どもたちや孫たちにも、川遊びを楽しんでもらいたい」という想いが水辺愛護活動の目的の一つになっていることも、自然な流れと言えます。会員の方は、子どもたちが遊ぶ人気の場所についてもよくご存知でした。優しいまなざしで川を見られているんだなと感じました。
草刈りの成果として、人が川に近づきやすくなったり、ゴミが少なくなったりしたことが挙げられました。草刈りの際の課題としては、傾斜面やイノシシによって凸凹になった地面での草刈りが危険という意見がありました。興味深かったのは、「水際まで草刈りしすぎることで、魚が鳥に食べられすぎていないだろうか」という懸念が挙げられたことです。子どもやお孫さんに川に近づいてもらうためには草刈りは必要だけど、魚が鳥に食べられすぎないようにするためには水際の草は残したい…太田川河川愛護会ならではのジレンマの一つと言えそうです。
今回のワークショップで出た意見などを基に、「これからの目標と活動方法」について検討する第二回目のワークショップが1/27に予定されています。太田川河川愛護会ならではの管理活動計画図が描かれると良いなと思っています。
(補足)
このワークショップで魚の話が出たので、11/28に太田川で魚類採集をしてみました。次の予定が迫っていたため、僅か5分程度の採集でしたが、たくさんの魚がとれました。水際にも降りやすく、子どもたちも楽しみやすい川の一つではないかなと感じました。なお、太田川の自然環境については「矢作川研究」の8号に詳しい報告(内田ほか2004)が掲載されています。
報告:小野田 幸生
2023/04/03
2023年3月4日、豊田市民文化会館小ホールで開催された豊田市の市制72周年記念式典の中で、枝下町矢作川水辺愛護会が豊田市表彰を受けられました。長年にわたる水辺愛護活動のボランティア活動が認められての表彰でした。
当日は、枝下町矢作川水辺愛護会の会長の三宅典久さんが、団体表彰の部の代表として表彰状を市長から直接受け取りました。その写真をご紹介します。厳かな雰囲気の中でも、三宅さんの笑顔がとても印象的です。
その後、三宅さんから今回の表彰を愛護会の会員の皆さんと分かち合う写真が届きました。「表彰されたことを会員に知らせ、記念撮影」されたとのことでした。表彰状を囲んで、一緒になって作業に取り組まれてきた皆さんが嬉しそうな感じで、こちらも素敵な写真だと思います。
豊田市には25の水辺愛護会があり(令和5年に3愛護会が追加)、清掃や草刈りなどの河川美化活動を定期的に実施してくださっています。その活動は河川や河畔の利用者の方に対して素晴らしい空間を提供するとともに、豊かな地域づくりにも貢献するものです。とても大切で地道な活動ですが、長期間にわたって活動を継続していくことは、簡単なことではありません。枝下町矢作川水辺愛護会をはじめとする、長年活動を継続されている水辺愛護会の皆さんには頭が下がるばかりですし、水辺愛護会の活動がこれからも継続していくことを願ってやみません。
川を見たときに手入れの行き届いた場所を見つけることがあったら、そこは水辺愛護会の活動地かもしれません。思いを込めて愛護会の活動をされている方々の姿を想像して頂ければと思います。(小野田)
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注)今回は豊田市表彰を代表受領された枝下町矢作川水辺愛護会を取り上げましたが、これまでの長年にわたる愛護会活動に対して豊田市表彰を受けられた水辺愛護会が他にもあります(古鼡水辺公園愛護会、波岩水辺公園愛護会※、アド清流愛護会、梅坪水辺愛護会、石倉水辺公園愛護会※、太田川河川愛護会、御船せせらぎ広場愛護会、百々水辺愛護会、西広瀬町矢作川水辺愛護会、初音川ビオトープ愛護会、藤沢水神ロード愛護会、加茂川水辺愛護会)。※現在、平戸橋二区水辺愛護会に統合。