矢作川研究所日記

2024/09/28

太田川河川愛護会の活動をトヨタEX会が支援しました

豊田市の松平地区を流れる太田川(だいたがわ)では、市が1990~99年度に近自然工法(動植物の生息空間と自然景観に配慮した工法)による河川整備をおこないました。2000年には地元住民による「太田川河川愛護会」が発足し、24年間川辺の管理活動を続けておられます。ただ太田川では近年、イノシシによる川辺の掘り返しが頻発し、管理活動の妨げになっています。同愛護会が昨年度、活動の今後を展望するために作成した管理・活動計画でも、「長靴を履かずに一周できる平らな散策路を確保」するという目標が掲げられました。

7月にトヨタ自動車の生産物流支部 製造技術職場EX会の方が、有志で地域住民の活動のお手伝いを通じた社会貢献をしたいと「おいでん・さんそんセンター」に相談されました。センターから当研究所に水辺愛護会での受け入れが可能か打診してくださったことで、EX会による太田川河川愛護会の活動支援が実現しました。
湿度の高い薄曇りの天候となった活動日、愛護会の皆さんがヒガンバナの咲き始めた活動地の上流側で草刈りをされるかたわら、12名のEX会の皆さんが右岸の全域で、スコップを使ってイノシシが掘り返した地面を平らにする作業にいそしみました。2時間の活動が終わる頃には、活動地の通路は平らに均され、安心して歩けるようになりました。

会長さんからはEX会の皆さんへの感謝の言葉と、生き物の豊かな太田川への思い、今後の活動の展望が伝えられました。研究所からは、太田川は愛護会の皆さんが管理してくださっているおかげで冬(シキザクラ:エドヒガン系栽培品種)と春(ソメイヨシノ)の桜、夏のホタル、秋の紅葉と四季折々の自然が楽しめ、川に子どもが入って遊べる環境であること、この活動をきっかけにぜひ身近な川の良さを知り、楽しんで頂きたいとお伝えしました。EX会の皆さんからは、またぜひ活動のお手伝いをしたいとのお言葉を頂くことができました。(洲崎燈子)


活動前のミーティング


地面を均すEX会の皆さん



2024/08/24

エクスカーション(野外体験学習)を行いました!

野外体験学習の様子(手前[下流]側から,底生動物,付着藻類,魚)

2024年8月24日(土)の午前中に,矢作川中流域(扶桑公園横付近)でエクスカーションを行いました.「五感で感じる矢作川~川底の石から矢作川の生物と環境を考える~」と題し,ダム下流における川底の状態を体感してもらうことを目的に行いました.

心配された天気にも恵まれ,親子連れを含む24名の参加者の皆さんに,実際の川底の石をじっくり見てもらうことができました.3班に分かれた参加者の方は,藻類底生動物のそれぞれの分類群について約30分ずつ体験学習に取り組みました(それぞれの学習内容については,それぞれの講師による「研究所日記」をご参照ください).どの分類群でも,川底の石にこだわった学習内容となっており,様々な石の見方を習得できたのではないかと思います.

事後アンケートでは「面白かった」「楽しかった」という意見や,「また来たい」「もっと時間が欲しかった」とアンコールともとれるコメントを頂き,関係者一同嬉しく読ませて頂きました(記念撮影でも笑顔が多く見られたのも嬉しかったです).また,「他の場所も見てみたい」という発展的な学習への展開をうかがわせる意見もあり,学習効果の手応えも感じることができました.石表面の手触りの擬態語(ヌルヌル,ボサボサ)が見られたのも,「五感で感じてもらえた」成果といえ,嬉しく思いました.今回のエクスカーションが,ダム下流で変わりつつある川底の環境を少しでも気にかけるキッカケになったら嬉しく思います.

末筆になりますが,現場の草刈りなどの準備をしてくださった古鼡水辺公園愛護会の皆さま,当日の運営補助などをしてくださった関係者の皆さまのご協力に心からお礼申し上げます.


皆で記念撮影



2024/05/18

中越戸水辺愛護会の活動を住友ゴムが支援しました

 河畔の維持管理活動をしてくださっている水辺愛護会の多くが、会員数の減少や後継者不足の問題を抱えています。そんな中、外部ボランティアの力を借りて活動の活性化を図っている愛護会が複数おられます。中越戸水辺愛護会には年1回、住友ゴム名古屋工場(豊田市新生町)の皆さんが活動のお手伝いに訪れています。その様子を取材しました。

 当日は晴れわたった空の下、朝8時に住友ゴムの社員35名の方が集まり、愛護会がお釣土場水辺公園の上流側に設置したウッドデッキをベースに、公園下流側で愛護会員が伐採した竹や低木を運ぶ作業に汗を流しました。長い竹は3人がかりで運搬。運ばれた木竹は一箇所に集積され、愛護会員が運びやすい長さに玉切りしました。


竹の伐採


竹の運搬 


 住友ゴム名古屋工場は地域貢献活動として、年に豊田市内の10の市民活動団体に支援を行っています。中越戸水辺愛護活動への支援は、同社のOBだった愛護会長の森和夫さんの働きかけにより、2019年に始まりました。ボランティア活動に参加する社員の皆さんは、会長はじめ愛護会員の皆さんの人柄に触れ、交流するのを楽しんでおられました。
 また、一昨年の明治用水漏水事故の際には、工場も操業停止を余儀なくされ、あらためて矢作川がいかに重要な存在なのか認識し、川に恩返しできる活動に意義を感じるようになったとのお話もうかがいました。


センダンの木が満開でした


豚汁のふるまい


 この日は30℃近くまで気温が上がりました。活動は11時過ぎに終了し、おむすびと、愛護会の皆さんお手製の絶品の豚汁を頂いて閉会。愛護会員の飼い犬くんもおさまった最後の記念写真では、みなさんの笑顔と達成感の表情が印象的でした。(洲崎燈子)




2024/02/10

5年振りにシンポジウムを対面開催しました

 今回のシンポジウムは「市民連携で進める川づくり」をテーマにしました。
 基調講演では、全国の河川市民団体に関する研究や川を活かしたまちづくりの事例について坂本貴啓先生(金沢大学)にお話しをいただきました。その後のディスカッションでは、坂本先生に加えて、市民の立場から岩本川創遊会の小野内会長、行政の立場から豊田市河川課の須藤課長、そして矢作川研究所の山本の4人で、水辺の整備や川づくりへの市民の関わり方、活動の継続に関するヒントや行政の課題などについて話しました。短い時間でしたが、市内で行われている様々な活動の発展や継続のきっかけになれば幸いです。
 対面での開催は実に5年振りだったため、来場していただけるか不安でしたが、水辺愛護会の皆さんやふるさとの川づくりに関わっている皆さんなど、日頃から矢作川研究所がお世話になっている方々がお越しくださったのに加えて、シンポジウム初参加という一般の方々の、合わせて60名の方に参加していただきました。(山本大輔)




2024/01/27

太田川(だいたがわ)河川愛護会の2回目のワークショップを行いました

寄せられた意見を整理し太田川の将来像について考えました


太田川の水生生物について紹介しました

太田川河川愛護会の願いや想いを込めた「管理活動計画図」を作成するための2回目のワークショップを大内町公民館で行いました(進行役は、洲﨑主任研究員)。平松会長をはじめ会員5名の方にご参加いただきました。

1回目のワークショップは昨年11月25日に行われ、太田川河川愛護会の活動地の特性を反映した様々な意見が寄せられました(以前の研究所日記の報告を参照下さい)。今回はそれらの意見などを基にして、「これからの目標と活動方法」について検討し、太田川河川愛護会の活動地である太田川の未来・将来像を語る回となりました。

「管理活動計画図」にはテーマとなるキャッチコピーが添えられるのですが、その案として「生きものにも人にも優しい川づくり」や「豊かな自然のある川を地域の宝に」などが挙げられました。小さい頃から地元の川に親しんできた会員の皆さんならではの自然観が込められているなあと、興味深く聞きました。

今後の水辺愛護活動については、「豊かな自然や多様な生きものを身近に感じられる太田川を地域の財産として守って行きたい」そして、「地域の子どもたちに遊びに来てほしい」という願いを軸として、それを実現するためのゾーニングや具体的な管理方法(例:ホタルに配慮した一時的な高刈り)などについても議論が盛り上がりました。太田川河川愛護会ならではの「管理活動計画図」を作成するための素材がいっぱい集まりました。今後の管理活動計画図の完成が楽しみです。

(余談)
ワークショップ終了後、参加者の方から「どんな想いで水辺愛護活動に取り組み始めたかを再認識することができた」とのご感想を頂きました。水辺愛護活動の多くは草刈りで地道な作業といえますが、その活動を始めた想いや願いが継続的な活動を支える大きな原動力となっているはずです。今回のようなワークショップが、その初心を再確認する機会にもなったとするならば、大変嬉しく思います。

「管理活動計画図」の作成は今回の太田川河川愛護会で7つ目となります。管理活動計画図を作成したいという水辺愛護会がありましたら、矢作川研究所にお声がけいただければと思います。

                                                                                                   報告:小野田 幸生