矢作川研究所日記

2025/05/10

広沢川猿投水辺愛護会が発足しました

2025年5月10日に、猿投町公民館で、猿投山を源流とする広沢川で草刈りなどの愛護活動を行う「広沢川猿投水辺愛護会」の設立総会が行われました。市内では26番目の水辺愛護会です。


広沢川では、これまでに共働による「ふるさとの川づくり事業(2020年度~2024年度)」が行われ、猿投町まちづくり協議会が中心になって、ワークショップや川遊び体験会などを行って広沢川の将来像を描いてきました(末尾のリンクも参照下さい)。

その結果、「人も生き物も生き生き 川暮らし」を合い言葉に、「子どもも大人も安心して遊べる、生き物がすみやすい川」を目指すことになりました。広沢川では浚渫(しゅんせつ…溜まりすぎた土砂を取り除く)工事や、自然石を使用した置き石、石組みなどにより、生き物のすみやすい川づくり工事も行われました。コンクリートで直線的な構造物をつくるのではなく、自然の素材を用いることで、景観を損なわず、水流の変化や隙間が生まれ、多様な生き物の生息環境がつくられていきます


ワークショップの様子


川遊びの様子


浚渫、置き石、石組みによる川づくり

源流の猿投山を背にした広沢川

今後、広沢川猿投水辺愛護会や地域の皆様の活動により、将来像が実現していく未来を楽しみに想像しています。(吉橋久美子)


広沢川ふるさとの川づくり事業関連 研究所日記
「ふるさとの川づくり」第二の川として、広沢川で活動が始まりました
広沢川ふるさとの川づくりワークショップ「川の思い出を語ろう!」を行いました。
広沢川で川づくり学習会(ふるさとの川づくり事業)
広沢川で川遊び!(ふるさとの川づくり事業)
広沢川で川づくり学習会(第2回)を行いました
広沢川で川づくり勉強会をしました





2025/04/27

越戸町で春の川辺の花観察会(第二弾)を行いました

4月27日に、矢作川中流の右岸、豊田市越戸町の下越戸水辺愛護会(以下愛護会)活動地と、隣接する「お釣土場水辺公園」で、第二弾となる「春の川辺の花観察会」を行い、愛護会の会員約15人が参加してくださいました。この観察会は、4月13日の観察会に参加した方の「自分たちの活動地でも実施してほしい」とのお声がけにより実現しました。

この日は竹林を伐り開いて明るくなった草地からお釣土場水辺公園の林内まで歩き、明るくて頻繁に草刈りや踏みつけを受ける草地と薄暗い林内、その二つの環境の移行帯で、短い距離でも生育する植物が変化するさまを観察することができました。移行帯の半日陰の環境では、クサノオウやツボスミレのお花畑を見ることができました。

愛護会会員の方々は、植物の名前や特徴、見分け方などを次々に研究員に質問し、楽しみながら観察をしていました。「意識せずにただ草刈りをしてしまっていたなあ」という発言も聞かれ、今後の植生管理にも話題が及びました。

植生管理については、研究員から「河畔林の構成樹種の稚樹があれば、伐ってしまわずにその成長を促し、木陰をつくって草の勢いを抑える」、「繁殖力の強い外来種を集中的に刈る」などの工夫により、草刈りの労力を減らすなどの提案をしました。今回の観察会が愛護会の皆さんの植物に対する関心を高めるきっかけとなり、今後の植生管理の工夫にもつながることを願っています。(吉橋久美子・洲崎燈子)


草刈り作業の後に観察開始


クサノオウを観察


足元のツボスミレにも目を向ける



2025/04/13

春の川辺の花観察会を行いました

4月13日に、矢作川中流の右岸、猿投台地区にある「お釣土場水辺公園」で、「春の川辺の花観察会」を行いました。同地区の7つの水辺愛護会の方々を対象とした会で、雨にもかかわらず、15人の方々がご参加くださいました。

お釣土場水辺公園は、矢作川中流の代表的な河畔林として位置づけられ、研究成果に基づいた管理が行われています。この公園は、かつてはマダケの密生林でした。そして、より良い河畔林の管理に向けて、竹をどの程度伐採すれば良いのか、研究所が調査したところでもあります。竹を伐採するほど林床が明るくなり、下草が生えることで植物の種数が増加しましたが、林床が明るくなりすぎると、明るいところを好む外来の草なども生えてきました。つまり、ほどよい明るさの林床にする必要があるということが分かったのです。

参加者のみなさんは、資料を片手に、研究員とやりとりをしながら、春の川辺の花を楽しみました。トウカイタンポポ、ナズナ、タネツケバナ、ヤブツバキなどの花が見られ、カメラを近づけて撮影される方、植物が食用になるかどうかに興味を持つ方など、それぞれに楽しんでいました。

水辺愛護会の方々は日頃から草刈りなどの活動に取り組んでいますが、植物をじっくり見る機会があまりないそうです。「自分たちの活動地でも植物観察会をしてほしい」という声があり、今回の観察会によって植物への関心が高まり、より植物の多様性を意識した管理につながるのではと、嬉しく思いました。(吉橋久美子)


クサノオウなどが見られた場所

ホトケノザは、葉を仏の座に見立てたもの、と説明

花を指して会話したり、撮影したりする参加者

散策路にはたくさんのヤブツバキの落花があった



2024/11/16

エクスカーション「来て、見て、学ぼう!川辺の豊かな自然とその守り人たち」を行いました

2024年11月16日(土)、矢作川の中流域でエクスカーションを行いました。川底の石に着目した夏の回に続く第二弾で、市民の方を対象として、矢作川の川辺を散策しながら自然を味わい、川と人の歴史と今を知り、今後の矢作川について考えるきっかけとしていただくために実施しました。

園児から60代以上の方まで17人の参加がありました。まず、集合した越戸公園付近で、研究所から、河畔林の特性、対岸の「古鼡水辺公園」で行われた近自然工法による護岸工事、川辺を整備する「水辺愛護会」について説明しました



平戸橋下流の「波岩水辺公園」では、かつて景勝地だったことや、治水を巡って両岸住民の駆け引きがあったことなどをお話しました。



お釣土場水辺公園では、「中越戸水辺愛護会」の会長、森和夫さんからお話を伺いました。2016年から、この猿投台地区全体の取り組みとして散策路の整備を始め、眺めを遮っていた竹林を伐開してきたそうです※。地区の7愛護会が連携していること、企業ボランティアを受け入れていることも教えていただきました。
(※2016年から「中越戸竹伐り隊」として活動開始、2020年から現在の愛護会として活動。)



その後、研究員が行う植生調査のうち、「検測棹(けんそくかん)」を使って木の高さを測る方法を見ていただきまし



波岩水辺公園付近では勢いのよい流れ、お釣土場水辺公園付近では静かな流れを見ることができました。足元では様々なキノコが目を引きました。アンケートでは、印象に残った話として、「水害を和らげる人の知恵、歴史」(60代以上)、研究所に期待すること、研究所と共にしたいこととして、「今ある風景を知る解像度を上げる知見を得たい。河川整備の取り組みの成果、経緯を知りたい」(50代)、自由意見として、「楽しかった!!」(10代)、「初めて知ることばかりで川の関心が深まりました」(20代)、「大変勉強になりました」(40代)などの回答を得ました。

また、散策をしながら、川で遊んだ思い出を語ってくださる方が多く、「遊べる川」への期待が高いと感じました。




2024/10/29

河川愛護活動視察研修会を実施しました

2024年10月29日、水辺愛護会・河畔林愛護会の会員を対象とした
「河川愛護活動視察研修会」があり、12団体17人が参加しました。
この研修会は、河川環境を守る人材育成と、河川愛護活動についての知識向上のため、
豊田市河川課が毎年開催しているもので、研究所員も同行しました。

今年の訪問先の一つ目は、豊田市の下山エリアにある「下山バークパーク」です。
下山バークパークを運営している株式会社鈴鍵は、近自然工法を用いた河川整備、
ビオトープづくりを行っています。
その実例を見ることで、生物がすみやすい川辺づくりの参考にするため、訪問しました。


下山バークパークでは、樹木廃棄物である木くずをチップにしています。
チップは発酵させて堆肥にしたり、降雨時の土砂流出を防ぐために、
工事直後の法面に吹き付けたりして有効活用しているそうです
(「ウッドチップリサイクルシステム」)。
このような、環境に配慮した複数の取り組みについて説明を受けました。


スライドで説明を受けている様子


積み上げられたチップ


ビオトープは心地の良い林で、池と小さな流れがあり、地面には柔らかなコケが生えていました。
参加者の皆さんは、水辺の生物への興味から、水中のカワニナを見つけて、
ホタルの飛翔の有無を職員の方に尋ねたりしながら、散策しました。


ビオトープの散策


開けた場所で説明を伺う


昼休憩時に河川課と研究所から以下のお知らせをしました。
豊田市には矢作川の整備計画があり、エリアによって、
自然環境の保全と河川空間利用のバランスを考えた整備イメージが設定されています。
研究所では、この「整備計画」よりさらに細やかに、愛護会の活動地を対象に
それまでの管理を振り返り、研究所の知見も反映させてその後の方針を打ち出す
「管理・活動計画」の作成を愛護会に呼びかけてきました。
これまでに7団体が取り組み、今後も作成を希望する愛護会を募集していることをお知らせしました。


午後は松平地区の「太田川(だいたがわ)」に向かいました。
太田川を維持管理している「太田川河川愛護会」は、
ちょうど昨年度、「管理・活動計画」を作成しました。
その計画図を見ながら現場を視察すると共に、計画立案の有効性を感じていただきたい
という思いで訪問先としました。

太田川は豊田市が初めて近自然工法による改修を行った川で、
季節の花が咲き、夏には親子連れが水遊びをする、親しみやすい川です。
管理・活動計画づくりの話し合いを経て、ホタルが成虫になる時期に
水際の草刈りを控えるようになりました。


上流をのぞむ


質問に答えてくださる平松会長


会長の平松清文さんによると、活動地は現在約500m、会員は10人で月1回、
草刈りとごみ拾いを行っています。2人いる女性会員はごみ拾いの担当だそうです。
毎月の活動によって、太田川は法面の草丈が低く抑えられ、人が入りやすい川となっています。

困っていることは、イノシシに地面を荒らされることで、
一月ほど前に企業ボランティアが地面を均しましたが、
再びイノシシに掘られてしまったそうです。

他にも、水際のヨシがすぐ大きくなって刈りにくいことや、
水際にある石の間の草刈りをする際に足下が見えにくく危険であること、
高齢化と人手不足が課題だと述べられました。
外部からのボランティアはありがたく、
草刈りをしてくれる人が増えると、よりありがたいとのことでした。

同じ愛護会の活動地とあって、参加者は平松さんに質問をしながら、興味深そうに見学しておられました。

雨模様のお天気でしたが、愛護会同士の交流の場ともなった研修会でした。(吉橋久美子)